みんなから隠れるようにしてフジが、両親と共に家に帰った頃。
会場にいるミキ達は、放心状態の大樹が流石にあまりに可哀想過ぎてどうしたもんかと考えていた。
ウダツと大地は、大樹に寄り添い必死に声を掛け続けているが、その言葉さえも今の大樹の心には届いていない様だった。
そんな大樹を見て、ミキはザマーミロと思うと同時に“今の大樹の影”の存在が気掛かりになった。
「…ところでさぁ〜。
大樹の影の事なんだけど。
このまま家の使用人として働きつつ、大樹の手足として動く他に大樹が裏で何か悪さする度に
“お前のせいで大樹様が悪さする。大樹様が悪さするのはお前のせいだ。”
って、難癖つけて折檻してるけど。
それを知っても、このまま放置するつもり?」
ミキが質問を投げかけると、大樹の肩がビクリと飛び跳ね、表情は強張り体を振るわせながら言った。
「…“彼女”は、“俺の影”から外す。
そして、彼女に危害を加えたり関わりを持っていた奴ら全てを刑事告訴して警察に突き出す。」
…ドキ!
彼女って事は、今の大樹の影は女の子って事?
大樹の影がまさかの女子だった事に驚くミキは、次の大樹の話を聞いて言葉を失った。
「…俺が悪さする度に彼女には一切非がないというのに、代わりに折檻という名の酷い暴力と集団レ◯プ。
もはや、人間の扱いをされていなかった。…それも、幼稚園の頃から俺の影となってから今までずっとだ。
知らなかったとはいえ、そんな彼女の事さえ気付けず、鷹司家で行われていた残虐非道な悪行をのうのうと見過ごしていた俺にも非がある。」
…ゾワワワ…!
…え?
オレも大樹の影だった時(逆行前)は、様々な拷問や暴力は受けてたけど…
…集団レ◯プ???
これ、逆行前に俺が大樹の影やってた時とは比にならないくらい酷くなってない?
俺の時は性的な事はされてなかったけど…その子は、使用人として働かされて大樹の影として動き
大樹が悪さをする度に折檻を受け……鷹司家の性奴隷として奴らの慰み者になってたの?
…しかも、幼稚園の頃から…
…ゾゾォ〜…!
それを聞いたウダツや大地、陽毬は全身に寒気が走った。
…あまりに胸糞悪いし気持ち悪い話過ぎる。
大樹の影という少女の事を考えると、心苦し過ぎてどうしようもない気持ちに襲われた。
…どうして、そんな悪魔のような残酷な事ができるのだろう?
その人達は、人の心がないのだろうか?
あまりに酷過ぎると、陽毬はあまりに過激な話で腰が抜けてしまった。
それを慌ててミキが支え、そのまま陽毬を連れて休憩中へと向かった。
…そっか。
大樹は、シープの魔具と幻術で“その女の子の体験”もしたんだよね。
シープの魔具と幻術を組み合わせると、夢の中だけど“リアルに近い体験ができる”から…
…俺が逆行前に鷹司家で体験したどころじゃない地獄を体験したんだよね…
これは、さすがにザマーミロとは思えない。
幻術で夢の中で行われていたとはいえ、シープの幻術はあまりに高精度で
実際に起こったかのような痛みや苦痛、快楽など様々な身体へ与えられる全てさえもリアル過ぎるのだ。
大樹が精神崩壊しておかしくない状況だね。…女の子の体験…しかも、暴力や面白半分に無理矢理に開発される体。集団レ◯プまでされちゃってるんだから。
…ショウちゃん。
ショウちゃんは俺の仕返ししてくれたけど、事態はそれどころじゃない所まできてるよ?
どうするつもり?
……って、これはショウちゃんには一切関わりない事だよね〜。
ただ、俺が鷹司家の“不義の子”から逃げた代償が、コレ。
俺が居なくなった事で、俺の代わりが補充されて…俺とは比べ物にならないくらい人間扱いさえされない“大樹の影”を誕生させてしまった。
…ズキ…
…かなり責任感じちゃうよね。
もう鷹司家とは関わりないけど。
逆行前での大樹の影という経験をしてるから、今の大樹の影の事凄く気になっちゃうな。…どうしてもさ。
多分だけど。
宝来家のみんなは、これら全てを把握していたから
“私も、社交界に行きたい!”って、駄々を捏ねるショウちゃんのお願いを拒否して代わりに豪乱君とシープ君を行かせたんだ。
あ〜、だからかぁ。
ショウちゃんのお願いなら、どんな事でも叶えようとする桔梗君でさえ、ショウちゃんをいいように言いくるめて社交界に行かせなかったんだ。
『…残念だけど。社交界に行くためには、その時の社交界のテーマに合わせたドレスやアクセサリーとか色々と作らなきゃいけないんだ。
それは、とても時間がかかる物だから直ぐには用意できないんだよ。』
『もし、テーマに合わないファッションで行くと、みんなに笑われて恥ずかしい思いをするよ?恥をかいて悲しい気持ちになるだけだよ?
ショウには、そんな辛い思いさせたくないな。』
『だから、ね?今回は諦めて、次の機会にちゃんとドレスとか用意して行ってみようね。』
なんて、言ってショウちゃんを宥めつつ説得、納得させてたもんなぁ〜。
さすが、婚約者兼従者って感じ?
だけど、ショウちゃんがあまりにオレや大樹の事を気に掛けてたから
仕方無しに、特別に本来こんなくだらない事で動かせるような人達じゃないはずの豪乱君とシープ君を
ショウちゃんの代わりに社交界へ行かせて、ショウちゃんが納得できるよう解決させたって訳なんだろうけど。
大樹はあんな感じになっちゃったし…
今の大樹の影の話聞いちゃったら、オレも責任感じちゃって…。どうしたらいいのか自分のした事が間違ってたんじゃないかとかさ。
…もう、どうしたらいいの!って、感じに気持ちがグチャグチャだよ。
と、ミキは様々な責任を感じ、その重圧に押し潰されそうになっていた。
そんなミキに
「…今日は、色々と衝撃的な事ばかりで私も心が痛むばかりでござるよ。
なんとかできるなら助けてあげたい気持ちでありますよ。…無力であります。
おそらく、世の中には自分達が考えられない様なの残酷で溢れているのでしょうな。」
…ズーン…
陽毬の言葉を聞いて、さらに落ち込むミキに陽毬は追い討ちをかけるように厳しい言葉を掛ける。
「心痛いニュースばかり多いのが何より証拠でありますよ。
そのニュースを見て、自分達は救いに行きますか?行きませんし、手を差し伸べる事もしないですよね?」
と、陽毬は何とも言えない表情で話しかけてきた。
確かに、それはそうだけど!
違うんだよね。
ミキはニュースではなく、逆行前であるが自分が体験したからこそ
今の大樹の影が、他人事に思えなくてこうして悩んでいるんだけどな。
なんて、陽毬には言えない気持ちを押し込め、微妙な気持ちで流す程度に陽毬の言葉を聞いて適当に話を合わせようと考えていた。
「けれども、自分達にできる事は限られておりますし。何もできず指を咥えて見聞きするしかない事が殆どだと思うであります。…今回の出来事のように。」
…ズキ…
確かにその通りだと、ミキは心がとても沈んだ。
「…こちらは善意のつもりであっても、下手に手を差し伸べる事で逆にその人の事を深く傷付る事もあるでしょう。」
…ヤバ…
何にも考えずに、今の大樹の影があまりに悲惨すぎて
どうやって助けようか、そればかり考えてしまってた。
…相手の事を考えてるつもりが、自分本位にしか考えてなかった。
「少しでも助ける素振りを見せたら、その人に依存される可能性だってありますな。そうなれば一生涯その人の面倒を見る羽目になり、自分や自分の家族を崩壊させる危険性だってある様に思うでありますよ。」
…ズーン…
……え?
そこまで!?
そのくらいの覚悟がなきゃ、個人で困ってる人に手を差し伸べる事ができないって事?
「その為に、警察や児童相談所、弁護士、保護活動をなさってる機関があるのではないでしょうか?
困ってる人がいたら、まずそういう機関に相談した方がいいと思うのです。
もし、自分が一生涯掛けても守りたい大切な人達であったなら話は別ですが…」
そう言われて、ようやくミキはハッとした。確かにそうだ。
今の大樹の影には申し訳ないけど、オレには守るべき家族や恋人がいる。
その大切な人達まで巻き込んで、下手したら色々崩壊させてしまうリスクを負う事はできない。
…それでも、助けたい気持ちは強くある。だから、ここでミキの思いつく限りの選択は二択。
見て見ぬふり。警察に通報…って、言っても相手は王族だから揉み消されそうだけど。
そういえば!大樹が警察に突き出すって言ってたから、そこは問題ないかな?
…ただ、今後彼女がどう生きていくのか考えると居た堪れないよね。
ミキが複雑な気持ちでいると
『…おい!どーなってやがんだ!!』
と、ミキの頭の中に桔梗の怒号が響いた。これは、テレパシーだ。
「…わあっ!!?」
いきなり、響く怒号に体がビクっと飛び上がり思わず声も出てしまった。
『乙ー!桔梗君、いきなり怒鳴ってくるとか心臓に悪いよねー。どーしたのぉ?』
と、ビックリし過ぎて未だ心臓がバクバク言ってるミキだ。
『どうもこうも!大樹のクソヤローがやらかした悪行三昧は自業自得だろ!?
なのに、大樹の精神は崩壊寸前だとかヤブ医者がクソ甘えた事ほざくもんだから、ショウがそれに酷く心を痛めて…。
どうなったと思う?』
なんて、怒りおさまらない様子でミキに無茶振りな質問をしてきた。
『…えぇ〜?ショウちゃん、突拍子もない事思いついちゃうからなぁ〜。想像できないかも。』
桔梗の機嫌をこれ以上悪くしないように、ミキは慎重に言葉を選び答えた。
…が…
『…あ"?』
…ヒィ〜!
桔梗の不機嫌な声が聞こえ、ミキは怯えた。ショウちゃんがいないと、コレだもんなぁ〜。
何処の荒くれ者かヤクザだよって思っちゃうよね〜。桔梗、怖すぎるんだけどぉ〜。
なんて、思ってると
『テメェ〜、こちとらテメーの心なんざ全部筒抜けで聞こえてんだよ!
テレパシー使ってるって事忘れてんじゃねーぞ!』
あーーーーー!!!
そーだったぁ〜!もう、最悪じゃ〜ん!
『その大樹がクソな事に、“心の療養”を理由に、ショウ好みの神獣に姿を変えて“ショウのペット”になりやがった!』
…………。
……は?
会場にいるミキ達は、放心状態の大樹が流石にあまりに可哀想過ぎてどうしたもんかと考えていた。
ウダツと大地は、大樹に寄り添い必死に声を掛け続けているが、その言葉さえも今の大樹の心には届いていない様だった。
そんな大樹を見て、ミキはザマーミロと思うと同時に“今の大樹の影”の存在が気掛かりになった。
「…ところでさぁ〜。
大樹の影の事なんだけど。
このまま家の使用人として働きつつ、大樹の手足として動く他に大樹が裏で何か悪さする度に
“お前のせいで大樹様が悪さする。大樹様が悪さするのはお前のせいだ。”
って、難癖つけて折檻してるけど。
それを知っても、このまま放置するつもり?」
ミキが質問を投げかけると、大樹の肩がビクリと飛び跳ね、表情は強張り体を振るわせながら言った。
「…“彼女”は、“俺の影”から外す。
そして、彼女に危害を加えたり関わりを持っていた奴ら全てを刑事告訴して警察に突き出す。」
…ドキ!
彼女って事は、今の大樹の影は女の子って事?
大樹の影がまさかの女子だった事に驚くミキは、次の大樹の話を聞いて言葉を失った。
「…俺が悪さする度に彼女には一切非がないというのに、代わりに折檻という名の酷い暴力と集団レ◯プ。
もはや、人間の扱いをされていなかった。…それも、幼稚園の頃から俺の影となってから今までずっとだ。
知らなかったとはいえ、そんな彼女の事さえ気付けず、鷹司家で行われていた残虐非道な悪行をのうのうと見過ごしていた俺にも非がある。」
…ゾワワワ…!
…え?
オレも大樹の影だった時(逆行前)は、様々な拷問や暴力は受けてたけど…
…集団レ◯プ???
これ、逆行前に俺が大樹の影やってた時とは比にならないくらい酷くなってない?
俺の時は性的な事はされてなかったけど…その子は、使用人として働かされて大樹の影として動き
大樹が悪さをする度に折檻を受け……鷹司家の性奴隷として奴らの慰み者になってたの?
…しかも、幼稚園の頃から…
…ゾゾォ〜…!
それを聞いたウダツや大地、陽毬は全身に寒気が走った。
…あまりに胸糞悪いし気持ち悪い話過ぎる。
大樹の影という少女の事を考えると、心苦し過ぎてどうしようもない気持ちに襲われた。
…どうして、そんな悪魔のような残酷な事ができるのだろう?
その人達は、人の心がないのだろうか?
あまりに酷過ぎると、陽毬はあまりに過激な話で腰が抜けてしまった。
それを慌ててミキが支え、そのまま陽毬を連れて休憩中へと向かった。
…そっか。
大樹は、シープの魔具と幻術で“その女の子の体験”もしたんだよね。
シープの魔具と幻術を組み合わせると、夢の中だけど“リアルに近い体験ができる”から…
…俺が逆行前に鷹司家で体験したどころじゃない地獄を体験したんだよね…
これは、さすがにザマーミロとは思えない。
幻術で夢の中で行われていたとはいえ、シープの幻術はあまりに高精度で
実際に起こったかのような痛みや苦痛、快楽など様々な身体へ与えられる全てさえもリアル過ぎるのだ。
大樹が精神崩壊しておかしくない状況だね。…女の子の体験…しかも、暴力や面白半分に無理矢理に開発される体。集団レ◯プまでされちゃってるんだから。
…ショウちゃん。
ショウちゃんは俺の仕返ししてくれたけど、事態はそれどころじゃない所まできてるよ?
どうするつもり?
……って、これはショウちゃんには一切関わりない事だよね〜。
ただ、俺が鷹司家の“不義の子”から逃げた代償が、コレ。
俺が居なくなった事で、俺の代わりが補充されて…俺とは比べ物にならないくらい人間扱いさえされない“大樹の影”を誕生させてしまった。
…ズキ…
…かなり責任感じちゃうよね。
もう鷹司家とは関わりないけど。
逆行前での大樹の影という経験をしてるから、今の大樹の影の事凄く気になっちゃうな。…どうしてもさ。
多分だけど。
宝来家のみんなは、これら全てを把握していたから
“私も、社交界に行きたい!”って、駄々を捏ねるショウちゃんのお願いを拒否して代わりに豪乱君とシープ君を行かせたんだ。
あ〜、だからかぁ。
ショウちゃんのお願いなら、どんな事でも叶えようとする桔梗君でさえ、ショウちゃんをいいように言いくるめて社交界に行かせなかったんだ。
『…残念だけど。社交界に行くためには、その時の社交界のテーマに合わせたドレスやアクセサリーとか色々と作らなきゃいけないんだ。
それは、とても時間がかかる物だから直ぐには用意できないんだよ。』
『もし、テーマに合わないファッションで行くと、みんなに笑われて恥ずかしい思いをするよ?恥をかいて悲しい気持ちになるだけだよ?
ショウには、そんな辛い思いさせたくないな。』
『だから、ね?今回は諦めて、次の機会にちゃんとドレスとか用意して行ってみようね。』
なんて、言ってショウちゃんを宥めつつ説得、納得させてたもんなぁ〜。
さすが、婚約者兼従者って感じ?
だけど、ショウちゃんがあまりにオレや大樹の事を気に掛けてたから
仕方無しに、特別に本来こんなくだらない事で動かせるような人達じゃないはずの豪乱君とシープ君を
ショウちゃんの代わりに社交界へ行かせて、ショウちゃんが納得できるよう解決させたって訳なんだろうけど。
大樹はあんな感じになっちゃったし…
今の大樹の影の話聞いちゃったら、オレも責任感じちゃって…。どうしたらいいのか自分のした事が間違ってたんじゃないかとかさ。
…もう、どうしたらいいの!って、感じに気持ちがグチャグチャだよ。
と、ミキは様々な責任を感じ、その重圧に押し潰されそうになっていた。
そんなミキに
「…今日は、色々と衝撃的な事ばかりで私も心が痛むばかりでござるよ。
なんとかできるなら助けてあげたい気持ちでありますよ。…無力であります。
おそらく、世の中には自分達が考えられない様なの残酷で溢れているのでしょうな。」
…ズーン…
陽毬の言葉を聞いて、さらに落ち込むミキに陽毬は追い討ちをかけるように厳しい言葉を掛ける。
「心痛いニュースばかり多いのが何より証拠でありますよ。
そのニュースを見て、自分達は救いに行きますか?行きませんし、手を差し伸べる事もしないですよね?」
と、陽毬は何とも言えない表情で話しかけてきた。
確かに、それはそうだけど!
違うんだよね。
ミキはニュースではなく、逆行前であるが自分が体験したからこそ
今の大樹の影が、他人事に思えなくてこうして悩んでいるんだけどな。
なんて、陽毬には言えない気持ちを押し込め、微妙な気持ちで流す程度に陽毬の言葉を聞いて適当に話を合わせようと考えていた。
「けれども、自分達にできる事は限られておりますし。何もできず指を咥えて見聞きするしかない事が殆どだと思うであります。…今回の出来事のように。」
…ズキ…
確かにその通りだと、ミキは心がとても沈んだ。
「…こちらは善意のつもりであっても、下手に手を差し伸べる事で逆にその人の事を深く傷付る事もあるでしょう。」
…ヤバ…
何にも考えずに、今の大樹の影があまりに悲惨すぎて
どうやって助けようか、そればかり考えてしまってた。
…相手の事を考えてるつもりが、自分本位にしか考えてなかった。
「少しでも助ける素振りを見せたら、その人に依存される可能性だってありますな。そうなれば一生涯その人の面倒を見る羽目になり、自分や自分の家族を崩壊させる危険性だってある様に思うでありますよ。」
…ズーン…
……え?
そこまで!?
そのくらいの覚悟がなきゃ、個人で困ってる人に手を差し伸べる事ができないって事?
「その為に、警察や児童相談所、弁護士、保護活動をなさってる機関があるのではないでしょうか?
困ってる人がいたら、まずそういう機関に相談した方がいいと思うのです。
もし、自分が一生涯掛けても守りたい大切な人達であったなら話は別ですが…」
そう言われて、ようやくミキはハッとした。確かにそうだ。
今の大樹の影には申し訳ないけど、オレには守るべき家族や恋人がいる。
その大切な人達まで巻き込んで、下手したら色々崩壊させてしまうリスクを負う事はできない。
…それでも、助けたい気持ちは強くある。だから、ここでミキの思いつく限りの選択は二択。
見て見ぬふり。警察に通報…って、言っても相手は王族だから揉み消されそうだけど。
そういえば!大樹が警察に突き出すって言ってたから、そこは問題ないかな?
…ただ、今後彼女がどう生きていくのか考えると居た堪れないよね。
ミキが複雑な気持ちでいると
『…おい!どーなってやがんだ!!』
と、ミキの頭の中に桔梗の怒号が響いた。これは、テレパシーだ。
「…わあっ!!?」
いきなり、響く怒号に体がビクっと飛び上がり思わず声も出てしまった。
『乙ー!桔梗君、いきなり怒鳴ってくるとか心臓に悪いよねー。どーしたのぉ?』
と、ビックリし過ぎて未だ心臓がバクバク言ってるミキだ。
『どうもこうも!大樹のクソヤローがやらかした悪行三昧は自業自得だろ!?
なのに、大樹の精神は崩壊寸前だとかヤブ医者がクソ甘えた事ほざくもんだから、ショウがそれに酷く心を痛めて…。
どうなったと思う?』
なんて、怒りおさまらない様子でミキに無茶振りな質問をしてきた。
『…えぇ〜?ショウちゃん、突拍子もない事思いついちゃうからなぁ〜。想像できないかも。』
桔梗の機嫌をこれ以上悪くしないように、ミキは慎重に言葉を選び答えた。
…が…
『…あ"?』
…ヒィ〜!
桔梗の不機嫌な声が聞こえ、ミキは怯えた。ショウちゃんがいないと、コレだもんなぁ〜。
何処の荒くれ者かヤクザだよって思っちゃうよね〜。桔梗、怖すぎるんだけどぉ〜。
なんて、思ってると
『テメェ〜、こちとらテメーの心なんざ全部筒抜けで聞こえてんだよ!
テレパシー使ってるって事忘れてんじゃねーぞ!』
あーーーーー!!!
そーだったぁ〜!もう、最悪じゃ〜ん!
『その大樹がクソな事に、“心の療養”を理由に、ショウ好みの神獣に姿を変えて“ショウのペット”になりやがった!』
…………。
……は?

