甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~

神室の本家は、渋谷区内の松濤にある。
高級住宅街の中でもひときわ目立つ、純和風の塀。それに囲まれた日本家屋が神室の本家であることは、この地に住む人なら誰でも知っているだろう。


外から様子がわからない高い塀の至るところに監視カメラが設置されていて、初めてここに来た日にそれがアンバランスだと感じたことを思い出した。


車を停めた旺志さんに促され、重厚な両開きの門扉の前に立つ。彼がインターホンを押せば、門扉がガタンッと音を立てて自動で開いた。
二十畳ほどの応接室に通されると、旺志さんの祖父母とご両親、そして彼の弟の大志(たいし)さんが待っていた。


「えっ? 真白さん?」


旺志さんのお母様が目を見開き、祖父母とお父様も驚きをあらわにしている。大志さんだけは特に驚いた様子もなく、「お久しぶりです」と微笑を向けられた。


「俺が真白とここに来た理由はわかりますね?」


艶のある黒いテーブルの前に旺志さんと座ると、彼は挨拶もなくそう切り出した。