極上パイロットは偽り妻への恋情を隠さない

「むしろ、ずっと好きでいてくれると嬉しいんだけど」


照れくさそうでいて嬉しそうな表情に、胸の奥が甘やかな音を立てる。
この想いを消さなくていいんだとわかった瞬間、視界の中にいる樹くんの顔がじわりと歪んだ。


「やっと芽衣が振り向いてくれた」


言うが早く、腕が伸びてくる。
直後には、私は彼に抱きしめられていた。


「いっ、樹くん……! 人が……!」


樹くんは、ただでさえ目立つのに……。そんな彼がパイロット制服のまま、人目も憚らずに私を腕の中に閉じ込めている。


「うん。でも、少しだけこうしていたいんだ」


噛みしめるように言った樹くんの腕に、さらに力がこもる。
羞恥が芽生え、困惑だってまだ残っているけれど……。それよりも勝った喜びのままに、彼の背中にそっと手を回した。


「ずっとこうなれる日を待ってたんだ」

「え……?」

「一刻も早く、指輪を買いに行こう」

「っ……。うん……!」


話したいことも訊きたいこともたくさんある。
けれど、今はもう少しだけ樹くんの体温を感じていたかった。