果てなく、妖しく…その5
ケイコ



「それで、おけい。彼とはどうなった?戻ってから会ったの?」

薫がトーンの高い口調で聞いてきた

「あの…、それ、アキラさんのこと…、かな?」

私はおっかなびっくりで、まずは”確認”した

「そうよ。アキラさんとは順調に愛を育んでるんでしょ?警察の件だって、彼、ちゃんと理解してくれてて。平気なんだよね…」

「うん…、全然平気だよ。優しくしてもらってる、彼には。はは…」

とりあえずはそう答えておいた

「そうだよね。香月さんって、すごく包容力ありそうだもんね。おけいのこと、温かく迎えてくれてるよって、薫とも話してたんだよ。落ち着いたら、彼氏も一緒に4人で会おうよ」

絵美もすっかりトーンが高くなってるな…


...



「そうそう。おのろけ話、たっぷり聞かせてよ。陽子たちにはアキラさんとおけいのこと、まだ言ってないけどさ、今度いきなり彼、連れてっちゃえば。驚くよ。千葉の海、一緒に行った連中。ははは…」

「それいいね、薫。陽子たち、海で会った他のお兄さんたち、みんなタイプじゃないって、グチってたから。おけいが香月さんとラブラブなの見せられちゃったら、腰抜かすよ、きっと…」

どうやら、この二人はアキラもクスリで逮捕されたこと、知らないみたいだ

そうなら、言わない方がいいのかな、あえて私からは…

いや、いずれわかるかも知れないし、それなら先に言っといたほうが…

私は二人の話に笑顔で答えながら、頭の中は、かなり錯綜していた


...


「ああ、それから、陽子たちもそうだけど、おけいを知ってる子は今回のいろんなこと、全く変に思ってないから。心配いらないからね」

薫は思い出したような話し方だったが、たぶん、これも私を気遣ってくれてのことだろうな…

「そうだよ。おけいは有名人だから、私の高校でも今回の件、面白おかしくさ、それこそあることないこと話してる子、そりゃあいるけど。でもそれは本当のおけいを知らない人たちだから。気にする必要ないしね」

絵美…

参った…

二人とも、私とこうして会う前に、申し合わせしてたようだ

「ホントだよ、おけい。あなたの耳にもそういう中傷いろいろ入るだろうけど、気にしちゃダメよ。そういう人たちだって、おけいと友達なれば、ああ、この子は全然違うやって。すぐあなたのファンになっちゃうよ、はは…」

薫、絵美…、あなた達は本当にいい友人だ

ここまで私を信頼してくれて…

アキラのことは、今日はまだ話す勇気が出ないけど、私たちの”この先”がもう少しはっきりしたら、ちゃんと話すからね

可能な限り”本当”のことを…

真実を…