極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

二歳年下の妹――真衣(まい)の息子の勇太は、私にとって可愛い可愛い甥っ子だ。
勇太が生まれるまでは小さな子どもと接する機会があまりなかった私だけれど、今は見事に伯母バカになっている。


出産祝いは奮発したし、ハーフバースデーにもお祝いを贈った。お正月には会えなかったから肩を落としつつ、両親にお年玉を預けた。


新年に会えなかった落胆を思い出し、誕生日は直接お祝いしたいと思う。
ただ、実家に帰るのは気が重い。


大森家にとって初孫の勇太が生まれてからずっと、両親は孫フィーバーになっている。それはいいとして、問題は順風満帆な結婚生活を送る真衣と私の対比だった。


大学時代から付き合っていた恋人と二十五歳で結婚し、昨年には第一子を出産。来週には育休が明け、職場に復帰する。
そんな真衣に反し、私は浮いた話のひとつもない。


真衣が幸せそうなのは嬉しいし、義弟はいい人だと思う。
とはいえ、実家に帰るとどうしても肩身が狭いのだ。妹一家と顔を合わせるときには、ひとりで帰るとき以上に居心地が悪くなる。


「……六時くらいには行けると思う」


それでも、可愛い甥っ子とおいしい焼肉の誘惑には抗えなかった。


『はいはい。じゃあ、よろしくね』


まんまと母の策略にハマった気がするけれど、明日の仕事帰りにはおもちゃ屋さんに立ち寄ろうと決めた。