そうして、楽しかったショウの家のお泊まり会はあっという間に過ぎ
今は、夏休みを使い軍の学生達に混じって、結はあの時の震災の出来事があり様々な疑問を持ちながらも合宿訓練を頑張っていた。
相変わらず、大樹とは血縁関係があるらしい大樹そっくりのミキが、他に圧倒的な差をつけて活躍している。
一卵性双生児だと勘違いしそうになるくらいの二人の見分け方は…そっくりではあるが、あからさまな違いもあり見分けがつく。
大樹も鍛えているのだろうが、その比でないくらいにミキの鍛え上げられた逆三角形の肉体美は見るからに強そうだ。
それに、大樹が健康的な肌にブルーがかった黒髪と目をしているのに対して、ミキは褐色の肌に白に近い銀髪、目の色は薄紫色。癖っ毛であちこち飛び跳ねている長髪はポニーテールにしている。
雰囲気もまるで違い、大樹は知的クールな雰囲気に対し、ミキは元気いっぱい軟派でちょっとアホそうな感じがする。
姿形だけはそっくりだが、ここまで違いがあれば直ぐに見分けもつくだろう。
それは置いといてだ。
休みの度に軍の学生達に混じって訓練したり、長期休みで合宿がある時も積極的に参加している結はミキとある女子生徒の関係を怪しんでいた。
…え?
また、あんなにくっ付いて…
確かに本人達が言うように
“昔からの悪友みたいなもんで、お互いに恋愛感情とかない性別関係ない大親友”
って、言われたら、そう見えるけど…
…見ちゃったんだよなぁ〜…
…う〜ん…
まるで、男子同士でじゃれ合うように騒いでいるミキとミキの大親友というアンジェラ。
ミキにもひけを取らないくらいの美人で。赤髪と赤い目は情熱的な顔立ちをより一層引き立たせている。
胸もお尻も大きすぎもせず小さすぎもしないベストな感じで、スタイルも抜群である。
二人が並ぶとお似合いのカップルにしか見えない。
そんな二人の様子を遠くから、複雑な気持ちで見ている結だ。
…何故なら…
結は前回の訓練合宿で見てしまったのだ。
…そう、あれは1ヶ月ほど前だったか?
よく覚えていないが、合宿中結はあまりにトレーニングがハード過ぎてゲロをよく吐いていた。結の他にもゲロを吐いて苦しんでる練習生も少なくない。
前日、家で結を心配する激甘な両親が、毎度のことながら合宿前のご馳走を用意してくれていた。
結の好物ばかり並んでいて、合宿のご飯は質素で美味しくないから一日半分の食べ納めとばかりに脂っこい物ばかり食べ過ぎたせいか…
前日の食事が影響して、今日のトレーニングでのゲロはいつもの増して酷かった。
もう、気持ち悪くて気持ち悪くて
結は、合宿前の食事には気をつけようと猛省していた。
いつもなら、就寝前には吐き気もおさまりケロッとして元気いっぱい復活する結だったが、この日ばかりは違った。
就寝時間になっても、気持ち悪さと吐き気がおさまらず眠れないしゲロの為に、ちょいちょいトイレに行く羽目になっていた。
…さ、最悪だ…
明日のトレーニング朝早いってのに…
胃が気持ち悪い
なんて、疲れてグッタリ泥のように眠っているみんなを起こさないよう忍び足でトイレに向かっていた時だった。
トイレに行く途中にある別れ廊下。その奥の方で、何やら物音が聞こえる。
普通の人や耳が少しいいだけの人なら聞こえないだろうが、結の視力と聴覚は人並み外れて野生動物並によく聞こえ、よく見える。暗闇でもとてもよく見えてしまうという特異体質でもある。
そこには誰も居ない筈なのだが、何かあったのだろうか?それとも、誰かに意地悪や酷い事をしようと誰かが目論んで相談しあってるとか?
残念な事に、いくら先生方が目を光らせても陰湿なイジメや…性被害がなかなかなくならないのが現実で。
自分達のことだけで精一杯の生徒達が多いので、その生徒達や鈍感な生徒は、まさかそんな事があるなんて知らない生徒達も多い。
中には、知っていても巻き込まれたくないので我関せずな生徒達もけっこういる。
正義感が強くて注意したり先生に相談した生徒が、ターゲットにされたり意地悪されたりもしているのが現状。
結は最悪な事態に備え、もしイジメの相談なら素知らぬ顔で偶然を装い阻止しようと考えていたし、
性被害の問題であったら加害者と被害者の顔を覚え、ワザと物音出してから即座に先生に報告しようかとかグルグル脳内で色んなシミュレーションをして
バックン、バックン!
物音のする“準備室”に、耳を澄ませてみた。
すると
激しい息づかいに、何か水っぽい音や何かよく分からない音と共に会話も聞こえた。
「…アイツッ…!…絶対、浮気してる…ンッ!…私、悔しいし…悲しいよ!……でも、私が落ち込んでる時、いつもミキがいて“こんな風に優しく慰めてくれる”
いつも…ありがとう。…ちゅっ。
…ね?今は、何もかも忘れたいの!アイツの事も何もかも考えられなくなるくらい激しくして!私をメチャクチャにして?」
なんて、泣きながら訴える女の甘えた猫撫で声と
「いいよ。」
と、真剣な声の……
この声!ミキくんの声じゃないか!?
陽毬との関係で結と仲良くなったミキ。
見知った人のただならぬ様子に思わず
恋愛や性に無知すぎた結は、中で一体何が行われてるのか気になり引き戸のドアを少しだけ静かに開けると中の様子を見た。
…ドキドキ…!
…どっっっくん!!?
……え……?
普通なら何となく察しがつくだろうソレだが、ソレに疎い結はソレを見て腰が抜ける程驚いてしまった。
そこで見たのは
準備室にあるマットをクッション代わりにして、お互い激しく求め合い情熱的にエッチしてるミキとミキの大親友というアンジェラの姿があった。
二人の会話を聞いて、結は
……はて?
と、頭を捻った。
…あれ?
聞き間違いかな?
アンジェラさんの口ぶりじゃ、今現在アンジェラさんに彼氏がいる。→アンジェラさんの彼氏が浮気してるっぽい。→アンジェラさんの心が辛いから、大親友のミキくんとエッチしてる…
…んん?
私の感覚がおかしいのか?
普通にこれって、彼氏いるのにミキくんとエッチしてるアンジェラさんも浮気してるって事にならないか?
それにさ。陽毬ちゃんの事が好きで恋人になりたいって、陽毬ちゃんに猛アプローチしてるミキくんが…アンジェラさんの浮気を受け入れてる?
大親友ってのは、容姿さえ良けりゃ相手が酷く悲しんでたり辛そうにしてたら体で慰め合うんか?
友情のエッチってか?
…なんじゃ、そりゃ!
そんなんが常識で許されるなら、恋人も結婚もいらんだろが!!
私には、到底考えられない世界だよ
なーんか、ますます恋愛に幻滅してしまうなぁ
とりあえず、陽毬ちゃんには報告しておいた方がいいかもな
下手して、陽毬ちゃんとミキくんが付き合ってから、実はミキくんには体の関係がある大親友がいるって知ったらそれこそ陽毬ちゃんが可哀想だ。悲劇でしかないよ
そう考えた結は、こっそりその場を後にしてアプリ携帯で今あった事を陽毬に報告したのだった。その事は、あっという間にショウやフジも知る事となり
結達のミキを見る目が、ガラリと変わってしまった。
だが、ミキの人なり人柄はとても好きなのでいい友達関係でいたいと思う。
なので、結達の間では
…ミキとの友達関係を拗らせたくないので、ミキとアンジェラとの関係は見て見ぬふりが一番という判断となった次第だ。見猿聞か猿言わ猿である。
そこで、心配だったのが
ミキの猛アプローチや、元々持っているミキの魅力にどんどん惹かれつつあった陽毬の事である。
陽毬は大樹に大失恋して暫く立ち直れずいたが、
友達ももちろんだが、陽毬にとって特にミキの存在はとても大きかったらしく
そのおかげで、けっこう前にようやく綺麗スッパリと大樹の事を吹っ切る事ができたのだ。
大樹への酷い大失恋で、とても苦しんでいた陽毬の前に王子様の如く運命的に現れたのがミキであり
二人の様子を見ていて、結を含めみんな二人がくっ付くのは時間の問題だねなんて、生温かい気持ちで陽毬がミキに対して大切な気持ちが少しずつ膨らんでいくのを見守っていたというのに…
まさかのコレだ。
結の勝手な気持ちだが、ミキにもの凄く裏切られた気持ちだ。
今度こそ幸せになってほしいと願い、友の恋を応援していた矢先のコレだ。ガッカリもいい所だと、結はガックリ肩を落とした。
その事があって、アンジェラとはさほど関わりない結ではあるが、ミキとアンジェラの大親友という言葉に疑問しか浮かばなかった。
二人が戯れあってる所に、二人と仲のいい男子が入ってきて三人で楽しげに会話をしていた。
「お前ら、美男美女で気も合うんだし付き合っちゃえばいいのに。」
と、バシッと二人に言った男子だが、ミキとアンジェラは長年連れ添った夫婦かってくらいにタイミングばっちりに顔を見合わせると
またも一緒のタイミングで同じような笑い方をして大爆笑していた。
「「ない、ない!アンジェラ(ミキ)を女(男)として見れないから絶対にあり得ない。」」
声が重なって、喋る言葉もタイミングも同じだった。
「私って男も女も平等に接しちゃうから、よく勘違いされちゃうんだよね。それに、私には彼氏もいるし、ミキは好きな女の子できたみたいだよ?」
と、アンジェラは、男子にそんな話をしていたのだが、結は
恋とかそんなんじゃなくてもエッチはする仲ってか?
なんて、白けていた。そこに、ゲロ仲間で友達になった咲夜(サクヤ)がやってきて
「けっこう前の合宿でお前も見ちまったんだろ?
他の奴らは知らねーだろうが、ゲロ仲間達の間だけじゃ有名な話だぜ?ミキとアンジェラは、セフレだってさ。
多分、その事を二人に聞けば
“セフレじゃない、テンションのままに盛り上がってついヤッちゃっただけだよ”
なんて、ただの“ノリ”とか“友情”って言葉で済ませるって想像ができちまうが…。
それでもヤッてる事には変わりねーんだから、その理由は理由にならねーよな?だから、ゲロ仲間達の間ではアイツらは“セフレ”だって認識だ。」
それを聞いて、自分以外にもこの事を知ってる人達がいたという事実に結は驚いていた。
だって、そんな噂微塵も聞いた事がなかったから。
「ミキもアンジェラも、あの通りすっげー美形だし性格もすこぶるいいから、ゲロ仲間達もその事は秘密にしておこうって暗黙ができちまってな?
下手にこんな話して、わざわざみんなの関係性壊したくねーもんな。それに、大人気のあの二人を敵に回したらこっちが悪くなるばっかだかんな。
正直、その事実知った時は幻滅もしたし、やっぱりかって納得もできたよな。」
なんて話すサクヤに、全くもってその通りな話だし、
だから、二人の噂が出回ってないんだなと結は納得し苦笑いした。
「…ま、俺がこんな事言うのも理由があってよ。
俺はもう大学生活も終わりだってのに、訓練にさえついていけなくて中学生にさえあっという間に追い抜かれちまうばかりだからな。いい加減、軍入隊も諦めがつくってもんだ。」
と、いうサクヤに結は驚き
「え!?だって、軍の大学卒業するんだろ?そこまで頑張ったのに諦めてしまうなんて勿体無くない!?」
そう、言ったのだがサクヤは首を横にふり
「どんなに足掻いても限界ってのがあるんだわ。それを知っちまったら諦めの文字しか浮かばねー。
…実は今回の合宿は、俺の悪あがきで参加したんだ。今回の合宿で手ごたえを感じたら軍の試験に向かってひた走る。手ごたえがなかったらキッパリ諦めて、実家の仕事を手伝うって決めてたんだ。」
「…せめて、軍の試験でも受けてみないの?受かれば、全然気持ちも変わってくると思うけど。」
「…いや、合宿についていけてない時点で、実技で落とされるのは確定だ。実家の仕事もやりがいのある仕事だし、軍の仕事とどっちにしようか悩んでたところはあったんだ。
けど、小さい頃から運動神経と力には自信があったからな。それを活かして軍に入隊しようって安易に考えてたが、上には上がいる。軍の学校に入って、いかに自分が井の中の蛙かって事を思い知らされたって感じだな。」
と、何とも言えない表情でサクヤは笑っていた。
「それに、俺の家は海外にあって事務所やってるんだけど、社長が“とんでもない新人が二人も入った”って、連絡くれてな。だから、すっげー楽しみなんだ。」
なんて、上を向いて新たな道へと進もうとしているサクヤにとても好感が持てた。
そして、サクヤのようにみんなに着いてこれず、夢を断念して諦めなければならない人達も大勢いる現実に結はとても複雑な気持ちになっていた。
そして、まだ中学一年生ではあるが、今現在自分はみんなのトレーニングに食らいついて行こうとしても全くと言っていいほど着いて行けてないのが現状。
確かに、結が参加させてもらってる週末トレーニングや長期休みの合宿には、中学生から大学院生までもが参加している。
大概のゲロ仲間達は、積極的に合同トレーニングや
合同合宿に参加しているほとんどの中学生や半数以上の高校生。一部の大学生、大学院生である。
だけど同じ中学生なのに、ミキはどれをとっても優秀で大学生や院生達と肩を並べ、更には上位に食い込む成績までおさめている天才といっても過言ではないミキ。
そんなミキと自分をどうしても比べてしまって、結がゲロを吐いてる時に優秀に訓練をこなしてるミキを見ると悔しくて情け無くてどうしようもない気持ちになってしまう。
そんな結の気持ちを察してか
「あんま、自分を責めんなよ?結は確か、まだ中学一年生だったよな?ミキは、結より二学年上なんだぞ?
それに、俺は中学生で合同合宿に参加させてもらえなかったんだぜ?合同合宿に参加させてもらえるのは、選ばれた優秀者達だけだ。しかも、結は軍の学校に通ってる訳でもないのに参加を許されるって事は、本当に凄い事なんだって事をまず知っとけ。
結、お前は凄いよ!それに、これからまだまだ時間はある。その限られた時間をどう過ごすか、しっかり考えた方がいい。」
サクヤは、そう言って結を励ましてくれた。
おかげで、結の気持ちは晴れ
なに、クヨクヨしてんだ、私っ!
これからじゃないか!!
何が何でも食らいついて、最終的にはトップになってみせる!
と、意気込んだところに
「…まあ、ミキが初めて合宿に参加した時も凄くて周りを驚かせていたけどな。」
なんて、ミキのとんでもエピソードをぶっ込んでサクヤだったが、それを聞いて結は
いつか、ミキくんを追い抜いてやるよ!
と、勝手にミキをライバル視して、やってやるとメラメラ燃えていた。
そんな結を見て、サクヤは
頑張れよ!
よく、分かんねーけど
お前なら、いつか軍を率いる立派なお偉いさんになれる気がするぜ
と、自分が軍を諦め、その気持ちを託すように心の中で結を激励してその場を後にした。
その頃、宝来家では
「…ミキくん、浮気してるなんて最低!」
なんて、結からメールが届いたショウはプンプン怒っていた。
「他の女の子とエッチしてるのに、陽毬ちゃんの事好きだから恋人になりたいだとか言って!!
これじゃ、ただの浮気者だよ!」
そう言って、結から届いたメールと睨めっこしている。
「…でも、陽毬とミキが付き合ってる訳じゃないんだし。ミキが誰とエッチしたって関係ないんじゃないかな?だって、そんな事俺達には関係なーーー」
と、ショウを落ち着かせる為に発した桔梗の内容が悪かった。
リビングで寛いでいた二人だったが、桔梗の言葉にショウは酷く驚いた顔をして…え?と、いう表情で後ろからショウを抱き締めている桔梗を見た。
その表情を見た桔梗は、マズイ!と、青ざめ何か取り繕う言葉を口にしようとする前に
「……私ね。いくら、恋人とかいないからって男女関係にダラシない人は苦手。恋してないとか恋人が居ない時こそ、その人が異性に対して誠実か分かるんだって考えてる!…桔梗も、私と同じ考えだと思ってたのに違うんだね。」
と、ショウは桔梗の話を遮り、怒りを露わにして立ち上がった。
「…ち、違っ…!!」
桔梗はショウのご機嫌を取る為に、弁明しようと口を開いたのだが
「私、当分の間ここに帰らない!パパ、ママ達の所に行くから!」
そう言って、桔梗の話も聞かずもの凄く怒ってプンプンしながら、ショウのパパ、ママ達の居る家へと行ってしまった。
「……違うよ、ショウ。俺が言いたいのは、そういう事じゃないのに…はぁぁ〜〜」
ここまで怒ってしまったら、ショウは自分の世界に入ってしまい勝手な妄想をして自己完結。周りの声なんて聞き入れなくなってしまう。
それを解決できるのは、ショウが落ち着きを取り戻す時間とそのタイミングで誠心誠意、嘘偽りなく自分の気持ちを伝える事。
それで、ショウの誤解が解ける。或いは、納得できた場合は無事解決する。
今まで、何回かこんな風になった事はあるし解決しない事なんてなかった。だって、いつだって桔梗はショウに対して真っ直ぐだから。
だから、今もこうやってショウは側に居られるのだが。
だが、ショウの怒り具合や根強さにより、落ち着きを取り戻すのが数時間後と早かったり酷い時は一週間以上も時間がかかった事もある。
ショウが、どうしても許せないなんて事があればどうなるのだろう?と、桔梗はその時の事を考えると恐怖と不安、焦りばかりが募り
全身から血の気が引き、力無くソファに倒れ込んでしまった。桔梗の話を最後まで聞かず、ショウは怒ってパパママの所に行ってしまって…悲しい…寂しい…
…違うのに…
今回は、どのくらい時間が掛かるんだろう?
ショウ、早く落ち着いて冷静になってくれないかな?
…ハア…
なんで、ミキの不誠実さの事で、ショウに変な誤解されて拗れなきゃなんねーんだよ…
そもそも、大親友が悲しんでるから?苦しんでるから?エッチで慰めるって何だよ?
大親友が、男でブサイクで全身臭くて全身水虫とか、全部虫歯だらけで超絶口が臭かったり、ワキガとかアソコがドブみたいに臭くて垢だらけでも、そうやって慰められるわけ?
絶対、違うよな?
どんな、取り繕った言葉重ねようがなんだろうが、結果論として不誠実な奴らに変わりねー
そもそも、どんな理由があっても下心なきゃ友達や親友とはエッチしねーよ
結局の話、下心ありありで
悲劇っていうスパイスで、気持ちが昂ってエッチを楽しんでるだけじゃねーか
しかも、相手には彼氏もいんだろ?
それ、分かりつつ手出すってのも…ハァ〜…アホ過ぎるわ、モラルもねーわで、頭、痛てぇ〜
つーか!オレ様とショウが拗れた原因は、ミキとミキの大親友っていうセフレのせいじゃねーか!
…クッソ!
考えれば考えるほど、ムカついてきた
なんで、ミキや大親友のセフレのせいで、このオレ様がこんな辛い思いしなきゃなんねーんだ!
…オレ様とショウの大切な時間を奪いやがって…
それよりも、ショウに不快な思いさせやがって
ショウに妙な誤解を与えてしまったのも何もかも
…全部、アイツらのせいだ…!
桔梗は、ショウに誤解され悪者扱いされている事と、話が拗れてしまいショウを怒らせショウがパパママの所へ行き…今現在自分の側にショウが居ない事への不満と不安、悲しみ、寂しさで、どうにかなってしまいそうで…
ミキとアンジェラを憎み恨む事によって、その憎悪がどんどん膨らみその気持ちをミキ達にぶつけはじめていた。
「……絶対に許さねーからな!オレ様の気持ちが晴れるまで徹底的に何もかもぶっ壊してやる。」
と、メラメラとドス黒いドロドロとした感情で、今、復讐の鬼と化した大魔王が動き始めてしまったのだった。
「…地獄の果てまでも呪ってやる!」
完全なる八つ当たりである。

