極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「なあ、芽衣。もしかして、前にも馬場園になにか言われたりしたんじゃないか?」


図星を突かれて答えに悩んだけれど、にっこりと微笑んでみせる。


「なにもなかったとは言わないけど、全然平気。樹くんの気持ちはわかってるし、私も心が揺らぐことはないから。それに、樹くんに守ってもらってばかりだった子どもの頃とは違って、私だって少しくらい自分で戦えるよ」

「それは頼もしいな」


彼がふっと笑い、安心したように嘆息した。


そこにちょうどエレベーターがやってきて、ふたりで乗り込む。エレベーターは貸切で、ふと肝心な言葉を伝えていないことを思い出した。


「樹くん、おかえりなさい」

「ああ、ただいま」


見つめ合った私たちから、笑みが零れる。
そして、お互いの瞳がなにを語っているのかを気づいた瞬間、ゆっくりと顔を近づけ合った。


下降するエレベーターの中で、そっと唇を重ねる。
唇を離した私たちは、ふたりきりなのをいいことにもう一度こっそりとキスを交わした。