「わっ……ッ、私、もう寝るね……!」
動揺を隠せないまま慌てて立ち上がると、彼の指から私の髪がすり抜けていく。
「芽衣」
けれど、その手はすかさず私の右手を掴んできた。
再び視線が絡む。
私を見据える瞳は怖いくらいに綺麗で、そこから目が離せない。
「今夜は夫婦らしく一緒に寝ないか」
数秒後に静かに落とされたのは、熱を纏った言葉。
それが〝ただ寝るだけ〟という意味じゃないことくらいはわかっていた。
「っ……」
(無理だよ……)
心と頭では答えが出ているのに、唇と体は動かない。
「芽衣」
極めつけに甘い声で呼ばれると、もう逃げ場はなくなっていた。
絡み合ったままの視線から熱が芽生え、唇からは微かな吐息が漏れる。
気づいたときには、小さく小さく頷いていた。
刹那、樹くんに掴まれていた手を引かれる。
彼は、もう片方の手を私の後頭部に回すと、倒れ込むような体勢になった私の体を受け止めて瞼を閉じた。
ふたつの唇に灯った熱が、静かに重なる。
あの夜以来初めて交わしたキスに、閉じたはずの瞼の裏が眩んだ。
動揺を隠せないまま慌てて立ち上がると、彼の指から私の髪がすり抜けていく。
「芽衣」
けれど、その手はすかさず私の右手を掴んできた。
再び視線が絡む。
私を見据える瞳は怖いくらいに綺麗で、そこから目が離せない。
「今夜は夫婦らしく一緒に寝ないか」
数秒後に静かに落とされたのは、熱を纏った言葉。
それが〝ただ寝るだけ〟という意味じゃないことくらいはわかっていた。
「っ……」
(無理だよ……)
心と頭では答えが出ているのに、唇と体は動かない。
「芽衣」
極めつけに甘い声で呼ばれると、もう逃げ場はなくなっていた。
絡み合ったままの視線から熱が芽生え、唇からは微かな吐息が漏れる。
気づいたときには、小さく小さく頷いていた。
刹那、樹くんに掴まれていた手を引かれる。
彼は、もう片方の手を私の後頭部に回すと、倒れ込むような体勢になった私の体を受け止めて瞼を閉じた。
ふたつの唇に灯った熱が、静かに重なる。
あの夜以来初めて交わしたキスに、閉じたはずの瞼の裏が眩んだ。