再び出会った道/その20
剣崎



「たまげたなあ。兄貴そのもじゃねえかよ、あれじゃ…」

明石田の叔父貴は文字通り、たまげていたよ

「自分の息子のキ○タマを切りつけた小娘をよう、血縁に仕立ててやりたい放題やらせてたって言うから、どんなもんかとは思っていたが…。おい、剣崎!あれ、使えるぞ」

「ええ、そのつもりで、しばらくは好きに動かせようかと思ってます」

しかし、ここまでこの人が驚嘆するとはな

もっとも、オレが出会った1年半前と今じゃ、麻衣のイカレ具合も数段違うか(苦笑)


...



「しかしよう、倉橋がここんとこ一皮剥けしたと感じてはいたが、あの娘の影響だったんだな。もともと兄貴の色は持っていると思っていたが、麻衣に惚れて、テメエん中のヤバいもんが眠りを覚ましちまったんだろう」

今日、あの二人と面会して、叔父貴は倉橋と麻衣を一緒にさせることを、最大限に評価してくれたよ

この辺は矢島さんとは決定的に違うな、やはり…

しかも、半世紀にわたり、相馬さんと二人三脚してきた人だけに、今の麻衣の活かし方を瞬時に悟ったようだし

そうさ、東西両広域連中と新しいルールを定めた直後だからこそ、仕掛けなんだ

関西に北を容認したからには、南を従来から担ってる星流会は気合いが入って当然だからな

所詮、永久の競争相手だ、関東と関西は

いい按配で出張って来てくれてるんだ、星流会が

相も変わらずガキを前におっぺして、はは…


...



だが、こうなると…、麻衣が諸星に噛みついたのは、結果的にいい効果を生んできたな

倉橋ともいくつかの”共同作業”を仕組んでるようだし

仮に麻衣が恨みを買って命を落とそうが、ヤツも倉橋も平気だ

あの二人、互いに命を預け合ってる

つまり、オレと矢島さん、明石田の叔父貴にとっては誠に都合のいい限りってことだ

リスクは最小限でとどめることが可能なオペレーションだな、言ってみれば(笑)


...




麻衣は、再びこれまでの道に戻ったって訳だ

だが、去年までとは違う

俺が常にハラハラしながら、ヤツを見守ってきたのとは明らかにな

それも、あの荒くれの倉橋と”最狂タッグ”を組んだんだ

安心して見てられる

いや、いや…

かえって怖いな

あの二人なら、どえらいことを平気でやらかしかねん(苦笑)

なにしろ、一応の舞台は未成年のガキどもの集団だ

やり過ぎたらマズイ

やはりイカレ者は、目を離す訳にはいかないか