ヒートフルーツ【特別編集版第2部】/リアル80’S青春群像ストーリー♪

清濁併呑/その1
アキラ



驚いた!

なんと、いきなり契約だもん…

条件は赤子さんから概ね聞いていたし、こっちは即答したんだが…

ただ”例の件”だけは、念のため再確認した

事務所の社長さんは、早口で答えてくれたよ

「確かに薬物関連はまずいんだ、この業界は特にね。はっきり言って、本来ならハネてたよ」

オレは恐々と、では、なぜ…、と尋ねた

「天理の赤ちゃんが保証人ということで、一筆差し入れてくれてね。彼女、完全に冤罪だって熱弁振るってたよ(笑)。実際、不起訴だし。こっちはいざって時の、そういう目に見える形が大事だから…。もっとも、決断したのは君と会った今日だよ。俺のカンで、”よし、大丈夫”としたんだ」

何ともありがたいことだ…


...



その足で赤子さんのアパートに出向いた

まずは、しっかりとお礼をするつもりだ


...



「よう、アキラ、早かったじゃん」

「赤子さん、何から何までありがとう。まさか保証人にまでなってくれるなんて…」

オレは正座して、ぼそぼそって感じでそこまで口にしたところで、頭を下げた

「いいんだ。でもよかった。正直、私もほっとしたよ」

タバコの煙をくゆらせながら、赤子さんはやや小声だった

この時のちょっとたそがれたような表情、あまり見た覚えがないや

「あのう…、今更なんですが、なんでオレなんかにここまでしてくれたんですか?」

「アンタはロックがわかってるからさ」

「オレ、ロックって言ったって、よくわかりませんよ、まだ。いや、全然です」

「…、難しく考えなくていいさ。まあ、すでに清濁併呑でロックを体現してるよ、アンタは。マッドハウスでの2年間はまさにその物だった。あの地上げ交渉とかも含めてね。だから、今までどおりでいいと思う…。あとは技術を少しづつ学んでいけばさ」

「…」


...



この話はこれで終わったんだけど…

赤子さんとは30分ほどこれからのこととか、いろいろレクチャーしてもらって、帰り際にギターを受け取った

そのギターを手にした瞬間、オレはしびれるような感覚に襲われた

年季の入ったものだが、その分、重たいもんもずしっと詰まってる…

そんな気がしたんだ