自分が場の空気を凍り付かせているということに、全く気付いていない王子様は
「ハーイ! キミがこの寮の女神だね~ 名前を教えて」
と、両手で私の手を包みだした。
ひぃあぃ!
こっこの人、初対面の私との距離感がおかしすぎるよ!
「……はっ、はなぞの……です……」
彼の手を振りはらい、私は逃げるように部屋の壁に背中をペタリ。
ちょっとでも目を合わせたくなくて、長すぎる前髪を必死に顔の前にかき集める。
「あれ? おかしいなぁ。俺の温もりを拒絶する子なんて、この世に存在しないと思うんだけどなぁ」
ひぃえぇぇぇ。
大人っぽい自信満々な笑顔で、私に近寄らないで。
後ろが壁で、逃げ場がないのに。
「俺が知りたいのは、キミの下の名前」
今答えなきゃ、夢の中まで追いかけてきそう。
「えっと……ひめか……です……」
「声カワイイ~ HIMEKAなんて、名前までキュートなんだね~」
高貴な王子様顔なのに、チャラすぎ。
ほんと無理……



