「三人とも、研修お疲れ!色々あった中、よく頑張ってくれたな〜!」

ウガンダ出身の小児科医、ヨハン・ファジルは満面の笑みを浮かべながらルーチェたちの肩をポンポンと叩いていく。ヨハンの言葉に、ルーチェたちは小児病棟であった出来事を思い返した。

入院している子どもが検査が嫌で逃げ出してしまったり、物を投げ付けられたり、「先生嫌い!!」と泣かれたり、色々なことがあった。思い出しただけでルーチェはドッと疲れてしまい、「ハハ……」と乾いた笑みを零す。

ルーチェ、アーサー、ティムの三人は医師国家試験を合格し、この病院に就職した医師だ。しかし、まだ胸を張って「医師」と名乗れる立場ではない。

三人は研修医と言い、病院に数多くある科を回り、どこの科の医師になりたいかを考えている最中なのだ。小児科に来る前は外科、そして内科で研修をしていた。

「次はどこで実習なんだ?」

「次は救急ですね」

ヨハンの問いにティムが答える。すると、ヨハンは「救急か……」と顎に手を当ててしばらく考えた後、ルーチェの肩を掴む。