極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「ああ、金太郎な」

「キンちゃんだってば! もう! いつも金太郎って呼ぶんだから」


樹くんは愉しげに笑い、「俺が取ったんだから命名権は俺にあるだろ」なんて言う。


「私がもらったんだから、命名権は私のものだよ。あの子はキンちゃん」


小さかった金魚は、いつしか子どもの手のひらサイズほどになった。彼からもらったことが嬉しくて、大事に大事に育てていた子だ。


キンちゃんが天国に行ったとき、私は成人間近だったのに泣いてしまったほど。
けれど、五匹いた中で最後まで生き残ってくれたキンちゃんは、私にとって大切な家族だったのだ。


「金太郎っぽい顔してたと思うんだけどな」

「あんなに可愛かった子が、マサカリ持ってそうに見える?」


顔を見合わせ、どちらからともなくクスクスと笑う。
スカイツリーでも時間は瞬く間に過ぎていき、気づけば日が暮れ始めていた。