ふたつのベッドルームに広いバスルーム、バーカウンターまである、エグゼクティブスイート。室内を見なくても、間取りは知っている。
硬めのソファなのに程よく身が沈んで座り心地が好いことも、大理石があしらわれたバスルームの浴槽がふたりで入っても余裕なことも、よく覚えていた。
「覚えてるか? 二年前、俺はこの部屋のこの場所で、真白に『来年のこの日は、もっと素敵な記念日にする。だから、ずっと俺の傍にいて』って言ったんだ」
そんなこと覚えていない。
そう言おうとした唇は動かず、逃げるように視線を逸らせる。
「あのとき、俺は来年の同じ日にここでプロポーズしようと決めてた」
「え?」
けれど、旺志さんの言葉で思わず彼を見てしまった。
「だから、去年もこの部屋を取ってたんだ。二年前の真白の誕生日の翌日に予約を入れて、真白が姿を消した去年もまったく同じことをした」
「どうして……」
「いつか必ず真白を見つけて、幸せだった日々を取り戻そうと決めてたからだ」
震えた疑問に、旺志さんが真っ直ぐな答えを紡ぐ。
迷いなんかないと、幸福な未来を信じて疑わないと、そう伝えるように。
硬めのソファなのに程よく身が沈んで座り心地が好いことも、大理石があしらわれたバスルームの浴槽がふたりで入っても余裕なことも、よく覚えていた。
「覚えてるか? 二年前、俺はこの部屋のこの場所で、真白に『来年のこの日は、もっと素敵な記念日にする。だから、ずっと俺の傍にいて』って言ったんだ」
そんなこと覚えていない。
そう言おうとした唇は動かず、逃げるように視線を逸らせる。
「あのとき、俺は来年の同じ日にここでプロポーズしようと決めてた」
「え?」
けれど、旺志さんの言葉で思わず彼を見てしまった。
「だから、去年もこの部屋を取ってたんだ。二年前の真白の誕生日の翌日に予約を入れて、真白が姿を消した去年もまったく同じことをした」
「どうして……」
「いつか必ず真白を見つけて、幸せだった日々を取り戻そうと決めてたからだ」
震えた疑問に、旺志さんが真っ直ぐな答えを紡ぐ。
迷いなんかないと、幸福な未来を信じて疑わないと、そう伝えるように。



