私の吐息が微かに漏れる、それさえも逃さないと副社長の下が絡め取る。

 人生初めてのキスがイキナリこんな、頭の中が熱くなり何も考えたくない。


 呼気が粗くなる…

 『…凛…』優しい声で私の名前を呼ぶ嬉しい。


 『そんな顔をされたら、我慢出来なくなる』

 私はどんな顔をしているの?頬が熱くなっていく。


 喜ぶ自分と冷めたわたし。


 「…契約結婚…」そんな言葉が私の口から不意にでた…


 …あー…副社長の顔からスッと笑みが消える。


 私…何てことを、やっと、やっと…


 副社長はすっと立ち『ゴメン』と一言、部屋を後にした。


 明日から私はどうしたらいいの…


 なんであんなこと…違う涙が溢れた。


 その夜副社長は戻って来なかった。