そして、ギャーギャー喚く彼女達を無視して、風雷と合流したのだが
…うっわ!
顔隠してるってのに、美人キラキラオーラが隠しきれてないな
コイツだけキラキラしてる
いつも以上に輝いて見える風雷に、ドキドキして
「…お前、カッコ良過ぎないか?」
思わず、ハナの口からそんな言葉が漏れてしまった。
ハナの通っている倫理観や人道から外れたような不良達が多く集まる中学校から解放され、
基本、他人には我関せずの姿勢を貫いているハナではあるが、彼らのとても同じ人間とは思えない言動などに内心イライラ、モヤモヤしてストレスが溜まりに溜まりまくっている。
彼らに何かガツンと言って懲らしめたい気持ちはあれど、言った所でただただ喧嘩が勃発して平行線のまま無駄な時間を過ごすだけなのは目に見えてるし、
関係性が最悪になればなるほど学校に行きづらくなるので、やはり無関心を装い我関せずを決め込んでおいた方がいい。
だって、彼らはきっと天地がひっくり返るような大きな出来事がない限りは変わらない。なにせ、自分達は何も悪い事をしてるとは思ってないからだ。
そんな奴らに何を言っても仕方がない。同じ、人間ではない人間の皮を被った“何か”なのだから。そう、ハナは思っている。
そんな中にいるせいか
風雷と合流し風雷と話をする度にいつも思う。
風雷は、本当に自分達と同じ人間なのだろうか?
何か、別の種族なんじゃなかろうか?と。
だって、容姿やスペックだけでなく中身までカッコいい。あの学校の中にいると、特に理想の詰まったいい男なんだと再認識させられるから。
そして、やっぱり腐った輩ばかりじゃないとそこも再認識する。
もし、世の中の人間全てが彼らの様な人物しか居なかったなら、ハナはこの世界を守る事など放棄するであろう。
ハナは果たして自分達が命をかけてまでも守るべき存在なのか疑問に感じるとプラリと色んな所を徘徊する癖がある。
そこで色んな人間達を観察をする。
そこで人それぞれ一人一人違うのを痛感する。本当に色んな人間がいる。
人間を観察していて、腐り切ってどうしようもない人間も多く、今すぐにでも息の根を止めてやりたい!生き地獄を味あわせたいなど怒りや悲しみで気が狂いそうになる事もある。
だが、腐った輩ばかりではないとハナは感じているし、素晴らしい人物に出会いこんな人間もいるのだと感動した事すらある。
自分はといえば、いい人ではないし拳と拳を合わせる格闘技は大好きだが、
言い争いなど面倒事は本当に勘弁で都合悪い事から逃げる癖があるハナは、ズルく少し汚い部類に入る人間なのだろうと思っている。
その反面、あの地獄の様な施設で育ち疑問を持つ事で、弱い立場の人間や動物達を守りたいという気持ちが人一倍強いと言える。
あと、ハナは施設のトラウマで赤ん坊や幼い子供達がすこぶる苦手である。
赤ん坊や幼い子供達を見ると、あの恐ろしくも悍ましい光景が脳裏に浮かび、その子達も何かされてるのかもしれないと疑心暗鬼になりとても心が痛み可哀想で考えれば考える程辛く苦しい気持ちになり眠れなくなる。
それもあってか、ハナは風雷が側にいてくれるだけでその気持ちを逸らす事ができ安心できる。
しかし、やっぱりなぁ〜
王族の洗練されたマナーを学んでいるせいか、風雷の立ち振る舞いや歩き方、動作や仕草までもどこをどう見ても綺麗だとハナは感心している。
自分や自分の通ってる学校生徒達とのあまりの違いに、ついつい風雷の美しくも自然な動きにホォ〜とつい見惚れてしまう。
そんなハナの様子に風雷は驚き、ブワッと顔を赤らめると
「ハナに、そう言ってもらえて嬉しいよ。ありがとう。
ハナは世界一、可愛いよ。」
そうはにかみ、ハナの丸太のような腕に腕を絡ませてきてハナはビックリして岩のような体をぴょこんと跳ねらせ
「……ッッッ!!?…な、何してるんだいっ!!?」
と、顔を真っ赤にしながら酷く驚いた様子で風雷を見下ろしてきた。
そんなハナの驚きように風雷もビックリしたが
「…ククッ!ハナさ、俺達は夫婦なんだし手を繋ぐ事なんて普通の事だよ?こんな事で驚いてたらキリがなくなるよ。」
と、ハナが驚きのあまりピシリと固まっているうちに風雷は、再度腕を絡ませ手を繋いできた。
その繋がって手を見て、ハナは
「……手を繋ぐと温かいもんなんだな。」
なんて、驚いた様子で当たり前の事を呟いていた。
その言葉に、風雷はギュッと胸が押し潰されそうに苦しくなりハナの逞しい腕にピットリと体を寄せて
ジッとハナを見つめてきた。
その目からは、切ない涙が流れると同時に何かを決意したような強い意志が感じられ、漢らしくてカッコいいなぁとハナはキュンとしていた。
何故に急に泣いちまった!?と、焦るハナをよそに風雷は繋いでいる手を口元へ持ってくると、チュッとキスをして
「愛してる、ハナ。」
そう言って、俺がハナを幸せにしてやる!そう言ってるような幻聴が聞こえるほど真っ直ぐにハナを見つめ柔らかく微笑んできた。
そして、身長差から自然と上目遣いになる風雷に
ズッキューーーン!!?
すっかり、ハートを射抜かれたハナは
こんな完璧王子の残念な所は、女の趣味が悪いって事だな
と、自分を自傷しつつ、乙女心をドキドキさせながら
二人仲良く訓練所まで行き、そこで鬼の形相で待ち受けているリュウキに【結婚】した事についてと結婚の報告がなかった事に対し、こっ酷く説教されるのであった。
この時、いつになくリュウキがネチッこくくどくど説教してきたのは、自分の抱える離婚の危機があり
リュウキが不幸真っ直ぐらな時、もの凄く幸せですオーラを纏い幸せそうな風雷とハナを見て説教の中に自分のイライラも一緒にぶつけていたに違いないと風雷は呆れていた。
それは、リュウキの自業自得。身から出た錆だというのに。
一番大切にしなければならない、何が何でも守らなければならない大事な人を裏切る行為をし続けていたのだから。よく、今までもったもんだと思う。
おそらく、娘のショウの事を考えて今の今までマナが我慢し続けていたのだろうが、さすがに我慢も限界がきたんだろう。
他は完璧なのに、極上の美女が好き過ぎて惚れっぽく些細な粗が見え始めると一気に冷めてしまう。
恋多き男、リュウキ。色んな美女達を虜にして愛を振り撒く、魔性の男だ。
幼い頃から、実の母親や兄弟達(もう、縁を切り戸籍も違うので、血の繋がりはあれど法律上他人である)、
リュウキの女性関係やその裏で繰り広げられる女達の汚ない争いを見てきた風雷にとって恋愛や結婚はドロドロの毒沼で気持ち悪いものだし、裏切りばかりの不幸を招く恐ろしいものでしかないと考えていた。
だから、自分は性や恋愛に関する事には決して関係しない、無関心を貫こうと心の底から誓った。
ハナに会うまでは。
それもあって、ハナという可愛らしく素敵な女性と出会えた自分は、宇宙一運がいい幸せ者だと思う。
ハナという女性に出会えた事は奇跡という他ないし感謝しかない。
と、クドクドと説教する男を目の前に、そう思わざる得ない風雷であった。
ちなみに、ハナはリュウキの説教開始と同時に立ったまま器用に寝ている。
「これから【王命】を言い渡す。
1、周りには、ハナと風雷が結婚した事を隠し通す事。軍事において混乱を招く為、空気が悪う方へと緩み舐められる恐れがある、士気が下がる、等様々に置いて弊害が起こりかねない為。
2、どうしても隠しきれなかった者には厳しく秘密厳守させる事。(桔梗経由でショウにもバレるだろう予測がされる)
3、プライベートでも、外ではあくまで団長と副騎士団長であり続ける事。
4、念には念を。グータラな団長と頑固で厳しい副団長のイメージが根強い為、風雷にとってハナが腹立だしい事をする度に“脳筋ゴリラ、バカゴリラ”など、周りに合わせた暴言を取り入れ苦言を言う事。
5、プライベートと仕事は割り切る事。ただし、戦場ややむ得ない事があるのみ性行為は認める。
ハナを男だと勘違いしている部下達が、団長と冷血冷静な天才魔道士の副団長と性行為をしているのを見て
いつ自分も副団長のようにハナに性行為を強要されるのかと恐怖を覚え、兵同士、兵が一般人を襲うよりもそっちの恐怖ばかりが頭の中を占め被害が最小限にできる可能性が高いという理由。
その為、性行為を行う時は敢えて隠れているようで分かりやすい場所で、ハナが権力と力を使い無理矢理従えてるように見せかける事。
そこで、ハナには絶対に逆らえないという恐怖の対象として部下達の心に刻まれるだろう。
そして、宣言しろ。
【お前達全員、プライベート以外俺の優秀な部下だ、お前らの全てを俺に捧げる覚悟を持て。
俺を拒む事は絶対に許されない、そして俺以外の者と性行為を持ち穢れる事も許されない。それを破った者には、生きていくのが辛くなる程の罰を与える。
バレないと思うなよ?“影”の見張り番が、一人一人漏れなく常に見張ってる事を忘れるな。】
とな。
ハナの雰囲気は掴みどころがなく適当でアホに思われ、部下達に舐められている節があるように見受けられる。
だから、今回の事でハナを舐め腐ってる連中へいい牽制となると俺は考える。
やり方は、何であれ年下だの頼りないだのアホ、バカだの陰口を言いたい放題いい、周りを見下し威張りくさっってるクソな部下どもに、団長としての威厳と畏怖、絶対的服従心を持たせろ。」
と、リュウキは王として、ハナと風雷に命令してきた内容に風雷とハナは驚いたし
風雷にとって納得できない事だらけであった。だが【王命】なので逆らう事はできない。
仕事とプライベートは割り切るのはよく分かる。
自分達の仕事は、特殊で少しの歪みやズレが生じただけで団結力は崩壊。それを阻止する為に、結婚している事や恋仲である事は隠し通した方がいい。
まして、自分達は多くの部下達を従えるトップなのだから。
だけど、これじゃまるでハナがとんでもない悪者じゃないか!
俺の場合は最愛の妻に対してでも、あまりに勉強サボったりゴミや洗濯物を散らかし放題で酷い時(毎日)は注意するけど、それでも聞く耳も持たず逃げる時はバカは言うが…
“脳筋ゴリラ”“バカゴリラ”…こんな、容姿に対しての侮辱的な暴言や人を馬鹿にしたり嘲笑う誹謗中傷などは、どうしても許せない。許されていい筈がない!
…だが、周りに合わせる部分は合わせなければ、何処からかほつれが生じ怪しまれる可能性もあるのは確かだ。
…だが、この言葉を吐く度に俺自身が傷付く。もちろん、ハナは酷く傷付くだろう。
しかも、戦場や長期訓練時、合宿などプライベートから暫くの間離れる事があるのは承知だが……
“見せしめの為にハナとの性行為を認められる”
というのが、理由が理由なだけに酷く腹が立って仕方ない!
一体、ハナを何だと思ってるんだ!?
あまりに酷い扱いじゃないか!
…まるで…まるで、ハナの全てが醜く恐ろしい化け物か妖怪みたいに言うじゃないか!!
と、風雷はリュウキに対し初めて怒りと憎悪が湧いた。そんな風雷の気持ちを察してか、ハナは
「ラッキーじゃないか!長期視察とか合宿でもヤりたい放題ヤれるってんだからね。今までは、そんなの興味もなかったし自慰行為をしようとも考えた事すらなかった私に旦那とのエッチ無しじゃ、我慢できない体にされちまったんだ。
そりゃ、私にとっちゃ最高の話だよ。それに、私に犯されるかもしれないって恐怖で、性被害が無くなるならそれこそ願ったり叶ったりだよ。」
なんて、あはは!と笑い
「確かに“ゴリラ男”とか、他の誰でもない風雷に言われんのは正直キツイが、【王命】である以上、仕事場ではそれも仕事の一つだ。
それが分かってるからこそ、二人だけの秘密を共有してるみたいでドキドキしないかい?だから、私の為にそんな泣きそうな顔しなくていいんだ。
もう、それだけで私にとってこれほど自分を思ってくれて守ってもらえてるんだって実感できるんだ。嬉しいよ。」
と、握り拳を作り悔しさのあまり拳を握り過ぎて真っ白になってる風雷の手を包み撫でると
「…ありがとな。風雷は、私の最高最強の旦那さんだよ。風雷と結婚できて、私はこれ以上ないくらいの幸せ者だよ。」
そう言って、優しく微笑んで見せた。
そんなハナを風雷はギュッと抱き締めると
「…ハナは俺が守るから!あまりにハナがだらしなくて小言は言うしバカも言うけど。
ハナは俺にとって、宇宙一可愛い奥さんだよ。俺の方が…!ハナと結婚できた俺は宇宙一の幸せ者だ。」
と、言って二人で笑い合ってる姿を見て離婚危機に直面しているリュウキは、俺は何つーもんを見せられてるんだ。と、遠い目をしていた。
…うっわ!
顔隠してるってのに、美人キラキラオーラが隠しきれてないな
コイツだけキラキラしてる
いつも以上に輝いて見える風雷に、ドキドキして
「…お前、カッコ良過ぎないか?」
思わず、ハナの口からそんな言葉が漏れてしまった。
ハナの通っている倫理観や人道から外れたような不良達が多く集まる中学校から解放され、
基本、他人には我関せずの姿勢を貫いているハナではあるが、彼らのとても同じ人間とは思えない言動などに内心イライラ、モヤモヤしてストレスが溜まりに溜まりまくっている。
彼らに何かガツンと言って懲らしめたい気持ちはあれど、言った所でただただ喧嘩が勃発して平行線のまま無駄な時間を過ごすだけなのは目に見えてるし、
関係性が最悪になればなるほど学校に行きづらくなるので、やはり無関心を装い我関せずを決め込んでおいた方がいい。
だって、彼らはきっと天地がひっくり返るような大きな出来事がない限りは変わらない。なにせ、自分達は何も悪い事をしてるとは思ってないからだ。
そんな奴らに何を言っても仕方がない。同じ、人間ではない人間の皮を被った“何か”なのだから。そう、ハナは思っている。
そんな中にいるせいか
風雷と合流し風雷と話をする度にいつも思う。
風雷は、本当に自分達と同じ人間なのだろうか?
何か、別の種族なんじゃなかろうか?と。
だって、容姿やスペックだけでなく中身までカッコいい。あの学校の中にいると、特に理想の詰まったいい男なんだと再認識させられるから。
そして、やっぱり腐った輩ばかりじゃないとそこも再認識する。
もし、世の中の人間全てが彼らの様な人物しか居なかったなら、ハナはこの世界を守る事など放棄するであろう。
ハナは果たして自分達が命をかけてまでも守るべき存在なのか疑問に感じるとプラリと色んな所を徘徊する癖がある。
そこで色んな人間達を観察をする。
そこで人それぞれ一人一人違うのを痛感する。本当に色んな人間がいる。
人間を観察していて、腐り切ってどうしようもない人間も多く、今すぐにでも息の根を止めてやりたい!生き地獄を味あわせたいなど怒りや悲しみで気が狂いそうになる事もある。
だが、腐った輩ばかりではないとハナは感じているし、素晴らしい人物に出会いこんな人間もいるのだと感動した事すらある。
自分はといえば、いい人ではないし拳と拳を合わせる格闘技は大好きだが、
言い争いなど面倒事は本当に勘弁で都合悪い事から逃げる癖があるハナは、ズルく少し汚い部類に入る人間なのだろうと思っている。
その反面、あの地獄の様な施設で育ち疑問を持つ事で、弱い立場の人間や動物達を守りたいという気持ちが人一倍強いと言える。
あと、ハナは施設のトラウマで赤ん坊や幼い子供達がすこぶる苦手である。
赤ん坊や幼い子供達を見ると、あの恐ろしくも悍ましい光景が脳裏に浮かび、その子達も何かされてるのかもしれないと疑心暗鬼になりとても心が痛み可哀想で考えれば考える程辛く苦しい気持ちになり眠れなくなる。
それもあってか、ハナは風雷が側にいてくれるだけでその気持ちを逸らす事ができ安心できる。
しかし、やっぱりなぁ〜
王族の洗練されたマナーを学んでいるせいか、風雷の立ち振る舞いや歩き方、動作や仕草までもどこをどう見ても綺麗だとハナは感心している。
自分や自分の通ってる学校生徒達とのあまりの違いに、ついつい風雷の美しくも自然な動きにホォ〜とつい見惚れてしまう。
そんなハナの様子に風雷は驚き、ブワッと顔を赤らめると
「ハナに、そう言ってもらえて嬉しいよ。ありがとう。
ハナは世界一、可愛いよ。」
そうはにかみ、ハナの丸太のような腕に腕を絡ませてきてハナはビックリして岩のような体をぴょこんと跳ねらせ
「……ッッッ!!?…な、何してるんだいっ!!?」
と、顔を真っ赤にしながら酷く驚いた様子で風雷を見下ろしてきた。
そんなハナの驚きように風雷もビックリしたが
「…ククッ!ハナさ、俺達は夫婦なんだし手を繋ぐ事なんて普通の事だよ?こんな事で驚いてたらキリがなくなるよ。」
と、ハナが驚きのあまりピシリと固まっているうちに風雷は、再度腕を絡ませ手を繋いできた。
その繋がって手を見て、ハナは
「……手を繋ぐと温かいもんなんだな。」
なんて、驚いた様子で当たり前の事を呟いていた。
その言葉に、風雷はギュッと胸が押し潰されそうに苦しくなりハナの逞しい腕にピットリと体を寄せて
ジッとハナを見つめてきた。
その目からは、切ない涙が流れると同時に何かを決意したような強い意志が感じられ、漢らしくてカッコいいなぁとハナはキュンとしていた。
何故に急に泣いちまった!?と、焦るハナをよそに風雷は繋いでいる手を口元へ持ってくると、チュッとキスをして
「愛してる、ハナ。」
そう言って、俺がハナを幸せにしてやる!そう言ってるような幻聴が聞こえるほど真っ直ぐにハナを見つめ柔らかく微笑んできた。
そして、身長差から自然と上目遣いになる風雷に
ズッキューーーン!!?
すっかり、ハートを射抜かれたハナは
こんな完璧王子の残念な所は、女の趣味が悪いって事だな
と、自分を自傷しつつ、乙女心をドキドキさせながら
二人仲良く訓練所まで行き、そこで鬼の形相で待ち受けているリュウキに【結婚】した事についてと結婚の報告がなかった事に対し、こっ酷く説教されるのであった。
この時、いつになくリュウキがネチッこくくどくど説教してきたのは、自分の抱える離婚の危機があり
リュウキが不幸真っ直ぐらな時、もの凄く幸せですオーラを纏い幸せそうな風雷とハナを見て説教の中に自分のイライラも一緒にぶつけていたに違いないと風雷は呆れていた。
それは、リュウキの自業自得。身から出た錆だというのに。
一番大切にしなければならない、何が何でも守らなければならない大事な人を裏切る行為をし続けていたのだから。よく、今までもったもんだと思う。
おそらく、娘のショウの事を考えて今の今までマナが我慢し続けていたのだろうが、さすがに我慢も限界がきたんだろう。
他は完璧なのに、極上の美女が好き過ぎて惚れっぽく些細な粗が見え始めると一気に冷めてしまう。
恋多き男、リュウキ。色んな美女達を虜にして愛を振り撒く、魔性の男だ。
幼い頃から、実の母親や兄弟達(もう、縁を切り戸籍も違うので、血の繋がりはあれど法律上他人である)、
リュウキの女性関係やその裏で繰り広げられる女達の汚ない争いを見てきた風雷にとって恋愛や結婚はドロドロの毒沼で気持ち悪いものだし、裏切りばかりの不幸を招く恐ろしいものでしかないと考えていた。
だから、自分は性や恋愛に関する事には決して関係しない、無関心を貫こうと心の底から誓った。
ハナに会うまでは。
それもあって、ハナという可愛らしく素敵な女性と出会えた自分は、宇宙一運がいい幸せ者だと思う。
ハナという女性に出会えた事は奇跡という他ないし感謝しかない。
と、クドクドと説教する男を目の前に、そう思わざる得ない風雷であった。
ちなみに、ハナはリュウキの説教開始と同時に立ったまま器用に寝ている。
「これから【王命】を言い渡す。
1、周りには、ハナと風雷が結婚した事を隠し通す事。軍事において混乱を招く為、空気が悪う方へと緩み舐められる恐れがある、士気が下がる、等様々に置いて弊害が起こりかねない為。
2、どうしても隠しきれなかった者には厳しく秘密厳守させる事。(桔梗経由でショウにもバレるだろう予測がされる)
3、プライベートでも、外ではあくまで団長と副騎士団長であり続ける事。
4、念には念を。グータラな団長と頑固で厳しい副団長のイメージが根強い為、風雷にとってハナが腹立だしい事をする度に“脳筋ゴリラ、バカゴリラ”など、周りに合わせた暴言を取り入れ苦言を言う事。
5、プライベートと仕事は割り切る事。ただし、戦場ややむ得ない事があるのみ性行為は認める。
ハナを男だと勘違いしている部下達が、団長と冷血冷静な天才魔道士の副団長と性行為をしているのを見て
いつ自分も副団長のようにハナに性行為を強要されるのかと恐怖を覚え、兵同士、兵が一般人を襲うよりもそっちの恐怖ばかりが頭の中を占め被害が最小限にできる可能性が高いという理由。
その為、性行為を行う時は敢えて隠れているようで分かりやすい場所で、ハナが権力と力を使い無理矢理従えてるように見せかける事。
そこで、ハナには絶対に逆らえないという恐怖の対象として部下達の心に刻まれるだろう。
そして、宣言しろ。
【お前達全員、プライベート以外俺の優秀な部下だ、お前らの全てを俺に捧げる覚悟を持て。
俺を拒む事は絶対に許されない、そして俺以外の者と性行為を持ち穢れる事も許されない。それを破った者には、生きていくのが辛くなる程の罰を与える。
バレないと思うなよ?“影”の見張り番が、一人一人漏れなく常に見張ってる事を忘れるな。】
とな。
ハナの雰囲気は掴みどころがなく適当でアホに思われ、部下達に舐められている節があるように見受けられる。
だから、今回の事でハナを舐め腐ってる連中へいい牽制となると俺は考える。
やり方は、何であれ年下だの頼りないだのアホ、バカだの陰口を言いたい放題いい、周りを見下し威張りくさっってるクソな部下どもに、団長としての威厳と畏怖、絶対的服従心を持たせろ。」
と、リュウキは王として、ハナと風雷に命令してきた内容に風雷とハナは驚いたし
風雷にとって納得できない事だらけであった。だが【王命】なので逆らう事はできない。
仕事とプライベートは割り切るのはよく分かる。
自分達の仕事は、特殊で少しの歪みやズレが生じただけで団結力は崩壊。それを阻止する為に、結婚している事や恋仲である事は隠し通した方がいい。
まして、自分達は多くの部下達を従えるトップなのだから。
だけど、これじゃまるでハナがとんでもない悪者じゃないか!
俺の場合は最愛の妻に対してでも、あまりに勉強サボったりゴミや洗濯物を散らかし放題で酷い時(毎日)は注意するけど、それでも聞く耳も持たず逃げる時はバカは言うが…
“脳筋ゴリラ”“バカゴリラ”…こんな、容姿に対しての侮辱的な暴言や人を馬鹿にしたり嘲笑う誹謗中傷などは、どうしても許せない。許されていい筈がない!
…だが、周りに合わせる部分は合わせなければ、何処からかほつれが生じ怪しまれる可能性もあるのは確かだ。
…だが、この言葉を吐く度に俺自身が傷付く。もちろん、ハナは酷く傷付くだろう。
しかも、戦場や長期訓練時、合宿などプライベートから暫くの間離れる事があるのは承知だが……
“見せしめの為にハナとの性行為を認められる”
というのが、理由が理由なだけに酷く腹が立って仕方ない!
一体、ハナを何だと思ってるんだ!?
あまりに酷い扱いじゃないか!
…まるで…まるで、ハナの全てが醜く恐ろしい化け物か妖怪みたいに言うじゃないか!!
と、風雷はリュウキに対し初めて怒りと憎悪が湧いた。そんな風雷の気持ちを察してか、ハナは
「ラッキーじゃないか!長期視察とか合宿でもヤりたい放題ヤれるってんだからね。今までは、そんなの興味もなかったし自慰行為をしようとも考えた事すらなかった私に旦那とのエッチ無しじゃ、我慢できない体にされちまったんだ。
そりゃ、私にとっちゃ最高の話だよ。それに、私に犯されるかもしれないって恐怖で、性被害が無くなるならそれこそ願ったり叶ったりだよ。」
なんて、あはは!と笑い
「確かに“ゴリラ男”とか、他の誰でもない風雷に言われんのは正直キツイが、【王命】である以上、仕事場ではそれも仕事の一つだ。
それが分かってるからこそ、二人だけの秘密を共有してるみたいでドキドキしないかい?だから、私の為にそんな泣きそうな顔しなくていいんだ。
もう、それだけで私にとってこれほど自分を思ってくれて守ってもらえてるんだって実感できるんだ。嬉しいよ。」
と、握り拳を作り悔しさのあまり拳を握り過ぎて真っ白になってる風雷の手を包み撫でると
「…ありがとな。風雷は、私の最高最強の旦那さんだよ。風雷と結婚できて、私はこれ以上ないくらいの幸せ者だよ。」
そう言って、優しく微笑んで見せた。
そんなハナを風雷はギュッと抱き締めると
「…ハナは俺が守るから!あまりにハナがだらしなくて小言は言うしバカも言うけど。
ハナは俺にとって、宇宙一可愛い奥さんだよ。俺の方が…!ハナと結婚できた俺は宇宙一の幸せ者だ。」
と、言って二人で笑い合ってる姿を見て離婚危機に直面しているリュウキは、俺は何つーもんを見せられてるんだ。と、遠い目をしていた。

