甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~

「っ……! 放して!」


一瞬戸惑ったけれど、ハッとして旺志さんの胸元を押しながら逃れようとする。
ところが、彼はますます腕に力を込めた。


「嫌だ。俺から二度も逃げられると思うな」


冷たく言い放たれて、脳裏に迷いが生じる。それは体にも伝わり、私は動けなくなった。


「どうしても俺から逃げると言うなら、いっそこのまま……」


悲しみと傷が交じり合った、思いつめたような声だった。


まるで乞うような声音に、痛いくらいに強く抱きしめられていることに……。私の心が喜びを感じてしまう。
そのせいで、抵抗するのをすっかり忘れてしまっていた。


「愛がないと言うのなら、それでもいい」


そっと離れていく体温が恋しくて、言いようのない寂しさが押し寄せてくる。


「だが、俺の言う通りにしないなら、あの店を買収してでも俺は真白をもう一度手に入れる」


傲慢で身勝手な私を見つめた旺志さんが、静かに冷たい微笑を浮かべた。


本気だと、意志の強い双眸が語っている。
それくらい容易いのだと、暗に言われている。


「なにをすればいいの?」


諦めと覚悟を同時に抱きながら尋ねたけれど、心のどこかで彼の答えを察していた――。