運命の急流/その2
ケイコ
「お姉ちゃん、入っていい?」
「うん」
妹の美咲が部屋に入ってきた
「お母さん、お父さんに電話したよ。お父さん、お姉ちゃんに挫けるなって言ってたって。お母さんは、今日は疲れたからこのまま寝るって。明日またゆっくり話しましょうって」
「わかった、ありがとう。そうか…、お父さんはそんなことを…。ゴメンな、美咲にも迷惑かけて」
「ううん。退学になっても、自慢のお姉ちゃんに変わりはないよ。元気出してね」
「ありがとう。いつも美咲には励まされて、感謝してるよ」
2歳年下の美咲にはここのところ、心配をかけ続けている
来年は高校受験だし、これ以上迷惑はかけられない
でも…
「あのさ、この前、ちょっと話したバンドやってる彼氏の件なんだけど、お母さんには話してないよな?」
「約束だもん、お姉ちゃんとの。話してないよ」
「ああ、すまない。それでね、彼とは真剣なんだ、お姉ちゃん。でも、お母さんに紹介すると、ある理由で彼との交際は反対されるはずだからさ」
さあ、この先の言葉だ…
「…高校もこういうことになったから、もしかすると、家を出て彼のところに行くかもしれない。まあ、今すぐってことじゃないと思うんだけどさ…」
私の中では迷いもあったが、ここで妹に”宣言”することにした
...
「そうなの…。私も一回言ったけど、その人と会わせて。それで、いい人なら、お姉ちゃんたちの味方になるから」
「美咲…」
「時間かかるかもしれないけど、お母さんやお父さんを説得する立場でいる」
私は嬉しかった
子供だと思っていた美咲が、まさか、こういうことにまで気を回してくれてるってことが意外でもあったが、力強くもあった
「ぜひ会ってもらうよ、美咲には。素敵な人だ。でも、美咲が惚れちゃダメだぞ」
美咲はにっこり笑ってる
長い夏を終えたアキラと私の”次の季節”は、早くも目まぐるしく展開している…
それは急流に乗っかっているかのように…
高校卒業の望みが絶たれた今日、そう感じずにはいられなかった…
ケイコ
「お姉ちゃん、入っていい?」
「うん」
妹の美咲が部屋に入ってきた
「お母さん、お父さんに電話したよ。お父さん、お姉ちゃんに挫けるなって言ってたって。お母さんは、今日は疲れたからこのまま寝るって。明日またゆっくり話しましょうって」
「わかった、ありがとう。そうか…、お父さんはそんなことを…。ゴメンな、美咲にも迷惑かけて」
「ううん。退学になっても、自慢のお姉ちゃんに変わりはないよ。元気出してね」
「ありがとう。いつも美咲には励まされて、感謝してるよ」
2歳年下の美咲にはここのところ、心配をかけ続けている
来年は高校受験だし、これ以上迷惑はかけられない
でも…
「あのさ、この前、ちょっと話したバンドやってる彼氏の件なんだけど、お母さんには話してないよな?」
「約束だもん、お姉ちゃんとの。話してないよ」
「ああ、すまない。それでね、彼とは真剣なんだ、お姉ちゃん。でも、お母さんに紹介すると、ある理由で彼との交際は反対されるはずだからさ」
さあ、この先の言葉だ…
「…高校もこういうことになったから、もしかすると、家を出て彼のところに行くかもしれない。まあ、今すぐってことじゃないと思うんだけどさ…」
私の中では迷いもあったが、ここで妹に”宣言”することにした
...
「そうなの…。私も一回言ったけど、その人と会わせて。それで、いい人なら、お姉ちゃんたちの味方になるから」
「美咲…」
「時間かかるかもしれないけど、お母さんやお父さんを説得する立場でいる」
私は嬉しかった
子供だと思っていた美咲が、まさか、こういうことにまで気を回してくれてるってことが意外でもあったが、力強くもあった
「ぜひ会ってもらうよ、美咲には。素敵な人だ。でも、美咲が惚れちゃダメだぞ」
美咲はにっこり笑ってる
長い夏を終えたアキラと私の”次の季節”は、早くも目まぐるしく展開している…
それは急流に乗っかっているかのように…
高校卒業の望みが絶たれた今日、そう感じずにはいられなかった…



