極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

どんなに悩んでいても仕事は楽しいなんて、どうかしているのかもしれない。


たとえば、お客様におすすめしたカスタムを喜んでもらえたとき、疲れた顔で来店された方がホッとした表情になったとき。
そういうささやかなことで元気をもらえるし、なによりもやり甲斐を感じるのだ。


「こんにちは」


ようやく仕事を終えて店を出るタイミングで、馬場園さんがやってきた。「こんにちは」と返した私に、彼女はすぐさま笑みを浮かべた。


「私服ってことは、もしかしてもう上がり? 私はこれから休憩でランチを摂るところなんだけど、よかったら付き合ってくれない? コーヒーをご馳走するから」

「え?」

「あなたとは一度ゆっくり話してみたいと思ってたの」


ためらわなかったわけじゃない。
ただ、先日の罪悪感が残っていた私は、戸惑いながらも承諾した。


馬場園さんにいつもはどこでランチをしているのかと訊かれて「お弁当を持参することが多いです」と答えると、JSAの社員食堂に案内された。


JSAの社員食堂は、空港内で働く人なら誰でも利用できるのだとか。
大きな一枚窓の向こう側には、ランウェイが見える。ちょうど一機のジャンボジェット機が離陸するところだった。