再び出会った道/その1
剣崎
明石田の叔父貴は今回の合意を、”実りがあった”と捉えてくれてるようだ
今日は静岡郊外にある叔父貴の私邸で、広域側との折衝結果の報告に来ている
「まあ、それにしてもよう、戦後ずっと抗争が絶えなかった西と東をかりそめとは言え、くっつけちまったんだから、相和会の存在もエライもんだなあ…」
明石田さんは唸っていたよ
たしかに広域組織にとって、相馬豹一は誠に厄介な存在だったろうが、先代亡き後の対相和会で、”偽装結婚”みたいな思い切った決断までして打って出るとは、さすがに予想外だったしな
...
「結果として、こっちには好都合な取り決めが交わせたな。向こうはセオリー通りのアタマだから、利を得たと思い込んでるだろうよ。お前と矢島の本当の狙いなど想像もつかんさ、奴らには。そもそもだ、俺だってよくわかんからな、相和会の将来像ってのはよう、ははは…」
とは言え、この人は旧来の通り一遍の極道とはモノが違う
なにしろ、相馬さんと敗戦後の引き揚げ船で出会って意気投合して以来、長年ケモノと共に歩んできた人だ
俺の描く青写真は”理解”してくれてる
最も明石田さんにとってみれば、”あの”矢島さんが、破門した北原や旧建田組への”処置”を見合わせたことが大きかったはずだ
建田さんの一派にとっては、ずっと好意的に接してくれてきた人だから、離脱した連中など、叔父貴に身の安全をしきりに打診していたらしいからな
...
広域組織側との取り交わしでは、建田さんがムショから戻る際、それなりの”出迎え”を整える要素も含ませてある
ただし、建田さんからすれば対面があるから、そこに収まるにしても、明石田の叔父貴から直に進言されることが必要不可欠になる
要はこの仲立ちは叔父貴にしかできない
つまり、明石田さんには、離脱者以外の、相和会内部に残った旧建田組へも威光が保たれたことにつながる
さすがは明石田の叔父だと…
当然、矢島さんと俺は、そういった事情を配慮したことへの”評価”を当て込んでる
なぜなら、この叔父貴の力があってこそ、今後も相和会が広域の連中と張っていけるということを、俺たちは忘れていないからだ
...
「次ですが、倉橋と本郷麻衣の婚約を公表する件で…」
この事案に切り出すと、一瞬鋭い眼光が俺に届いた
剣崎
明石田の叔父貴は今回の合意を、”実りがあった”と捉えてくれてるようだ
今日は静岡郊外にある叔父貴の私邸で、広域側との折衝結果の報告に来ている
「まあ、それにしてもよう、戦後ずっと抗争が絶えなかった西と東をかりそめとは言え、くっつけちまったんだから、相和会の存在もエライもんだなあ…」
明石田さんは唸っていたよ
たしかに広域組織にとって、相馬豹一は誠に厄介な存在だったろうが、先代亡き後の対相和会で、”偽装結婚”みたいな思い切った決断までして打って出るとは、さすがに予想外だったしな
...
「結果として、こっちには好都合な取り決めが交わせたな。向こうはセオリー通りのアタマだから、利を得たと思い込んでるだろうよ。お前と矢島の本当の狙いなど想像もつかんさ、奴らには。そもそもだ、俺だってよくわかんからな、相和会の将来像ってのはよう、ははは…」
とは言え、この人は旧来の通り一遍の極道とはモノが違う
なにしろ、相馬さんと敗戦後の引き揚げ船で出会って意気投合して以来、長年ケモノと共に歩んできた人だ
俺の描く青写真は”理解”してくれてる
最も明石田さんにとってみれば、”あの”矢島さんが、破門した北原や旧建田組への”処置”を見合わせたことが大きかったはずだ
建田さんの一派にとっては、ずっと好意的に接してくれてきた人だから、離脱した連中など、叔父貴に身の安全をしきりに打診していたらしいからな
...
広域組織側との取り交わしでは、建田さんがムショから戻る際、それなりの”出迎え”を整える要素も含ませてある
ただし、建田さんからすれば対面があるから、そこに収まるにしても、明石田の叔父貴から直に進言されることが必要不可欠になる
要はこの仲立ちは叔父貴にしかできない
つまり、明石田さんには、離脱者以外の、相和会内部に残った旧建田組へも威光が保たれたことにつながる
さすがは明石田の叔父だと…
当然、矢島さんと俺は、そういった事情を配慮したことへの”評価”を当て込んでる
なぜなら、この叔父貴の力があってこそ、今後も相和会が広域の連中と張っていけるということを、俺たちは忘れていないからだ
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「次ですが、倉橋と本郷麻衣の婚約を公表する件で…」
この事案に切り出すと、一瞬鋭い眼光が俺に届いた



