「樹さんが親のことだけを理由に結婚したって、本当にそんな風に思ってる？」

「それは……。確かに、それが一番の理由じゃないかもしれないけど……。でも、酔った勢いで幼なじみと体の関係なんて持ったから、きっと誠実な樹くんはすごく責任を感じてしまったんだと思う。樹くんは真面目だから……」

「真面目ねぇ？　芽衣、あんたいったいどんな生活してるの？」

「どんなって……」


普通に仕事をして、樹くんと都合が合えば一緒に食事を摂ったり、買い出しに行ったり。
そして、ときどきとは言えないくらいには、肌を重ねていて……。


もちろん、キスだって何度も交わしている。
そこまで考えたとき、頬が熱くなっていることに気づいた。


私を見ていた梅の視線が、なんだか冷たくて痛い。


「呆れた……。中高校生でももっと上手く恋愛してるんじゃない？」


厳しいけれど、あながち否定できない気がするから返す言葉がなかった。