運命の急流/その10
麻衣
「麻衣ちゃん、”上”は君の手が加わったと見てる。どうなんだ?」
「あなたは私が答える訳ないの、知ってるはずだけど」
「少なくとも”上”は、手荒いマネしても聞き出せと言ってる」
「なら、どうするの?」
「…」
ここで倉橋さんはサングラスを取って、私の方に顔を向けた
表情はいつもの彼だ
私をここで抱くときの優輔さんだった
...
「いいか、この記事に対する相和会としての見解を言うぞ。特定性が極めて弱いこと、発行した出版社の社会的信用度がゼロに近いって点で、懸念の必要はないだろうということだ。しばらく静観して深刻な事態に及ばなければ、そのままという方針だよ」
「そうなの」
「だが、君が関与したことは確信している。この意味するところ、わかるよな?」
「…この記事での社会的反響が相和会に影響を及ぼさなくても、私が関与したって疑念を晴らさない限り、上の人が私を許すか許さないかってことでしょ」
「まあ、そんなところだ」
「あなたはその場合の”回答”を今日、持ってきているの?」
「ああ…」
この前、ここで私が望んだとおりになったじゃない
倉橋さん…、刺激的だよ、とても
...
しばらく二人は顔を見合ったままで、口を開かなかった
「ふーっ」
倉橋さんは大きなため息を吐くと、上着を脱いで、ベッドに仰向けになった
「オレが預かってきたのは、”最後通告”だよ、麻衣ちゃん」
「聞かせてください、それ」
麻衣
「麻衣ちゃん、”上”は君の手が加わったと見てる。どうなんだ?」
「あなたは私が答える訳ないの、知ってるはずだけど」
「少なくとも”上”は、手荒いマネしても聞き出せと言ってる」
「なら、どうするの?」
「…」
ここで倉橋さんはサングラスを取って、私の方に顔を向けた
表情はいつもの彼だ
私をここで抱くときの優輔さんだった
...
「いいか、この記事に対する相和会としての見解を言うぞ。特定性が極めて弱いこと、発行した出版社の社会的信用度がゼロに近いって点で、懸念の必要はないだろうということだ。しばらく静観して深刻な事態に及ばなければ、そのままという方針だよ」
「そうなの」
「だが、君が関与したことは確信している。この意味するところ、わかるよな?」
「…この記事での社会的反響が相和会に影響を及ぼさなくても、私が関与したって疑念を晴らさない限り、上の人が私を許すか許さないかってことでしょ」
「まあ、そんなところだ」
「あなたはその場合の”回答”を今日、持ってきているの?」
「ああ…」
この前、ここで私が望んだとおりになったじゃない
倉橋さん…、刺激的だよ、とても
...
しばらく二人は顔を見合ったままで、口を開かなかった
「ふーっ」
倉橋さんは大きなため息を吐くと、上着を脱いで、ベッドに仰向けになった
「オレが預かってきたのは、”最後通告”だよ、麻衣ちゃん」
「聞かせてください、それ」



