極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「芽衣こそいいのか? 焼肉、好きだろ?」

「うん、そうだけど……。ちょっと風に当たりたくて」

「俺も。唯一の仲間の芽衣がいなくなると、居心地が悪くなりそうだったし」

「仲間?」


小首を傾げれば、樹くんが悪戯っぽく瞳を緩める。


「独身仲間」

「……それって、あんまり嬉しくないかも」


「やっぱり?」と言った彼と顔を見合わせ、どちらからともなく噴き出した。
用もないコンビニに向かう足取りが、なぜか少しだけ軽くなる。


「芽衣、荷物ってそれだけ?」

「あ、うん。一応、バッグごと持って出てきたから」

「だったら、このまま抜けるか」


唐突に脈絡のない質問をされたのかと思いきや、予期しなかった提案にきょとんとしてしまう。


「えっ?」

「どうせ戻っても、またなにか言われるだけかもしれないしな」

「そうだけど、いきなり抜けるのはまずくない?」

「大丈夫だろ。親たちは一緒に飲みたいだけだろうし」