ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

再び出会った道/その9
追川



今日夕方、香月アキラと会うのだが…

その直前、新たな動きがあった

本郷麻衣と和和会幹部との婚約が表明されたと…

何とも衝撃的なニュースだ

これは…、果たしてどう捉えればいいのか…

今のところは、なんともだ

これから会う、”彼ら”の耳にも入っているのだろうか

もし、まだ知り得ていなければ、話さない訳にはいかないよな…


...



約束の場所は埼玉南部、K駅に近い仲通りのファミレスだ

店に入ると、さすがに夕食時だ…

かなりの客で賑わっていた

ええと…、窓際から離れた席で、時間前に来てると言ってたな

店内をざっと見回すと…、いた!

香月も俺に気付いて、手を上げている

「いらっしゃいませ。お客様、お一人様ですか?」

ウエイトレスが声を掛けてきた

「ああ、待ち合わせです。あそこの席の人と…」

俺は香月の方を指してそう言うと、その若い子は「そうですか。では、あちらのお席へどうぞ…」

うん、”彼女”ではない…


...



なにしろ、横田競子は遠巻きに数度、見かけたきりだ

警察から戻ってきた直後に…

長身のスマートな体型で、脚は一目見て長いと感じた

その時、髪はショートカットだった

今の子とは見た目でも全然違っていたしな…


...



「香月さん、今日はどうか、よろしく…」

俺は席に着くなり、早口でまずは挨拶した

「こちらこそ、よろしくお願いします」

彼は中腰になって頭を下げながら、心もち笑顔で挨拶を返してきたよ

やっとじっくり話せる…


...



彼とは”あれ”以来だ

まだ暑かったあの日、香月アキラは警察から出てきて間もなかった

アパートの前で見たやつれた彼の顔は、はっきり思い出せる

あれからさほど経っていないが、いくらかはふっくらしたようだ

顔の艶もいいし…


...



「追川さん、彼女は仕事中なので今日はオレひとりになりますが、いいですか?」

「ええ、わかりました。じゃあ、それで…」

二人は向かい合って、共に頷いた

今日は仕事ではない

だが、何なんだろう

このある種の到達感…

無論、まだ5合目

そんなところではあるが…


...



そして、まるで自分自身のことのように、無意識にガチッと向合ってる生々しい切迫感だ

ライフワーク…

ふと、このフレーズが頭をよぎった…

さあ、行くぞ

俺は心の内で大きく深呼吸をしていた