六歳年上の樹くんは、いつもかっこよくて憧れのお兄さんだった。私が知る限りでもよく女の子に囲まれていたし、私も例に漏れず彼が初恋の人だ。
樹くんは私たちの面倒をよく見てくれたし、可愛がってくれていた。
みんなでトランプやボードゲームをしたり、サッカーやバスケをしたり、課題や勉強を教えてもらったり。どんなときも優しくて、なんでもできる人だった。
そんな素敵なお兄さんが傍にいれば、恋心を抱かないはずがない。
私はもちろん、真衣だってよく懐いていた。ただ、彼は大学に進学するのと同時に家を出てしまったから、それ以降はあまり会えなくなったんだけれど。
(あのときは寂しかったなぁ)
樹くんが大学生になったとき、私はまだ中学一年生。彼との歳の差が、とても大きく思えた。
そして、いつでも会える距離にいた好きな人と会えなくなるのはつらくて、当時は本当に落ち込んだ。
ただ、そのうちに少しずつ諦めるしかないのだと思うようになって……。私にとっての初恋の人は、いつしか〝幼なじみのお兄ちゃん〟に戻っていった。
ときどき思い出して切なくなることもあったけれど、淡く儚い初恋だったのだ。
樹くんは私たちの面倒をよく見てくれたし、可愛がってくれていた。
みんなでトランプやボードゲームをしたり、サッカーやバスケをしたり、課題や勉強を教えてもらったり。どんなときも優しくて、なんでもできる人だった。
そんな素敵なお兄さんが傍にいれば、恋心を抱かないはずがない。
私はもちろん、真衣だってよく懐いていた。ただ、彼は大学に進学するのと同時に家を出てしまったから、それ以降はあまり会えなくなったんだけれど。
(あのときは寂しかったなぁ)
樹くんが大学生になったとき、私はまだ中学一年生。彼との歳の差が、とても大きく思えた。
そして、いつでも会える距離にいた好きな人と会えなくなるのはつらくて、当時は本当に落ち込んだ。
ただ、そのうちに少しずつ諦めるしかないのだと思うようになって……。私にとっての初恋の人は、いつしか〝幼なじみのお兄ちゃん〟に戻っていった。
ときどき思い出して切なくなることもあったけれど、淡く儚い初恋だったのだ。



