運命の急流/その11
麻衣
「まず言っとくぞ。”これ”をオレに持たすのに、剣崎さんは矢島さんに相当食い下がった。なんとかかんとか、やっとこさってとこだったようだよ。それこそ…」
「…」
クールな倉橋さんにしては、珍しく感情がこもっていた
それだけ、剣崎さんが苦労しての”最後通告”ってことだろう
「現会長は、すでに君の対処を考えていただろう。オレも含めてな。剣崎さんがいなかったら、二人とも今頃消されてたかもしれない…」
わかってる、わかってるって…
剣崎さんに私がどれだけ助けられてるかは
「剣崎さんにはとても感謝してるわ。こんな小娘に、最初からずっと関わってもらったんだもん。迷惑かけて申し訳ない気持ちはありますよ」
この言葉に、嘘偽りはない
私の正直な心の内だし…
...
「なら、その気持ちを噛みしめて聞いてくれ…。これから言う二つのうち、どちらかを君が承諾すれば、それで済む。口頭で構わないそうだ。ふふ…、どうやら剣崎さんだけでなく、現会長の矢島さんも麻衣ちゃんが口に出したことは信用おけると。そういう認識らしい。大したもんだ。これまでの君の行動には、今の会長も目を細めてたからよう…」
「ありがたいですね、こんな小憎らしいガキに…」
「…」
再び倉橋さんがベッドから体を起こし立ち上がると、私の方に歩いてきた
そして、椅子に座ってる私の横で止まり、おでこに軽くキスをした
そのあと、テーブルを挟んだ正面に腰かけ、私をじっと見つめてる
「じゃあ、麻衣ちゃん、いいな?」
「はい。お願いします」
...
「まずひとつ目だが、これは前回と一緒だ。今後絶対に”コト”を起こさないと、オレの前で誓うんだ。あいまいな表現だが、君とは解釈の相違はあり得ないと判断している」
「わかりました。もうひとつもお願い…」
私はせっつくようだった
倉橋さんはうなずいてから口が開くまで、かなりの間があった
「…オレと籍を入れるか、婚約を交わすこと。期限はともに来月末日まで。ただし、口頭での宣誓は即答が条件だ」
「…」
ふたつ目のそれって…
愕然だった
思いもしなかったことで、言葉が出なかったよ、私…
麻衣
「まず言っとくぞ。”これ”をオレに持たすのに、剣崎さんは矢島さんに相当食い下がった。なんとかかんとか、やっとこさってとこだったようだよ。それこそ…」
「…」
クールな倉橋さんにしては、珍しく感情がこもっていた
それだけ、剣崎さんが苦労しての”最後通告”ってことだろう
「現会長は、すでに君の対処を考えていただろう。オレも含めてな。剣崎さんがいなかったら、二人とも今頃消されてたかもしれない…」
わかってる、わかってるって…
剣崎さんに私がどれだけ助けられてるかは
「剣崎さんにはとても感謝してるわ。こんな小娘に、最初からずっと関わってもらったんだもん。迷惑かけて申し訳ない気持ちはありますよ」
この言葉に、嘘偽りはない
私の正直な心の内だし…
...
「なら、その気持ちを噛みしめて聞いてくれ…。これから言う二つのうち、どちらかを君が承諾すれば、それで済む。口頭で構わないそうだ。ふふ…、どうやら剣崎さんだけでなく、現会長の矢島さんも麻衣ちゃんが口に出したことは信用おけると。そういう認識らしい。大したもんだ。これまでの君の行動には、今の会長も目を細めてたからよう…」
「ありがたいですね、こんな小憎らしいガキに…」
「…」
再び倉橋さんがベッドから体を起こし立ち上がると、私の方に歩いてきた
そして、椅子に座ってる私の横で止まり、おでこに軽くキスをした
そのあと、テーブルを挟んだ正面に腰かけ、私をじっと見つめてる
「じゃあ、麻衣ちゃん、いいな?」
「はい。お願いします」
...
「まずひとつ目だが、これは前回と一緒だ。今後絶対に”コト”を起こさないと、オレの前で誓うんだ。あいまいな表現だが、君とは解釈の相違はあり得ないと判断している」
「わかりました。もうひとつもお願い…」
私はせっつくようだった
倉橋さんはうなずいてから口が開くまで、かなりの間があった
「…オレと籍を入れるか、婚約を交わすこと。期限はともに来月末日まで。ただし、口頭での宣誓は即答が条件だ」
「…」
ふたつ目のそれって…
愕然だった
思いもしなかったことで、言葉が出なかったよ、私…



