ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

運命の急流/その12
麻衣



「以上だよ…、麻衣ちゃん」

倉橋さんはネクタイを緩め、肩で大きく深呼吸をしてる

私は思わず下を向いて…

さすがに私も動揺していた

だって…、いくらなんだって驚きだし

最後通告の踏み絵で、こんなボールを投げてくるんなんて…

剣崎さんと相和会トップは、この条件を私が受け入れれば、これで終いにする訳?

頭も混乱してるわ

とにかく青天のへきれきだって…


...


まずは気持ちを落ち着けた

そして、最初に私の頭に浮かんだこと…

それは、この話を組織のトップから受け取って、私に告げる”彼”の気持ちだった

これって…

仮に私が承諾すれば、倉橋優輔が私の保証人になることだよ

しかも、無期限で包括責任を負う…


...



いくら私のこと、愛してくれてると言ったって…

長年、全国組織からの挑発行為に最前線で命を張ってきた、超荒くれ者だよ

大阪万博の年、敵からの5時間にわたるリンチにも屈さず、相馬豹一の真髄をもっとも実践してきた功労者だし

その倉橋さんが、私のことでこんな決断をしてくれてるの…

私はややうつむいてる彼を見続け、そんな思いを抱いていた

その視線は、いつもの私のそれとは違ったものだったと思う…