甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~

旺志さんが私に呈したのは、『一緒に東京に戻る』ということ。
芙蓉も、昼間の清掃のバイトも急には辞められないと抗議した。けれど、それが通らないことは、心のどこかでわかっていた。


バイト先には昨夜のうちに彼が話をつけてしまい、電話を代わった私はただ謝罪することしかできなかった。
けれど、蓉子ママにだけは会って挨拶をさせてほしいとお願いしたところ、条件として旺志さんが取っている部屋に泊まることになった。


きっと、どちらにしても私はここに来ることになっていたと思う。
彼にしてみれば、体のいい交換条件になっただけ。


朝食を済ませる頃に用意された服やバッグ、メイク用品を見て、そう感じた。


(アパートには帰さないつもりなんだ……)


旺志さんからすれば、服の用意やアパートを引き払う手配なんて簡単なもの。
私の家には業者でも向かわせるつもりなんだろう。


逃げ場がないことは昨夜にうちに悟り、芙蓉を買収されないためにもひとまず彼の指示通りに動いた。