ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

運命の急流/その9
麻衣



家裁に行ってきた翌日、花火がドンと上がった

その花火のリアクションが、間もなく届く

いつものカンだ


...



「麻衣、アンタに手紙。なんか切手貼ってないし、差出人の名前もないわ」

夕方、お母さんが私の部屋に手紙を持ってきた

何のことはない

決められた連絡方法での、”招待状”だ

私は着替えを済ませ、家を出た

行先はリッチネル


...



指定の部屋に入ると、ベッドにサングラスをかけたスーツ姿の倉橋さんが座っていた

「お待たせです」

「…」

「隣に座った方がいい?それとも立ったまま?」

「そこの椅子に座ってくれ。オレはここにいる。そんで話だ」

私は、窓から外が見渡せる椅子に腰を下ろした

目の前にはテーブルがある

そしてその上に、一冊の週刊誌が、あるページを開いた状態で置いてあった

「その記事はもう読んでいるな?」

「ええ…」

「いつ読んだ?」

「”発売日当日”。近くの本屋で立ち読みしたわ」

「…」

倉橋さんの声は低く、普段より音量は小さかった