そうして、ようやく部屋の椅子やソファーに座り
用意されている美味しいお菓子や紅茶などを楽しみながら、最初こそたわいもない話から始まり
徐々に、女子トークの醍醐味恋愛トークへと突入していった。
「そういえば、突然と言っていいほどフジちゃんは、内面から見た目までガラリと変わりましたな!
一体、何の心情の変化があって、そこまで変わられたのか知りたいですぞ!」
と、陽毬は興味津々と言った感じにフジを見ていた。ショウも目をキラキラ輝かせてジッと見ている。
二人に注目されてフジは、カッと顔を赤らめると
「…わ、笑わないで聞いてね?」
フジの言葉に、ショウと陽毬はうんうん!と、大きくうなづいた。
そんな二人に対しフジは、顔を俯かせるとモジモジしながら
「…こ、恋をしちゃったのっ!!」
勇気を振り絞って、勢いをつけて二人に告白してきた。それに対して、陽毬は
…ん???
フジの好きな人ができた発言に疑問を感じた。
「…フジちゃん、今までも恋をしてたでござるよね?桔梗君とか風雷君とか…に。新たな恋ですかな?」
今まで、桔梗や風雷、ミキを将来の結婚相手として自分に相応しい男性だと追いかけ回していたフジ。
それは、3人に恋をしていたからではないのか?
何故、今更になって恋をした事をそんな初く話すのだろうと疑問に思った。
「…そ、それは…。
…実は私…、桔梗君や風雷君、ミキ君を恋愛対象とは見てなくて。
最低な話だけど、3人の事はブランド感覚というか…。将来自分の隣にいて相応しいハイスペックという理由で追いかけてたの。」
なんてフジが白状した所で、陽毬はなるほど!と、妙に納得してしまった。
「…だって、周りの人達は恋人や旦那さんがいるでしょ?
なのに、自分にできないのはおかしい。私には、私に見合うだけの世界一いい男でなければ許されないと思っていたの。
…ただ、それだけなの。自分の見栄の為だけに躍起になって動いてたの。」
確かに。少し前までのフジなら、みんなが羨むような超ハイスペックな男性を自分の隣に置きたいという、希少価値の高い宝石か世界に一つしかない特別製の超ハイブランドを見る感覚で相手を探してたであろう。
それは、フジに限った事ではないが。
フジの場合、自分自身が超ハイスペックが過ぎるので、自分に見合う男性を探すという方が無理のある話だろうが
運がいいのか悪いのか、近くにフジさえ度肝を抜かされるようなとんでもない3人の男性がいたのだから
どうしても手に入れたくて躍起になるのは仕方ないのかもしれない。
だが、そんな気持ちさえも木っ端微塵に消え去り、フジ自身が心を入れ替え180度変わったと言っても過言ではないほど
フジをいい意味で変えてしまった人物こそ、フジに強烈な恋心を芽生えさせた男性である。
「…今、その時の自分の愚行を思い返すだけで、なかった事にしたいくらい恥ずかしくて仕方ないわ!
もう、記憶から抹消したいくらいの黒歴史よ。本当に最悪だわ。
…こんな過去があるなんて知ったら…
きっと、“ウダツさん”に嫌われちゃうわ。…どうしよ〜〜!」
と、自分の愚行を話し羞恥のあまり、天井を仰ぎ目を覆い隠しながら話すフジ。
あの超傲慢で我が儘なフジを、改心させここまで変えた男性が気になる。
感情的になったフジが、うっかり好きな人の名前を出してくれたお陰で、フジの好きなは
“ウダツ”
と、いう変わった名前の人だという事だけは分かった。
と、共に…陽毬は、フジの小さくぷっくりした可愛らしくも色っぽい唇を見ていて
…ついつい
「…みなさまは、異性の方と唇にキスした事がございまするか?」
と、うっかり口走ってしまったのである。
陽毬がハッと我に返った頃には遅く、驚きの表情で陽毬の顔を凝視する二人の姿があり陽毬は
しまったでありますぅ〜〜〜!
フジちゃんのセクシーな唇を見てたら、ついぃぃ〜〜〜!!
アワワ…と、少しパニックになってしまった。すると
「…わ、私は、まだキスなんてした事ないわ。…ウダツさん以外となんて考えられないし……」
そう言って、真っ赤になる小さな顔を白魚のような美しい手で覆い隠すフジが、とても初々しくてとっても可愛らしいので
…フジちゃん、とってもとぉ〜っても可愛いぃぃ〜〜〜!(でありますぅ〜!)
思わず、ショウと陽毬はキュン!としてしまった。
アルスは、そんなフジを見てショウの横で非常に驚いた顔をして見ている。
「…わ、私はいいから!それに、…まだ恋人もできた事なんてないし。
だけど、ショウちゃんと陽毬ちゃんには彼氏がいるでしょ!しかも、幼い頃からずっといるんですもの。
…その…、えっと…き、キスだって、たくさんしてるんでしょ?
桔梗君もミキ君も、二人の事あんなに好き好きアピールして見せつけてくるんだから。…羨ましいわ。」
フジは自分ばかり答えるのは理不尽だとばかりに、顔を真っ赤にしながら二人に質問してきた。
すると、二人は
ドキィーーーッッッ!!?
と、それぞれ違う反応を見せてきた。
「…へ?…わ、私の話聞いたって面白くも何ともないと…思うよ?」
なんて、言い逃れしそうなショウを二人のハンターは逃さない。
「いいのよ!その話が聞きたいの。」
「そうでござるよ!ショウちゃんと桔梗君の恋愛事情、とってもとぉーーーっても気になるでありますよ!
是非とも、参考までに教えて下され!!」
二人は興奮気味に体を前のめりにして、ショウの話の話を期待の眼差しで見ている。
そんな迫力満点の二人に圧倒され、ショウは
どうして、そんなにちょっとエッチな事を聞きたがるのかな?
…これって、私と桔梗の二人だけの大切な秘密事なんじゃ…?
二人は大切な友達だけど、こういう事はあんまり話したくないな。
と、パパやママ達から
“性的な事は恋人同士だけの大切な秘め事だから簡単に人に喋ってはいけないよ。”
“性的な事を喋るのが好きな人はいっぱいいるよ。だけど、それはその人達が自分達のスケベな話を聞いてほしい変わった人達だから気にしなくて大丈夫。”
“世の中には、人それぞれ違った色んな考え方があるからね?
それをショウの物差しだけで否定してはいけないよ?”
“…ただ、そこにも問題があってね。
それが犯罪紛いで人の道を外れていたり、人を不快にさせるようなあまりに酷い話だったなら絶対に良くないけど。”
“もし、性的な事での困り事や悩みがあったら、自分が心から信用できる人に相談するといいよ。”
幼い頃から、ずっとそう言い聞かされてきたショウにとっては
少しでも自分達に関する性的な話は、知られたくないと考えている。
だけど、少し嫌な気持ちになるも
「…気がついたらキスしてたの。」
…う〜んと、何かを捻り出すように考えながら出たショウの言葉がそれだった。
それだけではよく分からず、あまり乗り気でないショウの次の言葉を待った。
「今ね。二人に聞かれるまで考えた事もなかったんだけど。
いくら、思い出してみても、気がついた時から毎日何回もキスしてるから…“いつから”なんて記憶はなくって…」
なんと、ショウは物心つく前から桔梗と毎日数えきれないほどキスをしているようだ。それが二人にとって日常生活の一環であると予測される。
だから、ショウにとってはキスなんて特別感はさほどなく
さも当然、当たり前のように拙い説明から解読できた。
それに驚きを隠しきれない二人はショウと桔梗の関係性や性事情に
もう、めちゃくちゃに興味が湧くばかりで、二人の謎めいた私生活もとても知りたがった。
なんで自分なんかに、そんなに興味を持つのか不思議でたまらないショウ。
そして、ショウは羞恥という感覚や恥ずかしいという感情は人より敏感な方である。
…ドッキドッキドッキ!!?
「…キ、キスはキスでも唇を合わせて舌も入れたり絡めたりもするのでしょうか?」
陽毬は興奮を抑えきれず、我を忘れ鼻息荒くショウに聞いた。
…え!?
そんな事まで言わなきゃいけないものなの?
と、一瞬驚くショウであったが
留学先の学校のカースト上位の女子や男子達が、堂々とおっ広げに性事情を事細かに自慢気に話していた事を思い出し
友達って…そんな恥ずかしい事まで話さなきゃいけないんだと、また少し不快に感じつつ
「……うん。普通にしてるけど…」
と、答えるショウの話に陽毬どころかフジまで興奮して鼻血が出そうになっていた。
多分、これは毎日してるなと直感を働かせるフジと陽毬だ。
だが、さっきから
“気がついた時には既に、キスどころか舌を絡める深いキスまでしてるらしいショウ”
に、まさかという疑惑が浮かんでくる。
…ドッキドッキドッキ!!!
だが
フジは、これ以上はさすがに…。
今も恥ずかしがり屋のショウちゃんに、深く聞き過ぎたかもと少し反省し始めていたが
謎だらけのショウと桔梗の関係に興味深々。気になる。凄く気になる!!
だけど、ショウの気持ちを考えたらと考え始めた時だった。
ドッキドッキドッキ!!!
「…も、もしや…!」
と、陽毬が興奮冷めやらぬ勢いに任せて、フジも知りたい質問をしようとしていた。
だが
とても知りたいけど、これ以上聞いたらショウの性格を考えれば可哀想だと判断したフジが、陽毬の質問を遮り別の話題に変えようと口を開こうとしたが
時すでに遅し!
「…まさかのまさかでありますが、ショウちゃんと桔梗君は物心つく前からエッチもしていたという事ですかな?」
興奮し過ぎて、鼻息の荒い陽毬は心臓が飛び出るかと思うほどドキドキさせながら聞くと
酷く狼狽えつつ、少し怯えるようにコクンとうなづくショウの姿があった。
その様子を見て、陽毬は
うひょぉぉ〜〜〜っっっ!!!?
まさか、そんな幼い頃から…ムフッ!ムフフ…!!
と、大興奮!
…しかし…
フジはしまった!と、思ったし
アルスは、ショウに寄り添いショウの手をペロペロ舐め。やり過ぎだと言わんばかりに陽毬を睨み付け小さく唸った。
そんな雰囲気をやっと感じ取った陽毬は、なんだか自分だけ悪者みたいな感じがしてとても不愉快になり
ついに、言ってしまった。
「それくらい話してくれたっていいではありませんかね?
私なんぞ、ミキ君と幼稚園の頃から恋人だというのに……。手を繋いだりハグくらいはするでありますが…。
キスはおろか、少しもエッチな事などした事がないのですぞ!!?」
と、怒りに身を任せ途中から涙を流し、陽毬とミキはキスはおろか一切体の関係がない事を暴露してきた。
それには、ショウやフジ、アルスも酷く驚きポカーンと陽毬を見ていた。
「…まだ、小学生ですし?そんなもんだと思うようにしてましたがね?
周りの恋人のいる子達は、エッチまではしないにしろキスした話をよく耳にしますし…。
ただ、その子達が進んでるだけでショウちゃんやフジちゃんは、どうなんだろうって気になって気になって…」
と、泣き始める陽毬。
「…もしかして、ミキ君と恋人だと思っていたのは自分だけなのかもしれない。ミキ君は私の事を恋人として見てないのではないか。
…同級生の子達が彼氏ができただの、キスしただの、お喋りを聞く度に…自分は、この子達よりずっとずっと前から彼氏がいるのに。
…恋人らしい…性的な事など一切ないという事に気がついたのであります。」
「周りの子達に感化され、どんどん性に興味が湧いてきて…エッチな同人誌も読んじゃったり……さりげなく、ミキ君に同級生の話をしてみたり。
自分なりに、アピールしてきたつもりでありましたが、その度にいつもミキ君はそういう事をはぐらかして頭に軽いキスをする程度で終わるのです。」
「…自分には、異性としての魅力がないんでしょうかな?では、何故そんな私をミキ君は恋人に選んだでありますか?
こっちは、ムラムラしてどうしようもないのに!!!」
と、マシンガンのように、自分の気持ちを吐露した陽毬に
「…そ、それは、ホラ!ミキ君って、見た目に合わず凄く真面目よね?
だから、陽毬ちゃんを大切にしたいって、ミキ君なりの誠意を見せてるんじゃないかしら?」
フジは、きっとそうよ!と、言わんばかりにミキをフォローした。
それでも、納得できずいる陽毬に
「だって!よく、考えてみて?
性交に失敗して、望まない妊娠しちゃったらどうするの?
もう、その時点であなたは母親なのよ?
いくら望んでない赤ちゃんでも、そこに命が宿っている。命に大きいも小さいのないわ。
どんなに小さくたって人の形をしてなくたって同じ人間よ?陽毬ちゃんは責任持てるの?そこを考えてみて?」
そう諭してくるフジの言葉はとても重く、考えたくなかったけど
やっぱり、ちゃんとそこも考えなきゃいけないなと考え直す陽毬だった。
だけど、正直フジもそこまでしっかり考えてなどいない。
ただ、陽毬があまりに不憫に思えその場凌ぎで咄嗟に出た言葉だったのだ。
「…言われてみれば、確かにその通りですな。そこまで、考えもしませんでしたぞ。…何も考えず、性欲ばかり率先させようとしてた自分が恥ずかしいでありますよ。」
陽毬はションボリしながら、可哀想なくらいに身を縮めてしまった。
…ズキ…
咄嗟に出た言葉とはいえ、いい過ぎたかもしれないと思ったフジは、陽毬の事を考え心がとても痛んだ。
「けど、恋人としての…性的なスキンシップも大切な事だと思うわ!
そこの所をしっかりミキ君と話し合って自分達の納得できる答えを見つけた方がいいと思うわ。
私だって!ウダツさんの事を考えるとムラムラして、どうしようもない気持ちになるもの!…まだ、付き合ってもないのによ?」
自分で言っておいて、まだ赤ちゃんを作るには早すぎる年齢で“妊娠”という大きな問題を口にして
もし、ウダツさんとお付き合いできたなら、しっかりと考えて相談しなきゃと考えるフジであった。
「その点、陽毬ちゃんはミキ君と両思いの恋人同士なのよ?
そんなに焦らなくたって、そういう機会はこれからたくさんあるわ。考えてみて?私達、まだ中学生にもなってないのよ?これから思春期に入るのよ?」
フジの言葉に、陽毬は少し救われた気がして少し笑顔を見せうなづいた。
[…〜一方〜…]
ショウに置いてけぼりにされたと不貞腐れてる桔梗は、イライラ悶々する頭である事を思いついた。
「そうだ!向こうが女子会なら、こっちは“男子会”でも開こうかな?」
…碌でもない事が、起こる予感しかないと側にいたミキはゾワリと身震いさせた。
…あ〜あ。
ショウちゃんと離れて可哀想だと思って桔梗の家に遊びに来たら…とんでもない事に巻き込まれそうな予感。
ひーちゃんは、今頃何してるのかな?
ショウちゃんやフジちゃんと楽しく、キャッキャしてはしゃいでるんだろうなぁ。
…いいなぁ〜…
ひーちゃん、こっちはどうやら
何か、嫌な予感しかないです。
そちらは、どうですか?
楽しくやっていますでしょうか?
と、ミキは悪ぅ〜い顔をして気持ち悪く笑っている桔梗の隣で、遠い目をして現実逃避をしていた。
用意されている美味しいお菓子や紅茶などを楽しみながら、最初こそたわいもない話から始まり
徐々に、女子トークの醍醐味恋愛トークへと突入していった。
「そういえば、突然と言っていいほどフジちゃんは、内面から見た目までガラリと変わりましたな!
一体、何の心情の変化があって、そこまで変わられたのか知りたいですぞ!」
と、陽毬は興味津々と言った感じにフジを見ていた。ショウも目をキラキラ輝かせてジッと見ている。
二人に注目されてフジは、カッと顔を赤らめると
「…わ、笑わないで聞いてね?」
フジの言葉に、ショウと陽毬はうんうん!と、大きくうなづいた。
そんな二人に対しフジは、顔を俯かせるとモジモジしながら
「…こ、恋をしちゃったのっ!!」
勇気を振り絞って、勢いをつけて二人に告白してきた。それに対して、陽毬は
…ん???
フジの好きな人ができた発言に疑問を感じた。
「…フジちゃん、今までも恋をしてたでござるよね?桔梗君とか風雷君とか…に。新たな恋ですかな?」
今まで、桔梗や風雷、ミキを将来の結婚相手として自分に相応しい男性だと追いかけ回していたフジ。
それは、3人に恋をしていたからではないのか?
何故、今更になって恋をした事をそんな初く話すのだろうと疑問に思った。
「…そ、それは…。
…実は私…、桔梗君や風雷君、ミキ君を恋愛対象とは見てなくて。
最低な話だけど、3人の事はブランド感覚というか…。将来自分の隣にいて相応しいハイスペックという理由で追いかけてたの。」
なんてフジが白状した所で、陽毬はなるほど!と、妙に納得してしまった。
「…だって、周りの人達は恋人や旦那さんがいるでしょ?
なのに、自分にできないのはおかしい。私には、私に見合うだけの世界一いい男でなければ許されないと思っていたの。
…ただ、それだけなの。自分の見栄の為だけに躍起になって動いてたの。」
確かに。少し前までのフジなら、みんなが羨むような超ハイスペックな男性を自分の隣に置きたいという、希少価値の高い宝石か世界に一つしかない特別製の超ハイブランドを見る感覚で相手を探してたであろう。
それは、フジに限った事ではないが。
フジの場合、自分自身が超ハイスペックが過ぎるので、自分に見合う男性を探すという方が無理のある話だろうが
運がいいのか悪いのか、近くにフジさえ度肝を抜かされるようなとんでもない3人の男性がいたのだから
どうしても手に入れたくて躍起になるのは仕方ないのかもしれない。
だが、そんな気持ちさえも木っ端微塵に消え去り、フジ自身が心を入れ替え180度変わったと言っても過言ではないほど
フジをいい意味で変えてしまった人物こそ、フジに強烈な恋心を芽生えさせた男性である。
「…今、その時の自分の愚行を思い返すだけで、なかった事にしたいくらい恥ずかしくて仕方ないわ!
もう、記憶から抹消したいくらいの黒歴史よ。本当に最悪だわ。
…こんな過去があるなんて知ったら…
きっと、“ウダツさん”に嫌われちゃうわ。…どうしよ〜〜!」
と、自分の愚行を話し羞恥のあまり、天井を仰ぎ目を覆い隠しながら話すフジ。
あの超傲慢で我が儘なフジを、改心させここまで変えた男性が気になる。
感情的になったフジが、うっかり好きな人の名前を出してくれたお陰で、フジの好きなは
“ウダツ”
と、いう変わった名前の人だという事だけは分かった。
と、共に…陽毬は、フジの小さくぷっくりした可愛らしくも色っぽい唇を見ていて
…ついつい
「…みなさまは、異性の方と唇にキスした事がございまするか?」
と、うっかり口走ってしまったのである。
陽毬がハッと我に返った頃には遅く、驚きの表情で陽毬の顔を凝視する二人の姿があり陽毬は
しまったでありますぅ〜〜〜!
フジちゃんのセクシーな唇を見てたら、ついぃぃ〜〜〜!!
アワワ…と、少しパニックになってしまった。すると
「…わ、私は、まだキスなんてした事ないわ。…ウダツさん以外となんて考えられないし……」
そう言って、真っ赤になる小さな顔を白魚のような美しい手で覆い隠すフジが、とても初々しくてとっても可愛らしいので
…フジちゃん、とってもとぉ〜っても可愛いぃぃ〜〜〜!(でありますぅ〜!)
思わず、ショウと陽毬はキュン!としてしまった。
アルスは、そんなフジを見てショウの横で非常に驚いた顔をして見ている。
「…わ、私はいいから!それに、…まだ恋人もできた事なんてないし。
だけど、ショウちゃんと陽毬ちゃんには彼氏がいるでしょ!しかも、幼い頃からずっといるんですもの。
…その…、えっと…き、キスだって、たくさんしてるんでしょ?
桔梗君もミキ君も、二人の事あんなに好き好きアピールして見せつけてくるんだから。…羨ましいわ。」
フジは自分ばかり答えるのは理不尽だとばかりに、顔を真っ赤にしながら二人に質問してきた。
すると、二人は
ドキィーーーッッッ!!?
と、それぞれ違う反応を見せてきた。
「…へ?…わ、私の話聞いたって面白くも何ともないと…思うよ?」
なんて、言い逃れしそうなショウを二人のハンターは逃さない。
「いいのよ!その話が聞きたいの。」
「そうでござるよ!ショウちゃんと桔梗君の恋愛事情、とってもとぉーーーっても気になるでありますよ!
是非とも、参考までに教えて下され!!」
二人は興奮気味に体を前のめりにして、ショウの話の話を期待の眼差しで見ている。
そんな迫力満点の二人に圧倒され、ショウは
どうして、そんなにちょっとエッチな事を聞きたがるのかな?
…これって、私と桔梗の二人だけの大切な秘密事なんじゃ…?
二人は大切な友達だけど、こういう事はあんまり話したくないな。
と、パパやママ達から
“性的な事は恋人同士だけの大切な秘め事だから簡単に人に喋ってはいけないよ。”
“性的な事を喋るのが好きな人はいっぱいいるよ。だけど、それはその人達が自分達のスケベな話を聞いてほしい変わった人達だから気にしなくて大丈夫。”
“世の中には、人それぞれ違った色んな考え方があるからね?
それをショウの物差しだけで否定してはいけないよ?”
“…ただ、そこにも問題があってね。
それが犯罪紛いで人の道を外れていたり、人を不快にさせるようなあまりに酷い話だったなら絶対に良くないけど。”
“もし、性的な事での困り事や悩みがあったら、自分が心から信用できる人に相談するといいよ。”
幼い頃から、ずっとそう言い聞かされてきたショウにとっては
少しでも自分達に関する性的な話は、知られたくないと考えている。
だけど、少し嫌な気持ちになるも
「…気がついたらキスしてたの。」
…う〜んと、何かを捻り出すように考えながら出たショウの言葉がそれだった。
それだけではよく分からず、あまり乗り気でないショウの次の言葉を待った。
「今ね。二人に聞かれるまで考えた事もなかったんだけど。
いくら、思い出してみても、気がついた時から毎日何回もキスしてるから…“いつから”なんて記憶はなくって…」
なんと、ショウは物心つく前から桔梗と毎日数えきれないほどキスをしているようだ。それが二人にとって日常生活の一環であると予測される。
だから、ショウにとってはキスなんて特別感はさほどなく
さも当然、当たり前のように拙い説明から解読できた。
それに驚きを隠しきれない二人はショウと桔梗の関係性や性事情に
もう、めちゃくちゃに興味が湧くばかりで、二人の謎めいた私生活もとても知りたがった。
なんで自分なんかに、そんなに興味を持つのか不思議でたまらないショウ。
そして、ショウは羞恥という感覚や恥ずかしいという感情は人より敏感な方である。
…ドッキドッキドッキ!!?
「…キ、キスはキスでも唇を合わせて舌も入れたり絡めたりもするのでしょうか?」
陽毬は興奮を抑えきれず、我を忘れ鼻息荒くショウに聞いた。
…え!?
そんな事まで言わなきゃいけないものなの?
と、一瞬驚くショウであったが
留学先の学校のカースト上位の女子や男子達が、堂々とおっ広げに性事情を事細かに自慢気に話していた事を思い出し
友達って…そんな恥ずかしい事まで話さなきゃいけないんだと、また少し不快に感じつつ
「……うん。普通にしてるけど…」
と、答えるショウの話に陽毬どころかフジまで興奮して鼻血が出そうになっていた。
多分、これは毎日してるなと直感を働かせるフジと陽毬だ。
だが、さっきから
“気がついた時には既に、キスどころか舌を絡める深いキスまでしてるらしいショウ”
に、まさかという疑惑が浮かんでくる。
…ドッキドッキドッキ!!!
だが
フジは、これ以上はさすがに…。
今も恥ずかしがり屋のショウちゃんに、深く聞き過ぎたかもと少し反省し始めていたが
謎だらけのショウと桔梗の関係に興味深々。気になる。凄く気になる!!
だけど、ショウの気持ちを考えたらと考え始めた時だった。
ドッキドッキドッキ!!!
「…も、もしや…!」
と、陽毬が興奮冷めやらぬ勢いに任せて、フジも知りたい質問をしようとしていた。
だが
とても知りたいけど、これ以上聞いたらショウの性格を考えれば可哀想だと判断したフジが、陽毬の質問を遮り別の話題に変えようと口を開こうとしたが
時すでに遅し!
「…まさかのまさかでありますが、ショウちゃんと桔梗君は物心つく前からエッチもしていたという事ですかな?」
興奮し過ぎて、鼻息の荒い陽毬は心臓が飛び出るかと思うほどドキドキさせながら聞くと
酷く狼狽えつつ、少し怯えるようにコクンとうなづくショウの姿があった。
その様子を見て、陽毬は
うひょぉぉ〜〜〜っっっ!!!?
まさか、そんな幼い頃から…ムフッ!ムフフ…!!
と、大興奮!
…しかし…
フジはしまった!と、思ったし
アルスは、ショウに寄り添いショウの手をペロペロ舐め。やり過ぎだと言わんばかりに陽毬を睨み付け小さく唸った。
そんな雰囲気をやっと感じ取った陽毬は、なんだか自分だけ悪者みたいな感じがしてとても不愉快になり
ついに、言ってしまった。
「それくらい話してくれたっていいではありませんかね?
私なんぞ、ミキ君と幼稚園の頃から恋人だというのに……。手を繋いだりハグくらいはするでありますが…。
キスはおろか、少しもエッチな事などした事がないのですぞ!!?」
と、怒りに身を任せ途中から涙を流し、陽毬とミキはキスはおろか一切体の関係がない事を暴露してきた。
それには、ショウやフジ、アルスも酷く驚きポカーンと陽毬を見ていた。
「…まだ、小学生ですし?そんなもんだと思うようにしてましたがね?
周りの恋人のいる子達は、エッチまではしないにしろキスした話をよく耳にしますし…。
ただ、その子達が進んでるだけでショウちゃんやフジちゃんは、どうなんだろうって気になって気になって…」
と、泣き始める陽毬。
「…もしかして、ミキ君と恋人だと思っていたのは自分だけなのかもしれない。ミキ君は私の事を恋人として見てないのではないか。
…同級生の子達が彼氏ができただの、キスしただの、お喋りを聞く度に…自分は、この子達よりずっとずっと前から彼氏がいるのに。
…恋人らしい…性的な事など一切ないという事に気がついたのであります。」
「周りの子達に感化され、どんどん性に興味が湧いてきて…エッチな同人誌も読んじゃったり……さりげなく、ミキ君に同級生の話をしてみたり。
自分なりに、アピールしてきたつもりでありましたが、その度にいつもミキ君はそういう事をはぐらかして頭に軽いキスをする程度で終わるのです。」
「…自分には、異性としての魅力がないんでしょうかな?では、何故そんな私をミキ君は恋人に選んだでありますか?
こっちは、ムラムラしてどうしようもないのに!!!」
と、マシンガンのように、自分の気持ちを吐露した陽毬に
「…そ、それは、ホラ!ミキ君って、見た目に合わず凄く真面目よね?
だから、陽毬ちゃんを大切にしたいって、ミキ君なりの誠意を見せてるんじゃないかしら?」
フジは、きっとそうよ!と、言わんばかりにミキをフォローした。
それでも、納得できずいる陽毬に
「だって!よく、考えてみて?
性交に失敗して、望まない妊娠しちゃったらどうするの?
もう、その時点であなたは母親なのよ?
いくら望んでない赤ちゃんでも、そこに命が宿っている。命に大きいも小さいのないわ。
どんなに小さくたって人の形をしてなくたって同じ人間よ?陽毬ちゃんは責任持てるの?そこを考えてみて?」
そう諭してくるフジの言葉はとても重く、考えたくなかったけど
やっぱり、ちゃんとそこも考えなきゃいけないなと考え直す陽毬だった。
だけど、正直フジもそこまでしっかり考えてなどいない。
ただ、陽毬があまりに不憫に思えその場凌ぎで咄嗟に出た言葉だったのだ。
「…言われてみれば、確かにその通りですな。そこまで、考えもしませんでしたぞ。…何も考えず、性欲ばかり率先させようとしてた自分が恥ずかしいでありますよ。」
陽毬はションボリしながら、可哀想なくらいに身を縮めてしまった。
…ズキ…
咄嗟に出た言葉とはいえ、いい過ぎたかもしれないと思ったフジは、陽毬の事を考え心がとても痛んだ。
「けど、恋人としての…性的なスキンシップも大切な事だと思うわ!
そこの所をしっかりミキ君と話し合って自分達の納得できる答えを見つけた方がいいと思うわ。
私だって!ウダツさんの事を考えるとムラムラして、どうしようもない気持ちになるもの!…まだ、付き合ってもないのによ?」
自分で言っておいて、まだ赤ちゃんを作るには早すぎる年齢で“妊娠”という大きな問題を口にして
もし、ウダツさんとお付き合いできたなら、しっかりと考えて相談しなきゃと考えるフジであった。
「その点、陽毬ちゃんはミキ君と両思いの恋人同士なのよ?
そんなに焦らなくたって、そういう機会はこれからたくさんあるわ。考えてみて?私達、まだ中学生にもなってないのよ?これから思春期に入るのよ?」
フジの言葉に、陽毬は少し救われた気がして少し笑顔を見せうなづいた。
[…〜一方〜…]
ショウに置いてけぼりにされたと不貞腐れてる桔梗は、イライラ悶々する頭である事を思いついた。
「そうだ!向こうが女子会なら、こっちは“男子会”でも開こうかな?」
…碌でもない事が、起こる予感しかないと側にいたミキはゾワリと身震いさせた。
…あ〜あ。
ショウちゃんと離れて可哀想だと思って桔梗の家に遊びに来たら…とんでもない事に巻き込まれそうな予感。
ひーちゃんは、今頃何してるのかな?
ショウちゃんやフジちゃんと楽しく、キャッキャしてはしゃいでるんだろうなぁ。
…いいなぁ〜…
ひーちゃん、こっちはどうやら
何か、嫌な予感しかないです。
そちらは、どうですか?
楽しくやっていますでしょうか?
と、ミキは悪ぅ〜い顔をして気持ち悪く笑っている桔梗の隣で、遠い目をして現実逃避をしていた。

