清濁併呑/その8
麻衣
ハックション!
「あら、やだ…、風邪でもひいたの?麻衣さん…」
「いやいや…、全然。風邪なんかじゃないのよ。でも、ここんとこ良く出るんだわ、豪快なのが」
「ははあ…、そりゃ、都県境はあなたの噂で持ちきりだってことだわ。人気者は違うわね(笑)」
「どうせ悪党人気でしょ、私の場合。まあ、アンコウさんからも、この辺一帯は麻衣の悪口で溢れてるぞって、嫌味たらされたからね」
今日は真樹子さんの馴染みの店、ベッツに来ている
亡くなった黒原さんの奥さんが経営してるスナックでね
奥さんと真樹子さん、昔から仲良かったらしいんで
というより、真樹子さんが奥さんを慕っていて、奥さんはそんな彼女を可愛がっていた
そんな感じだったようだよ
で…、最近では時々、真樹子さんは店の方を頼まれるそうだ
...
「常連さんが来るまでまだ時間あるから、ゆっくりしてってね、麻衣さん」
「ええ…。でも、仕事の邪魔しちゃ悪いから、用件を急ぐわ。まずはお礼ね。砂ちゃんへの決別宣言、ありがとう。積田さんの決断、さぞ勇気が必要だったでしょうに…」
「…。うん、彼、正直迷ってたよ。昔のこと、いろいろと頭をよぎったみたいで…。でもね、結局見据えた方向の根っこは、やっぱり私たちと同じトコだったんじゃないかな。そこには男と女の垣根なんてないって…」
「…」
...
しかし、墨東会が反砂垣で舵を切ってくれたのは大きい
このリアクションによって、都県境のマジョリティーは一気に反排赤に軸足が移った
積田さんの決断に南部さんも支持を表明した段階で、もう勢いは雪崩を打ったわ
去年夏の再編騒動で、南玉連合を去った相川さんと湯本さんがいち早く連動し、渡米中の高本健一さんと嵯峨ミキさんからも同様の意思表示が届いた
積田さんに真樹子さんが”付いてる”ことを承知で、あの人達が小異を捨ててくれたんだ
へへ、私が表に出ていたら、そうはいかなかっただろうね
要は真樹子さんは嫌われ者でも、私の比じゃないってことよ
勝ってるじゃないのよ、私、真樹子さんに
どんなもんだっての!
麻衣
ハックション!
「あら、やだ…、風邪でもひいたの?麻衣さん…」
「いやいや…、全然。風邪なんかじゃないのよ。でも、ここんとこ良く出るんだわ、豪快なのが」
「ははあ…、そりゃ、都県境はあなたの噂で持ちきりだってことだわ。人気者は違うわね(笑)」
「どうせ悪党人気でしょ、私の場合。まあ、アンコウさんからも、この辺一帯は麻衣の悪口で溢れてるぞって、嫌味たらされたからね」
今日は真樹子さんの馴染みの店、ベッツに来ている
亡くなった黒原さんの奥さんが経営してるスナックでね
奥さんと真樹子さん、昔から仲良かったらしいんで
というより、真樹子さんが奥さんを慕っていて、奥さんはそんな彼女を可愛がっていた
そんな感じだったようだよ
で…、最近では時々、真樹子さんは店の方を頼まれるそうだ
...
「常連さんが来るまでまだ時間あるから、ゆっくりしてってね、麻衣さん」
「ええ…。でも、仕事の邪魔しちゃ悪いから、用件を急ぐわ。まずはお礼ね。砂ちゃんへの決別宣言、ありがとう。積田さんの決断、さぞ勇気が必要だったでしょうに…」
「…。うん、彼、正直迷ってたよ。昔のこと、いろいろと頭をよぎったみたいで…。でもね、結局見据えた方向の根っこは、やっぱり私たちと同じトコだったんじゃないかな。そこには男と女の垣根なんてないって…」
「…」
...
しかし、墨東会が反砂垣で舵を切ってくれたのは大きい
このリアクションによって、都県境のマジョリティーは一気に反排赤に軸足が移った
積田さんの決断に南部さんも支持を表明した段階で、もう勢いは雪崩を打ったわ
去年夏の再編騒動で、南玉連合を去った相川さんと湯本さんがいち早く連動し、渡米中の高本健一さんと嵯峨ミキさんからも同様の意思表示が届いた
積田さんに真樹子さんが”付いてる”ことを承知で、あの人達が小異を捨ててくれたんだ
へへ、私が表に出ていたら、そうはいかなかっただろうね
要は真樹子さんは嫌われ者でも、私の比じゃないってことよ
勝ってるじゃないのよ、私、真樹子さんに
どんなもんだっての!



