ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

再び出会った道/その10
追川


「いらっしゃいませ…」

俺の前にお冷を差し出すウエイトレスに、ゆっくりと視線を向けた

横田競子か…!

「…」

「”彼女”です…」

正面の香月アキラは低い声で、俺に囁くようだった

「ご注文、お決まりの頃に伺います…」

彼女からの言葉はそれだけだったが、同時に会釈した目で、もう一つの”挨拶”を送ってきた

「ええ、どうも…」

俺もこの短い言葉で、”二つの立場”からの挨拶を兼ねた

制服姿が抜群に似合っていた”彼女”は、席を後にした…

太陽のような子だ…

俺は咄嗟に、アタマの中でそうつぶやいた

さらに…

この二人、心が繋がっている…


...



俺は仕事柄、直視できないような人間模様を幾多、目の当たりにしてきた

多くは心の奥底がどんより曇るような、やるせない情景だったよ

恨み、憎しみ、怒り、ジェラシー、復讐心…

生身の人間が精一杯生きて行く過程で、様々な障害や苦難と出会い、不本意ながら、得てして望まない境遇に辿り着くことは人の常だ

人間が負の渦にいったん足を引きこまれると、そこは生きながらの無限地獄だ

俺はそんな、己の心の業火で、他ならぬ自分自身己を焼かざるを得ない人々を取材し続けてきた

人を信じることをしようと思っても、それができない…

これこそ、人間にとっての究極の不幸じゃないのか?


...



人を純粋に信じ切る心を持ち続けること

言うは易し、行うが難し…

それを皮膚感覚で享受している俺にとって、たった今、ここで二人の見せた佇まい…

なんと純朴なんだろう

世にも奇異な状況で出会ったこの二人

幸せにしたい…

俺の望みは単純だった