ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

果てなく、妖しく…/その11
麻衣



「あのさ…、その前に、唐突だが、聞かせてくれるか?」

「うん、何?」

「お前、今妊娠してないか?」

「えー?してないよ。なんで?」

さすがにこの突飛な質問に、久美もこぼれ笑いして答えたわ

ならばだ、久美、お前の決意を図るぞ

「今、お前の付合ってる男、相和会のええと下の名前がアツシって奴だな?」

「…そう」

久美はまた神妙な顔に急変させて、短く答えた


...



「そいつ、去年の春、私たち4人が相和会に拉致られた時、お前を犯した男だったんじゃないか?」

「うん…」

「本気で好きなのか?」

「最近になって、本気になってきた感じだよ」

「そうか。だが、その男はダメだ。別れろ」

「え?あの…、でもなんで…?」

「何度か言ったと思うが、私は小さいころから勘が鋭くてさ。あいつはお前にとって良くない」

「でも…、急になんで…。それに向こうも簡単には納得してくれないと思う。あのね、時々暴力振るったり、怖いとこあるから…」

「だから、今のうちに切れるんだよ。先方へは、全く問題ない。5秒でカタが着く。わかるだろ?私が手を回せばそういうことだって」

「うん、そうだね。じゃあ、私からは話さなくていいの?」

「ああ、こっちで全部やる。ただ、相和会経由でやらせる前に、久美が一度会って、ああ、別れ話はしなくていいから。私に引き合わせる取持ちをしてくれ。事前にさ、こっちも”色”塗っとくこともあるから…」

「じゃあ、そういうことで決心するよ。ちょっと、彼のこと未練なくもないけど…」

「久美はかわいいんだ。普通になればモテるって。それに、真樹子さんはまだその気だぞ。なんなら”彼女”でもいいんじゃないか?」

久美はケタケタ笑ってるよ

泣いてたカラスが何とやらだ、はは…


...



「麻衣、もう決して裏切らないから。よろしく頼みます」

最後に久美は深く頭を下げた

「ああ、大福ありがとうな。家でお母さんと食べるよ。じゃあ、また連絡する」

私は逆髪神社を後にして帰路に就いた


...


ふー、今日は病院帰りの身にはハードすぎたな

でもこれで、まあだいたいか…

後はドカンっと一発花火が上がって、それで”方向”が決まる

仕込みはしてあるから、ボタン押すだけだし(笑)

倉橋さん、刺激的になってきたってば!