ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

接近/その10
麻衣




倉橋さんは少し間をおいてから、カウンターに視線を落として口を開いたわ

それはひと際、静かな物言いで

「相馬豹一の生きた形跡を断ち切ること…。そう言ってきたらしい」

「そうなの…」

「…」

私の頭の中は、すぐに整理がついたわ


...



「本郷麻衣は、相馬さんの生きた形跡になるわよね、そりゃ。フフ…」

ここで、倉橋さんは私に顔を向けた

そして右手を、私の左肩にスーッという感じで静かに乗せたわ

「剣崎さんは可能な限り、先方から”含み”を取った。だが、今回のこれらの合意は大きな括りで、まあ、言ってみりゃ互いにフリーハンドなんだ、実際のところは。関東、関西のそれぞれの思惑だって、絡んでくるし。だから君をどうするかも…」

「うん、わかってるわ、倉橋さん。大丈夫」

私はそう言って、右肩の上で止まってる彼の右手を左肩まで横断さえた

二人はゆっくりとくっついたわ


...



「正直、麻衣ちゃんの扱いは、今後の動きも作用すると思う。諸星は砂垣を思いっきり押し出して、ガキの勢力を力攻めしてるようだから、ここで君がどう関与するかで、向こうの判断だって変わり得るってこともな…」

「相変わらず優しいのね、あなた。名前負けしてないじゃん、はは…」

「麻衣ちゃん…」

サングラスをかけていないこの人の目、やっぱり優しい…

「基本は君のやりたいようにやればいいんだ。今までもずっと言ってきたが…」

「ありがとう。家裁の方もケリ付きそうだし、もしかしたら思いっきり”出る”かもしれない。もっとも、戻ったソバからガンガンやってるか、すでに。顔デカ親分にもは、さんざん悪態ついちゃったし(笑)」

”まったく、この子は…”

優しい優輔さんは、目でそう語っていた


...



「それはそうと、あなたとの婚約は表に出さないの、まだ?」

「いや、剣崎さんは今回の話のこともあって、その影響を気にしてるんだ。ただ、君が望めば公にすると言ってる」

「そう。なら、公表しよう。それも、大々的にアドバルーン上げましょうよ。派手に、ドカンとさ。どう?」

”いやあ、参ったなあ…”

今度は優輔さんのお目々が、照れながら言ってる(笑)