ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

再び出会った道/その11
追川



まずは、本郷麻衣の婚約について触れない訳にはいかない

「最初にこの件を、あなた方がすでに承知されているかどうか、伺いたいんですが…」

「…、ケイコから聞いて知っています。麻衣の婚約のことは…」

やはりもう耳に入っていたか…

「…、正直言って、本郷麻衣と相和会幹部との婚約が明るみにでたことをどう捉えていいのか、今の俺にはわかりかねます。そのそも、相手の倉橋という男だって、かろうじて名前を聞いてる程度ですしね。あなたはその男のことを、知ってるんですか?」

「ええと、そう言うのは…、今は」

「ああ、これは失礼。そちらの知り得ることにはタッチしない約束でしたよね」

カマかけではなかった

この仕事に漬かりきった業界人の習性がなせる性

そんなところだ


...



相馬豹一がらみを追いかけてきて、常に俺が感じていたのは、驚愕だった

あり得ないだろう、こんなことは…

要は、いつも”そこ”に行きついていたような気がする

そしてこの夏、そのあり得ないだろうことは、極限に達した


...



本郷麻衣と横田競子

昨年の夏、都県境の女性勢力下の最前線に躍り出た、二人の女子高生だった

いずれも相馬の遠縁の娘として噂されていたこの二人の女の子が、この夏に相馬が死んで直後勃発した相和会の跡目争いの最中、例のクスリによる立件で俺の視界に飛びこんできた

そして今、目の前にいる香月アキラもその渦中にいた


...



「アキラさん…、電話でも話したが、関東と関西は相馬がいなくなった相和会を、互いに競い合いながら攻め込んでいくと読んでいた。時間をかけてね。当の相和会自身もそう、想定していたと思う。ところが、実際は手を組み、双方にとって長年、目の上のたんこぶであった相和会を囲い込む方針に出た」

俺はアキラの表情に注視しながら、噛み砕くように話を始めた

「…、これは代の代わった新体制にプレッシャーをかけ、今後の攻め口を得る狙いだった。北原や旧建田組を関西が引き抜いた後、仇敵の関東とくっついたことを明かすなど、交渉材料を仕込んだ上で周到な手を打ってね。俺もそうだが関係者は、その時点で、もう到達点は察していたよ…、それは…」

ここで”彼女”が注文を聞きに来た

「レモンティー、お願いします」

「はい、レモンティーですね。少々お待ちください」

彼女はお世辞抜きで、最高の笑顔の持ち主だ

ここでも席を去る間際、”彼”と笑顔でアイコンタクトを交わしていた

二人がますます愛おしい…