籍は、先月末の一粒万倍日に入れた。
両親への報告を終えてホッとした私は、少し様子を見てからでも……と提案したけれど、樹くんの強い要望で三月中に入籍することになったのだ。


不安がなかったと言えば、間違いなく嘘になる。


たとえば、同居を始めてから見過ごせないほどの嫌なところを知ってしまうとか、お互いの生活習慣で我慢できないことがあるとか……。
そういうマイナス面が出てきても、決しておかしくない。


子どもの頃からの日々を思い返せば、私が彼に対して幻滅することはなさそうだけれど……。その逆を考えたときには、まったく自信がなかった。


しかも、この一か月半で樹くんと会えた回数はそう多くない。


会ったときは両親への報告に行くとか、彼の家の場所を確認するためにお邪魔させてもらうとか、引っ越しの日とか……。いわゆる、一緒に済ませなければいけない用事があるときばかり。


国際線にも搭乗している樹くんと、二交代のシフト制で働く私。
すれ違いの生活になるのは当たり前で、私は異動も重なったことから仕事も忙しくなり、別々に暮らしているときは予定を合わせるのも一苦労だった。