最近、恋人のエバンが素っ気なく会えてもいない。
彼とは、一般学校とお坊ちゃんお嬢様学校の長期休みの違いやエバンの家庭は貧困家庭で苦学生な事もあり色々と忙しいし生活スタイルも全然違うのは理解してるつもりでも
やっぱり、恋人に構ってもらえないのは寂しいし悲しい。だから、何でも分かり合える幼馴染であり親友のミキに遊びの誘いをしたところ
彼は、海外留学中だという彼の好きな子(名前を教えてもらえなかった)の所へ顔を見に行くと言っていた。
エバンも忙しくアンジェラの夏休みの間も忙しくて、会えないとキッパリ言ってきたのでその憂さ晴らしに
ミキの好きだという“超絶デブス眼鏡&超根暗のオタク”だという話を聞いてから、ずっとその子を見たいという興味がもの凄く湧いていていたので渋るミキに拝み通して
ミキが渋々、“向こうの許可が取れたらねー?取れなかったら諦めてちょっ!”なんて、アンジェラが断られる前提で話してちょっと腹が立ったが
たかだか、貴族の中でも一番地位が低くて貧乏など底辺家族の出来損ないのゴミでしょ?
なのに、何でこっちが頭下げなきゃいけないのよ?立場が上のアンジェラがど底辺を見に行ってあげるだけ感謝してほしいなんてプンプン怒りながら返事を待っていた。
それから、暫く経ってから
“大丈夫だってぇ〜。OKもらえるって思ってなかったからビックリ!
…あ〜、でも忠告しとくねぇ〜。俺の好きな子が居候してる屋敷の持ち主は、色々とレベチだからさ〜。絶対に失礼あっちゃいけないよぉ〜。相手はーーー……あれ?聞いてる〜?もしもーし!…ま、いっか!一応、忠告したかんねぇ〜。”
と、オーケーサインが聞けた所で、興奮するあまり後半の話なんて一切耳に入ってこなかった。
ミキの大親友として同伴を許されたってのが、超上から目線な感じがして気に食わないけど。
これで、ミキの好きな子が見れる!
どんな子だろう?
どうやって、からかって遊んでやろうか?
どんな反応見せるか楽しみだわ!
と、ミキの好きな子を思う存分揶揄って遊ぶ想像をしては興奮が止まらず、その日を楽しみにとてもとても心待ちにしていたのだ。
…しかし、蓋を開けてみれば…
アンジェラも予想だにできないまさかの展開オンパレードである。
最初のウッキウキの最高ものテンションから、今は不意打ちで階段から背中を押され
ズドーンと汚い地べたに転ばされ、最上階にいる彼女達を汚い地べたから見上げる気分とでもいうのか。
格の違い私見せつけるように彼女達に見下されてる気分とでもいうのか…とにかく、アンジェラはとても不愉快極まりなく直ぐにでも帰りたい気分だ。
だが、ミキの言葉で帰るに帰れなくなり
興味本位で、ミキの好きな子を見に来るんじゃなかった!こんな筈じゃなかったのに!
と、八つ当たりで、気の弱そうな陽毬をギリリと睨みつけた。そんなアンジェラの恐ろしいオーラと顔に陽毬はビクビク怯えていて、それを見てアンジェラは少しほーんのちょっとだけど気分が晴れた気分になった。
そして、陽毬から語られるミキとアンジェラの不安しかない未来…
「…ええっとですな。私の説明が下手過ぎるのでフジちゃんに、説明をお願いしたいのですが…」
と、思いきやアンジェラに恐怖を感じ怯えた陽毬は、説明は自分ではなくフジにお願いしたいと下を俯いて言ってきた。
…うわぁ〜
見た目通り、イジイジ、オジオジジメジメしてて気持ち悪っ!
お願いされた事、喋るだけなのにそんな事もできないの?
本当にイライラするわ、コイツ!
ミキは、こんなキモイ奴のどこを好きになったっていうのよ!本当に気持ち悪くて、一緒の空間にいるのも勘弁なくらいだわ。
気持ち悪い空気が私に纏わりつくみたいで最悪!ホテルに行ったら、入念に全身隅々まで洗わないと!!
それから、たくさんミキに全身愛してもらわなきゃ気がおさまらないわ!
アンジェラが、陽毬の様子を見てドン引きしてイライラして更に、陽毬を睨み付け
それに気付いた陽毬は「……ヒィッ!」と、小さな悲鳴をあげ青ざめている。本当に、イライラする。
そんな陽毬に
「俺ねぇ〜。ひーちゃんの口から聞きたいんだよねー。
どんなに時間が掛かっても、どんなに説明が分かりづらくてもさ〜。だから、お願い!」
と、ミキはいつものように、おっちゃらけたように陽毬にお願いしていたが…なんだか、ミキに違和感。
この違和感の正体は分からないけど。
なんだか何とも言えない嫌な予感しかしない不安ばかりが募り、心がソワソワして不安で不安で堪らないアンジェラだ。
ミキの説得とフジの説得により、ようやく話し始めた陽毬に、
結局あなたが話すんじゃない!
だったら、最初から話せばよかったのに
あ〜あ、このデブスきもオタが話すまでに、無駄な時間ばかり過ぎて勿体無い!
コイツ、イライラする!!
一緒の学校だったら、絶対虐めてたわ!
と、怒りを露わにして露骨に気分悪いですオーラを出しているアンジェラに、陽毬は更に怯えていた。
けど、フジとミキに説得され説明する事にうなづいてしまった手間…仕方がないので渋々話す事にした。
内容も内容だったので、初対面で大嫌いになったアンジェラではあるが、あんな内容を聞かされては見捨てる訳にもいかないかと考えたのだ。
「…えぇっとですな。実は、ミキくんやアンジェラさんの予言というより、私の予言なのですが…。
その中にミキくんとアンジェラさんの将来に大きく関わるような内容も含まれておりました。」
と、話す陽毬に
…なぁ〜んだ、デブスきもオタクに関する予言なんだ
そこに、ミキと私の話がちょっと出たってだけの話ね
そんなの何の当てにもならないし、大したことない事だろうから
こんな話なんて無視して、さっさと帰りたいんだけど…
と、チラリとミキを見ると
祈るようにテーブルの下では両手をギュッと握り、一瞬たりとも言葉を逃すまいという風に真剣に陽毬の言葉を聞いてるミキの姿があり
何で、こんなにも真剣なの?
らしくもない
アンジェラは、話を聞き終わるまでは断固としてここから動かないんだろうなと察して、仕方なく陽毬の話を聞く事にした。
「まず、その時ショウちゃんから聞いた話では、私とミキくんが出会った事により私に二つの選択肢ができたと言ってました。
当時、大樹くんの事が好きだった私でありますが色々ありましてな。みんなの励ましにより大失恋から立ち直り、大樹くんへの憧れや恋する気持ちは綺麗サッパリ消え失せました。理由が理由なだけに…これ以上言っても、お二人には関係ありませぬのでこの話はここまでです。
そして、私が大樹くんを振り切った事で、新たな道が何本かまだ薄っすらではありますが現れたそうなのです。
それは、私がミキくんを選ぶ…と言うと語弊がありますな。ミキくんと関わる事により、新たな道ができたのだと言っておりましたな。
大樹くんを好きでい続け、後に恋人、夫婦になっても大樹くんは私の事は失いたくないほど大切な存在でありますが、
色んな女性の体の味を知っている大樹くんは、刺激欲しさに浮気や不倫ばかりして私はずっとずっと苦しみ続けて最後の最後まで大樹くんや不倫、浮気相手を恨んで憎しんで憎しんで……という、最悪な人生になっていたそうですな。
私にとって、そんな地獄よりは全然マシと言える。何本かできた道のうち、何を選ぶかによっても全く違った人生を送るそうです。
それでも、一番最低最悪な人生の道は断たれたのだと自分の事のようにショウちゃんは喜んでくれましてな。持つべきものは…」
と、その時の事を思い出し、涙を浮かべながら感動に打ちひしがれれる陽毬にアンジェラはイライラして
「あなたの話ばかりで、私とミキの話なんて出てこないじゃない!あなたの話なんて聞きたくないの。
こっちは、ミキと私の未来が分かるって言ってるから仕方なく聞いてあげてるの。分かる?」
なんて、呆れたようにため息混じりに陽毬に口を出してきた。
「…そ、そうでありますな…。申し訳ありませぬ…」
アンジェラに、ガツーンと言われションボリ肩を落とす陽毬を心配しフジは懸命に陽毬私慰めてから
「申し訳ないけど。あなた方の話にも繋がる大事な話なの。この話をして初めて分かる話もあるわ。この話がなかったら、話の内容についていけなくて結局いま陽毬ちゃんが話してくれた話をしなければならなくなるかもしれないの。
それも分かりもしないで、最初から否定してくるのはお門違いというものよ?」
と、フジは強い口調でアンジェラを注意した。
あまりのフジの迫力に、怖いわ…と助けを求めるようにミキを見ると
「…お願いだから邪魔しないで?そんなに嫌なら帰ってもいいよ?」
まさかの、ミキからお叱りの言葉。
今まで、ミキに少しも怒られた事のなかったアンジェラはショックを受け、ションボリと肩を落とし陽毬の言葉を待った。
ションボリし過ぎて聞く気にもなれないが…
あ〜あ、フジさえ居なきゃアプリ携帯いじって、デブスきもオタクの話が終わるのを適当に待ってられるのに
…はあぁ〜〜〜
最悪もいいところだわ
と、ショックだし暇だし居心地悪いなぁ〜なんて思いながらアンジェラは、陽毬の言葉を適当に聞き流し妄想や今後の遊びの予定などを考えてよ〜っと気軽に考えていた。
「私もビックリで信じがたい話ではありますが、それは今現在消えかかってる選択肢らしいのですが。
…ミキくんとアンジェラさんには不快極まりない話ですが。なんと!私とミキくんが恋人になり結婚するという道もあったらしいのです。
ですが、それは消えかかってるので無いに等しいからとショウちゃんが、教えてくれた話なんですがな。」
そう言った所で、ミキは驚愕で目を見開き硬直した顔で
「…え?俺とひーちゃんが結婚する未来が消えた…?」
信じられないとばかりに、震える声でようやく声を絞り出すミキ。
そんなミキの様子に、アンジェラはたかだか適当な誰かの適当な予言に翻弄されるなんて“らしくない”と、ミキがおかしくなってしまったとアンジェラはミキを心配していた。
「ちょっと、言いづらいでありますが。もし、ミキくんと恋人、結婚した場合。
ミキくんとアンジェラさんの関係について私がウダウダと考え私をとても大切にしてくれるミキくんの気持ちを振り切れないでいる。
けれども、そこに“終わり”も見えたようで。」
消えかかって無いに等しくなった陽毬の進む道。それは、ミキとの恋人、結婚の道だった。
しかも、それが、ミキとアンジェラの関係のせいで“終わり”が見えたって…終わりって離婚って、事?
と、アンジェラは思っていたが
「…終わりというのは……その……え〜っとですな…」
なんて、何故か言いづらそうにしてる陽毬に
「それは、ひーちゃんに嫌われて俺がショックのあまり自殺するって話?」
と、ミキは何となく話の内容から察して、言いづらそうにしてる陽毬の代わりの答えた。そんなミキに、なんで分かったのかと酷く驚いた様子の陽毬は都合悪そうに小さくうなづいた。
そんな陽毬を見て、納得したかのようにミキは少し笑みを浮かべてうなづいた。
その話の内容に、かなりの衝撃とショックを受けたアンジェラは
「そんなデタラメなんて信じる訳がないでしょ?そもそも、何であなた如きの為にミキが自殺しなきゃいけないのよ。意味が分からないわ。」
と、アホらしいと溜め息をついて、シラーっとした目で陽毬を見ていた。
…アンジェラさん、怖すぎるであります
「それは、アンジェラさん達も同じ報いを受ける事になるという話に繋がります。」
何、それ?
私、何も悪いことなんてしてないのに何の報いが、そのまま自分に返ってくるってのよ
と、陽毬を馬鹿にしたように、白けた目で陽毬を見続け圧を掛けまくるアンジェラ。
「…そうですな。ミキくんとアンジェラさんは、両親の不貞でできた子供。どちらも父親が家のメイドに手を出して生まれてきましたな?
家も近い事もあり、境遇がとても似ていたお二人は幼い頃から、時間を見つけては身を寄せ合っては
自分の双子のきょうだいのような半身のような存在として、だだの幼馴染の枠を超えた友情ともいいがたいそれ以上の気持ちがお互いに芽生えていた。」
そこまで、聞いてアンジェラは全身ゾワッと寒気のようなものが全身を駆け巡った。
…え?
なに、これ…
こんなの知る人が限られてるし…何より、幼い頃からミキと秘密で会っていた事なんて誰にも話してない!
秘密で会ってた事は、私とミキしか知らない秘密な筈なのに何で知ってるの?
「だけど、お互いが近過ぎる存在なせいなのか、恋愛感情には至らなかった。
だけど、思春期に入って小学校五年生の夏。
お互いに性に興味を持った時に、お互いに容姿や性格も好みだった事もあって“ノリと興味本位”で、体の関係を持った。それからは、“ノリとその時の気分や、ムラムラした時”に、お互いに体を求め合って今も含めると数えきれないほど、体を重ねてきた。」
と、話した所でミキやアンジェラは、驚愕に満ちた顔で陽毬を見て固まっていた。
「アンジェラさんには7才の頃、家の事情で強制的に婚約者ができてしまって絶望。
そうですな。それもあってか、今までの軽い“ノリや気分”の他にも、“悲しい、辛い、苦しい”など、負の気持ちがあると直ぐにアンジェラさんは、ミキくんを頼り感情のままもつれ込むように、何かにつけては体の関係をもっている。
お互いに体の相性もいいし、エッチも上手い、お互いのいい所を知り尽くしてる。お互いを何の気兼ねない存在だと考えてるから簡単にエッチもできる。最高の関係だと思っている。」
そんな事まで考えた事はなく、ありのまま気がつけば自然にこういう関係になっていたので
言葉にされると、なんだか自分達がまるでセフレのように思えてくる。
「だけど、恋人や夫婦でもないのに体の関係を持ってる事におかしくも感じていたので、自己防衛本能で
“自分達は大親友で、お互いに特別な存在。”
“誰に理解されなくても自分達だけ分かってればいい。”
“そんな友情だってある。自分達はまさにソレだ。”
他にも、色々と理由がありましたが、言い訳がたくさんありすぎて忘れてしまいました。が、そう思い込むようになって、いつの間にか自分達の中でそれが正当化され何かに付けてエッチしまくっている。
だけど、心のどこかで後ろめたい気持ちがあるので、自分達が体の関係がある事を隠し隠れてエッチをしている。」
自分達でさえ気が付かない気持ちまで言葉にされ、否定しようにも否定できない…言われて確かにそうだと思ってしまったから。
「結局の話。なんだかんだ言って、色んな言い訳を重ねてますがね?お互いに距離が近過ぎて気づけないだけで、アンジェラさんはしっかりとミキくんの事を恋愛対象としてみているらしいですな?
だから、ミキくんに近づく女の子達にワザとミキくんと自分がいかに深い繋がりがあるか見せつけて牽制して追い払っていた。
ミキくんの場合は、何でも分かり合える親友であり、体の相性のいい性の捌け口に丁度いい女の体。
そして、可哀想な話をされると可哀想だと俺が慰めてやりたい。自分が助けてあげるべき特別な存在という感情も高まって、それがエッチのスパイスになって興奮するようですな。」
本当に自分達ですら、そこまで考えも気付きにしなかった感情や思い。…何で、ここまで分かるのかとアンジェラは、“ショウ”というまだ見ぬ存在に恐怖した。
「二人からすれば、何でもない友情、体で慰めなければならほどに精神状態が酷かったとか、じゃれあいの延長線。お互いに特別な存在の大親友など、妙な事を口走るのかも分かりませんがね?
周りから見たら、それは二人がただヤりたいだけの言い訳で、恋人でも夫婦でもなくあくまで親友、大親友と言うのなら、大親友でありセフレでもある関係ってやつですな。」
ここで、ハッキリとセフレと言われてしまって違う!そんな爛れた関係じゃない!と、言いたかったが、その前に言われてしまった言葉により、それも否定できなくなってしまった。
「…実はですな。私は、ちょっとミキくんに恋心が芽生え始めていた時期もありましたが、社交界での噂や実際にお二人の関係を見る機会もございまして…。
ミキくんへの恋心はすっかり消えてしまいましたよ。」
と、言う陽毬の言葉に、あまりの衝撃的な話にミキとアンジェラは頭が真っ白になってしまった。
「それとですな。このままでは、あまりにアンジェラさんの未来が悲惨過ぎるので、今すぐエバンさんの家に行って何が何でもお泊まりしてみて下さいませ。
それで、アンジェラさんの未来に何が起こるのか分かるし、それこそ運命を変えられるかも知れませぬ。
それ以上の事は、バグ防止の為に絶対に言ってはならないとの事ですので急いでエバンさんの家に行かれた方がいいと思いますぞ?」
…何で、恋人のエバンの事まで知ってるのかと恐怖したアンジェラは、一刻も早く気味の悪いここから脱出したい気持ちで立ち上がった。
「ミキくんもですぞ?これから、アンジェラさんにとって耐えがたいショックな出来事が起こります。アンジェラさん一人ではとても抱え切れない程の事なので、親友であるミキくんがアンジェラさんの側にいて支えてあげなければなりませぬぞ?
…まあ、誰がどう見ても自業自得としか言いようがありませんがな。」
そう、最後呟いた陽毬の声は、とても冷え切っていてとても軽蔑したような雰囲気に変わっていた。
…ドックン…
とても…とても好きで堪らない人に、軽蔑され冷めた目で見られている事にミキの心は崩壊寸前であった。
だが、とりあえず
この場から去らなければ、とてもではないが耐えられないと逃げるようにアンジェラとアンジェラの恋人のエバンに会う為に
フジの用意した自家用ジェットで一瞬のうちに母国へつきフジの配慮で、常盤家の車でエバンの家へと向かった。
しかも、二人のお泊まりセットまで用意されていたという事は、最初からそのつもりでアンジェラがミキに付いてくる事を了承したのだと今更に分かった。
そして、エバンの家を訪ねると丁度家族が祖父母の家にお泊まりに行っているとの事。
エバンは、学校がある為一人で家にいるとの説明と、最近できた心の共のような親友ができて丁度その人が泊まりに来てるから、ミキと一緒に帰ってほしいなんて冷たく追い返されそうになったが
陽毬の何が何でも無理矢理にでも泊まった方がいいという言葉を思い出し、無理矢理にミキと二人エバンの家に押し入った。
すると、中に入ってアンジェラは驚きのあまり固まってしまった。何故なら…
彼とは、一般学校とお坊ちゃんお嬢様学校の長期休みの違いやエバンの家庭は貧困家庭で苦学生な事もあり色々と忙しいし生活スタイルも全然違うのは理解してるつもりでも
やっぱり、恋人に構ってもらえないのは寂しいし悲しい。だから、何でも分かり合える幼馴染であり親友のミキに遊びの誘いをしたところ
彼は、海外留学中だという彼の好きな子(名前を教えてもらえなかった)の所へ顔を見に行くと言っていた。
エバンも忙しくアンジェラの夏休みの間も忙しくて、会えないとキッパリ言ってきたのでその憂さ晴らしに
ミキの好きだという“超絶デブス眼鏡&超根暗のオタク”だという話を聞いてから、ずっとその子を見たいという興味がもの凄く湧いていていたので渋るミキに拝み通して
ミキが渋々、“向こうの許可が取れたらねー?取れなかったら諦めてちょっ!”なんて、アンジェラが断られる前提で話してちょっと腹が立ったが
たかだか、貴族の中でも一番地位が低くて貧乏など底辺家族の出来損ないのゴミでしょ?
なのに、何でこっちが頭下げなきゃいけないのよ?立場が上のアンジェラがど底辺を見に行ってあげるだけ感謝してほしいなんてプンプン怒りながら返事を待っていた。
それから、暫く経ってから
“大丈夫だってぇ〜。OKもらえるって思ってなかったからビックリ!
…あ〜、でも忠告しとくねぇ〜。俺の好きな子が居候してる屋敷の持ち主は、色々とレベチだからさ〜。絶対に失礼あっちゃいけないよぉ〜。相手はーーー……あれ?聞いてる〜?もしもーし!…ま、いっか!一応、忠告したかんねぇ〜。”
と、オーケーサインが聞けた所で、興奮するあまり後半の話なんて一切耳に入ってこなかった。
ミキの大親友として同伴を許されたってのが、超上から目線な感じがして気に食わないけど。
これで、ミキの好きな子が見れる!
どんな子だろう?
どうやって、からかって遊んでやろうか?
どんな反応見せるか楽しみだわ!
と、ミキの好きな子を思う存分揶揄って遊ぶ想像をしては興奮が止まらず、その日を楽しみにとてもとても心待ちにしていたのだ。
…しかし、蓋を開けてみれば…
アンジェラも予想だにできないまさかの展開オンパレードである。
最初のウッキウキの最高ものテンションから、今は不意打ちで階段から背中を押され
ズドーンと汚い地べたに転ばされ、最上階にいる彼女達を汚い地べたから見上げる気分とでもいうのか。
格の違い私見せつけるように彼女達に見下されてる気分とでもいうのか…とにかく、アンジェラはとても不愉快極まりなく直ぐにでも帰りたい気分だ。
だが、ミキの言葉で帰るに帰れなくなり
興味本位で、ミキの好きな子を見に来るんじゃなかった!こんな筈じゃなかったのに!
と、八つ当たりで、気の弱そうな陽毬をギリリと睨みつけた。そんなアンジェラの恐ろしいオーラと顔に陽毬はビクビク怯えていて、それを見てアンジェラは少しほーんのちょっとだけど気分が晴れた気分になった。
そして、陽毬から語られるミキとアンジェラの不安しかない未来…
「…ええっとですな。私の説明が下手過ぎるのでフジちゃんに、説明をお願いしたいのですが…」
と、思いきやアンジェラに恐怖を感じ怯えた陽毬は、説明は自分ではなくフジにお願いしたいと下を俯いて言ってきた。
…うわぁ〜
見た目通り、イジイジ、オジオジジメジメしてて気持ち悪っ!
お願いされた事、喋るだけなのにそんな事もできないの?
本当にイライラするわ、コイツ!
ミキは、こんなキモイ奴のどこを好きになったっていうのよ!本当に気持ち悪くて、一緒の空間にいるのも勘弁なくらいだわ。
気持ち悪い空気が私に纏わりつくみたいで最悪!ホテルに行ったら、入念に全身隅々まで洗わないと!!
それから、たくさんミキに全身愛してもらわなきゃ気がおさまらないわ!
アンジェラが、陽毬の様子を見てドン引きしてイライラして更に、陽毬を睨み付け
それに気付いた陽毬は「……ヒィッ!」と、小さな悲鳴をあげ青ざめている。本当に、イライラする。
そんな陽毬に
「俺ねぇ〜。ひーちゃんの口から聞きたいんだよねー。
どんなに時間が掛かっても、どんなに説明が分かりづらくてもさ〜。だから、お願い!」
と、ミキはいつものように、おっちゃらけたように陽毬にお願いしていたが…なんだか、ミキに違和感。
この違和感の正体は分からないけど。
なんだか何とも言えない嫌な予感しかしない不安ばかりが募り、心がソワソワして不安で不安で堪らないアンジェラだ。
ミキの説得とフジの説得により、ようやく話し始めた陽毬に、
結局あなたが話すんじゃない!
だったら、最初から話せばよかったのに
あ〜あ、このデブスきもオタが話すまでに、無駄な時間ばかり過ぎて勿体無い!
コイツ、イライラする!!
一緒の学校だったら、絶対虐めてたわ!
と、怒りを露わにして露骨に気分悪いですオーラを出しているアンジェラに、陽毬は更に怯えていた。
けど、フジとミキに説得され説明する事にうなづいてしまった手間…仕方がないので渋々話す事にした。
内容も内容だったので、初対面で大嫌いになったアンジェラではあるが、あんな内容を聞かされては見捨てる訳にもいかないかと考えたのだ。
「…えぇっとですな。実は、ミキくんやアンジェラさんの予言というより、私の予言なのですが…。
その中にミキくんとアンジェラさんの将来に大きく関わるような内容も含まれておりました。」
と、話す陽毬に
…なぁ〜んだ、デブスきもオタクに関する予言なんだ
そこに、ミキと私の話がちょっと出たってだけの話ね
そんなの何の当てにもならないし、大したことない事だろうから
こんな話なんて無視して、さっさと帰りたいんだけど…
と、チラリとミキを見ると
祈るようにテーブルの下では両手をギュッと握り、一瞬たりとも言葉を逃すまいという風に真剣に陽毬の言葉を聞いてるミキの姿があり
何で、こんなにも真剣なの?
らしくもない
アンジェラは、話を聞き終わるまでは断固としてここから動かないんだろうなと察して、仕方なく陽毬の話を聞く事にした。
「まず、その時ショウちゃんから聞いた話では、私とミキくんが出会った事により私に二つの選択肢ができたと言ってました。
当時、大樹くんの事が好きだった私でありますが色々ありましてな。みんなの励ましにより大失恋から立ち直り、大樹くんへの憧れや恋する気持ちは綺麗サッパリ消え失せました。理由が理由なだけに…これ以上言っても、お二人には関係ありませぬのでこの話はここまでです。
そして、私が大樹くんを振り切った事で、新たな道が何本かまだ薄っすらではありますが現れたそうなのです。
それは、私がミキくんを選ぶ…と言うと語弊がありますな。ミキくんと関わる事により、新たな道ができたのだと言っておりましたな。
大樹くんを好きでい続け、後に恋人、夫婦になっても大樹くんは私の事は失いたくないほど大切な存在でありますが、
色んな女性の体の味を知っている大樹くんは、刺激欲しさに浮気や不倫ばかりして私はずっとずっと苦しみ続けて最後の最後まで大樹くんや不倫、浮気相手を恨んで憎しんで憎しんで……という、最悪な人生になっていたそうですな。
私にとって、そんな地獄よりは全然マシと言える。何本かできた道のうち、何を選ぶかによっても全く違った人生を送るそうです。
それでも、一番最低最悪な人生の道は断たれたのだと自分の事のようにショウちゃんは喜んでくれましてな。持つべきものは…」
と、その時の事を思い出し、涙を浮かべながら感動に打ちひしがれれる陽毬にアンジェラはイライラして
「あなたの話ばかりで、私とミキの話なんて出てこないじゃない!あなたの話なんて聞きたくないの。
こっちは、ミキと私の未来が分かるって言ってるから仕方なく聞いてあげてるの。分かる?」
なんて、呆れたようにため息混じりに陽毬に口を出してきた。
「…そ、そうでありますな…。申し訳ありませぬ…」
アンジェラに、ガツーンと言われションボリ肩を落とす陽毬を心配しフジは懸命に陽毬私慰めてから
「申し訳ないけど。あなた方の話にも繋がる大事な話なの。この話をして初めて分かる話もあるわ。この話がなかったら、話の内容についていけなくて結局いま陽毬ちゃんが話してくれた話をしなければならなくなるかもしれないの。
それも分かりもしないで、最初から否定してくるのはお門違いというものよ?」
と、フジは強い口調でアンジェラを注意した。
あまりのフジの迫力に、怖いわ…と助けを求めるようにミキを見ると
「…お願いだから邪魔しないで?そんなに嫌なら帰ってもいいよ?」
まさかの、ミキからお叱りの言葉。
今まで、ミキに少しも怒られた事のなかったアンジェラはショックを受け、ションボリと肩を落とし陽毬の言葉を待った。
ションボリし過ぎて聞く気にもなれないが…
あ〜あ、フジさえ居なきゃアプリ携帯いじって、デブスきもオタクの話が終わるのを適当に待ってられるのに
…はあぁ〜〜〜
最悪もいいところだわ
と、ショックだし暇だし居心地悪いなぁ〜なんて思いながらアンジェラは、陽毬の言葉を適当に聞き流し妄想や今後の遊びの予定などを考えてよ〜っと気軽に考えていた。
「私もビックリで信じがたい話ではありますが、それは今現在消えかかってる選択肢らしいのですが。
…ミキくんとアンジェラさんには不快極まりない話ですが。なんと!私とミキくんが恋人になり結婚するという道もあったらしいのです。
ですが、それは消えかかってるので無いに等しいからとショウちゃんが、教えてくれた話なんですがな。」
そう言った所で、ミキは驚愕で目を見開き硬直した顔で
「…え?俺とひーちゃんが結婚する未来が消えた…?」
信じられないとばかりに、震える声でようやく声を絞り出すミキ。
そんなミキの様子に、アンジェラはたかだか適当な誰かの適当な予言に翻弄されるなんて“らしくない”と、ミキがおかしくなってしまったとアンジェラはミキを心配していた。
「ちょっと、言いづらいでありますが。もし、ミキくんと恋人、結婚した場合。
ミキくんとアンジェラさんの関係について私がウダウダと考え私をとても大切にしてくれるミキくんの気持ちを振り切れないでいる。
けれども、そこに“終わり”も見えたようで。」
消えかかって無いに等しくなった陽毬の進む道。それは、ミキとの恋人、結婚の道だった。
しかも、それが、ミキとアンジェラの関係のせいで“終わり”が見えたって…終わりって離婚って、事?
と、アンジェラは思っていたが
「…終わりというのは……その……え〜っとですな…」
なんて、何故か言いづらそうにしてる陽毬に
「それは、ひーちゃんに嫌われて俺がショックのあまり自殺するって話?」
と、ミキは何となく話の内容から察して、言いづらそうにしてる陽毬の代わりの答えた。そんなミキに、なんで分かったのかと酷く驚いた様子の陽毬は都合悪そうに小さくうなづいた。
そんな陽毬を見て、納得したかのようにミキは少し笑みを浮かべてうなづいた。
その話の内容に、かなりの衝撃とショックを受けたアンジェラは
「そんなデタラメなんて信じる訳がないでしょ?そもそも、何であなた如きの為にミキが自殺しなきゃいけないのよ。意味が分からないわ。」
と、アホらしいと溜め息をついて、シラーっとした目で陽毬を見ていた。
…アンジェラさん、怖すぎるであります
「それは、アンジェラさん達も同じ報いを受ける事になるという話に繋がります。」
何、それ?
私、何も悪いことなんてしてないのに何の報いが、そのまま自分に返ってくるってのよ
と、陽毬を馬鹿にしたように、白けた目で陽毬を見続け圧を掛けまくるアンジェラ。
「…そうですな。ミキくんとアンジェラさんは、両親の不貞でできた子供。どちらも父親が家のメイドに手を出して生まれてきましたな?
家も近い事もあり、境遇がとても似ていたお二人は幼い頃から、時間を見つけては身を寄せ合っては
自分の双子のきょうだいのような半身のような存在として、だだの幼馴染の枠を超えた友情ともいいがたいそれ以上の気持ちがお互いに芽生えていた。」
そこまで、聞いてアンジェラは全身ゾワッと寒気のようなものが全身を駆け巡った。
…え?
なに、これ…
こんなの知る人が限られてるし…何より、幼い頃からミキと秘密で会っていた事なんて誰にも話してない!
秘密で会ってた事は、私とミキしか知らない秘密な筈なのに何で知ってるの?
「だけど、お互いが近過ぎる存在なせいなのか、恋愛感情には至らなかった。
だけど、思春期に入って小学校五年生の夏。
お互いに性に興味を持った時に、お互いに容姿や性格も好みだった事もあって“ノリと興味本位”で、体の関係を持った。それからは、“ノリとその時の気分や、ムラムラした時”に、お互いに体を求め合って今も含めると数えきれないほど、体を重ねてきた。」
と、話した所でミキやアンジェラは、驚愕に満ちた顔で陽毬を見て固まっていた。
「アンジェラさんには7才の頃、家の事情で強制的に婚約者ができてしまって絶望。
そうですな。それもあってか、今までの軽い“ノリや気分”の他にも、“悲しい、辛い、苦しい”など、負の気持ちがあると直ぐにアンジェラさんは、ミキくんを頼り感情のままもつれ込むように、何かにつけては体の関係をもっている。
お互いに体の相性もいいし、エッチも上手い、お互いのいい所を知り尽くしてる。お互いを何の気兼ねない存在だと考えてるから簡単にエッチもできる。最高の関係だと思っている。」
そんな事まで考えた事はなく、ありのまま気がつけば自然にこういう関係になっていたので
言葉にされると、なんだか自分達がまるでセフレのように思えてくる。
「だけど、恋人や夫婦でもないのに体の関係を持ってる事におかしくも感じていたので、自己防衛本能で
“自分達は大親友で、お互いに特別な存在。”
“誰に理解されなくても自分達だけ分かってればいい。”
“そんな友情だってある。自分達はまさにソレだ。”
他にも、色々と理由がありましたが、言い訳がたくさんありすぎて忘れてしまいました。が、そう思い込むようになって、いつの間にか自分達の中でそれが正当化され何かに付けてエッチしまくっている。
だけど、心のどこかで後ろめたい気持ちがあるので、自分達が体の関係がある事を隠し隠れてエッチをしている。」
自分達でさえ気が付かない気持ちまで言葉にされ、否定しようにも否定できない…言われて確かにそうだと思ってしまったから。
「結局の話。なんだかんだ言って、色んな言い訳を重ねてますがね?お互いに距離が近過ぎて気づけないだけで、アンジェラさんはしっかりとミキくんの事を恋愛対象としてみているらしいですな?
だから、ミキくんに近づく女の子達にワザとミキくんと自分がいかに深い繋がりがあるか見せつけて牽制して追い払っていた。
ミキくんの場合は、何でも分かり合える親友であり、体の相性のいい性の捌け口に丁度いい女の体。
そして、可哀想な話をされると可哀想だと俺が慰めてやりたい。自分が助けてあげるべき特別な存在という感情も高まって、それがエッチのスパイスになって興奮するようですな。」
本当に自分達ですら、そこまで考えも気付きにしなかった感情や思い。…何で、ここまで分かるのかとアンジェラは、“ショウ”というまだ見ぬ存在に恐怖した。
「二人からすれば、何でもない友情、体で慰めなければならほどに精神状態が酷かったとか、じゃれあいの延長線。お互いに特別な存在の大親友など、妙な事を口走るのかも分かりませんがね?
周りから見たら、それは二人がただヤりたいだけの言い訳で、恋人でも夫婦でもなくあくまで親友、大親友と言うのなら、大親友でありセフレでもある関係ってやつですな。」
ここで、ハッキリとセフレと言われてしまって違う!そんな爛れた関係じゃない!と、言いたかったが、その前に言われてしまった言葉により、それも否定できなくなってしまった。
「…実はですな。私は、ちょっとミキくんに恋心が芽生え始めていた時期もありましたが、社交界での噂や実際にお二人の関係を見る機会もございまして…。
ミキくんへの恋心はすっかり消えてしまいましたよ。」
と、言う陽毬の言葉に、あまりの衝撃的な話にミキとアンジェラは頭が真っ白になってしまった。
「それとですな。このままでは、あまりにアンジェラさんの未来が悲惨過ぎるので、今すぐエバンさんの家に行って何が何でもお泊まりしてみて下さいませ。
それで、アンジェラさんの未来に何が起こるのか分かるし、それこそ運命を変えられるかも知れませぬ。
それ以上の事は、バグ防止の為に絶対に言ってはならないとの事ですので急いでエバンさんの家に行かれた方がいいと思いますぞ?」
…何で、恋人のエバンの事まで知ってるのかと恐怖したアンジェラは、一刻も早く気味の悪いここから脱出したい気持ちで立ち上がった。
「ミキくんもですぞ?これから、アンジェラさんにとって耐えがたいショックな出来事が起こります。アンジェラさん一人ではとても抱え切れない程の事なので、親友であるミキくんがアンジェラさんの側にいて支えてあげなければなりませぬぞ?
…まあ、誰がどう見ても自業自得としか言いようがありませんがな。」
そう、最後呟いた陽毬の声は、とても冷え切っていてとても軽蔑したような雰囲気に変わっていた。
…ドックン…
とても…とても好きで堪らない人に、軽蔑され冷めた目で見られている事にミキの心は崩壊寸前であった。
だが、とりあえず
この場から去らなければ、とてもではないが耐えられないと逃げるようにアンジェラとアンジェラの恋人のエバンに会う為に
フジの用意した自家用ジェットで一瞬のうちに母国へつきフジの配慮で、常盤家の車でエバンの家へと向かった。
しかも、二人のお泊まりセットまで用意されていたという事は、最初からそのつもりでアンジェラがミキに付いてくる事を了承したのだと今更に分かった。
そして、エバンの家を訪ねると丁度家族が祖父母の家にお泊まりに行っているとの事。
エバンは、学校がある為一人で家にいるとの説明と、最近できた心の共のような親友ができて丁度その人が泊まりに来てるから、ミキと一緒に帰ってほしいなんて冷たく追い返されそうになったが
陽毬の何が何でも無理矢理にでも泊まった方がいいという言葉を思い出し、無理矢理にミキと二人エバンの家に押し入った。
すると、中に入ってアンジェラは驚きのあまり固まってしまった。何故なら…

