ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

凄絶!麻衣ロード/その1
麻衣



倉橋さんから連絡があり、自宅のマンションに呼ばれた

夕方、駅からは少し離れた場所に建つ、7階建ての4階に着いた

部屋のインターフォンを鳴らすと、彼の低く野太い声が返ってきた

玄関ドアが開くと、Tシャツ姿の彼がいた

「ああ、麻衣ちゃん、上がってくれ」

「おじゃまします…」


...



私たちは淡いグリーンのソファにかけ、向き合った

彼の表情は、恋人とひと時を過ごすといった”それ”ではなかった

今日はかなりシリアスな話になりそうなのは、電話の様子で分かっていたからね

おそらく相和会内外で”動き”があったんだろう


...



「…実は先週、建田組の残党が抜けて、そのまま関西傘下で組を結成したらしい。まあ、こっちは事前に察していたが、あえて黙認してた。奴らの後ろには、破門された北原さんが付いてる。無論、表には出ていないが…」

「そうですか…」

「そうなれば、相和会にとって不都合な情報が関西に流れると見るのが自然だろう。すでに、こっちの内幕を表ざたにすると言った動きも耳に届いてる。まあ、向こうが意識的ってことも十分あり得るが…」

倉橋さんは淡々と説明してくれた

「…実際にはこの前のように、週刊誌で暴露されることも考えられるよ。おそらくは、例のクスリの件も含まれてるだろう。脱退した連中の中には、マッドハウスに出向してた人間もいるから。そいつらが、間宮の警察での証言を覆すことを公にしたら…」

思わず心臓がドキッとした

それって…、ヤバいじゃん


...



「私とおけい、それに香月アキラの証言とも食い違う…。相和会だけでなく、警察にも極めてマズイ事態ってことになりますね」

私がほとんど間をおかず自分の見解を言うと、倉橋さんは小さくうなずいた

「そういうことだ。厳密には、ここでの警察は埼玉県警になるがな。…その上で、どうやら向こうは、クスリの出所は生前の相馬会長だと…。そう匂わせる方向に持っていくハラみたいだ。今は、それをチラつかせてる。まあ、そんなところだよ」

これは厄介なことになってきたわね

事の成り行き次第では、私らトライアングル関係の3人が再び、”渦中”に引き戻されるわ…


...



「麻衣ちゃん…、相和会では、この関西のアクションは関東も承知していたと見てるんだ。つまり水面下では、最初から会長が死んだあとの相和会に対する共同戦線が張られていたということになる。これは何を意味するか、わかるよな?」

「はい…」

そう返事はしたものの、私の頭の中は錯綜していた

関東と関西が対相和会で連携していたなら、相和会側は想定とは全く違った対応が必要になる

さしずめ、私に接触してきた星流会も親筋を通じ、関西と組んでの上でなら、向き合う相手は全国組織両方ってことだし…

その星流会の顔デカ親分とは明日、会うことになってるんだよ

なんか、凄いことになってきたぞ…