真実、その深い沼/その2
アキラ




部屋に入りその封筒を開けると、印刷物をコピーしたものが5枚入っていた

それはまさに今日、赤子さんから聞いた記事のコピーそのものだった

オレはすぐさま、そのコピーを一気に読みほした

これは…、完全にマッドハウスをめぐる事案だ‼︎

しかも、ついこの前の閉鎖される間際から、オレが地上げに関わっていた頃までさかのぼった時期の、ほぼ”真実”だった

まさしく、オレがかなりリアルに関与していた出来事が軸になっている

オレ、チョイ役じゃないよ

そして、この記事の情報提供者が頭に浮かんだ

じゃあ、これって、もしかすると…



...



プルルーン、プルルーン…

しばらくして自宅の電話が鳴った

受話器を取ると、年配の男の人だった

「もしもし、夕食時すいません。香月さんですか?」

「はい。どちら様でしょうか?」

「一度お会いしてますが、追川です。”実話キャッチ”で記事書いてる…。覚えてらっしゃいますか?」

オレは瞬間的に、この記事の”正体”が分かる

そう直感した…


...



「ああ、アパートの前で会った方ですよね」

「ええ。あの時はどうも…。あの、送った郵便物はもう届いてますかね?」

「はい、今日ポストに…」

「そうですか。読みましたか、その記事?」

「はい。さっき、ひと通りは…」

「君ならそれ、一目瞭然だったと思う。マッドハウスをめぐる内幕の暴露だと…」

「…」

オレはすぐに答えられなかった

なにしろ、これ、相和会が知ったらヤバいだろって

これ…

そう考えた途端、背中に汗がにじんできた