ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

猛る狂気/その12
アキラ



この子は本当に感性が鋭いや

オレ、つい”例の決断”をしたことを、また持ち出しちゃって…

今日は昨日と立場が逆で、キズのナメ合いになるとこだった

彼女はすでに覚悟を固めてる

オレもそのつもりでいるさ

なにしろ今は、彼女の停学が解けるのを待つことだ

なんか、大体の今後の話、できちゃったかな…、今日で

ただ、”あのこと”は口に出せなかった


...



昨日、病室で麻衣が口にした言葉…

”あなた達から私の存在は消せない…”

アイツはオレ達にはもう金輪際、関わらないとはっきり明言した

もう、ヤツに振り回されて、厄介な目に遭わないで済む

オレ達がつらい決断をして、犠牲を払ってきたことが無駄にならない…

ケイコちゃんもそう思ったに違いない

さすがに安心していたみたいだったし…


...



だが、彼女とオレはこれからもヤツの”存在”とは付き合わなきゃならないってことなのか

それって、一体どういう意味だろう

アイツのことだ

何もハッタリやでまかせとは考えずらい

心の中には一抹の不安が消えないままだった


...


今日、赤子さんからの返事が届いた

便せん3枚の手紙とピックが1個入っていた

手紙の内容では、バンド加入の具体的なアプローチが記されていた

来週には電話してくれるそうなので、細かい話が聞けそうだ

あと、オレ自身のこととオレの彼女、つまりケイコちゃんとの仲を気遣ってくれていて…

それはしっかり心に届いた

あの人には感謝の気持ちでいっぱいだ

それとタクヤのことか…


...



アイツ、業界から追放状態になったってことらしい

赤子さんは自業自得とシビアに捉えていたが…

でもなあ…

気の毒な気もするよ、タクヤに対しては

また赤子さんには呆れられるだろうけど

結局はタクヤ、あの本郷麻衣にケツの毛まで毟り取られたということだし

いいように利用されて、夢だったプロデビューが叶った途端、すべてを奪われて

麻衣に接触したばかりに…


...



麻衣、お前のことは知ったことじゃない

だが、本当にもうおとなしくしてろ

でないと、まじでヤバいぞ

クソッ、気が付くとあの野郎のことを頭に浮かべてる

麻衣が言った言葉って、こういうことなのだろうか…