甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~

真白は、一度だって誰のことも誰も責めなかった。
俺の両親はもちろん、俺たちを引き裂いた祖父や、彼女の両親と兄のことも。


インドに逃げていた真白の兄を捕まえたのは、半年前のこと。
ずっと彼のことも探していたが見つけられずにいたところ、密かに手を回してくれていた祖父が見つけた。


真白の兄は、随分とやつれて身なりもみすぼらしくなっており、日焼けした肌との対比が苦労を思わせた。


『俺が斑鳩から籍を抜いて姿を消せば、真白は借金を放棄できる。そうすれば、真白は旺志さんと結婚して幸せになれると思ってたんだ』


そう話した彼は、真白がひとりで借金を返済していたなんて思いもしなかったのだろう。


『でも、俺の浅はかな判断で真白だけにすべてを背負わせてしまった……』


大粒の涙を零しながら土下座をした真白の兄を、彼女は責めることはなかった。
ただひとつ、『相談してほしかった』とだけ涙ながらに訴えていた。


その泣き顔を見て、きっと誰よりも一番傷ついてきたのは真白自身だと思った。
優しい彼女が俺を裏切るような形で姿を消したことに、傷つかないはずがない。


ひとりで北海道にいた真白のことを思えば、胸が引き裂かれるように痛んだ。
離れていた日々を思い返すたび、彼女を守れなかった自身への後悔が色濃くなる。


けれど、過去は変えられない。
だからこそ、これからは悔いのないように真白を守りたい――。