ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

運命の急流/その10
麻衣




「麻衣ちゃん、”上”は君の手が加わったと見てる。どうなんだ?」

「あなたは私が答える訳ないの、知ってるはずだけど」

「少なくとも”上”は、手荒いマネしても聞き出せと言ってる」

「なら、どうするの?」

「…」

ここで倉橋さんはサングラスを取って、私の方に顔を向けた

表情はいつもの彼だ

私をここで抱くときの優輔さんだった


...


「いいか、この記事に対する相和会としての見解を言うぞ。特定性が極めて弱いこと、発行した出版社の社会的信用度がゼロに近いって点で、懸念の必要はないだろうということだ。しばらく静観して深刻な事態に及ばなければ、そのままという方針だよ」

「そうなの」

「だが、君が関与したことは確信している。この意味するところ、わかるよな?」

「…この記事での社会的反響が相和会に影響を及ぼさなくても、私が関与したって疑念を晴らさない限り、上の人が私を許すか許さないかってことでしょ」

「まあ、そんなところだ」

「あなたはその場合の”回答”を今日、持ってきているの?」

「ああ…」

この前、ここで私が望んだとおりになったじゃない

倉橋さん…、刺激的だよ、とても


...


しばらく二人は顔を見合ったままで、口を開かなかった

「ふーっ」

倉橋さんは大きなため息を吐くと、上着を脱いで、ベッドに仰向けになった

「オレが預かってきたのは、”最後通告”だよ、麻衣ちゃん」

「聞かせてください、それ」