「じゃあ口を開けろ」
「えっ?」
「食べさせてやるから、ほら」
ひぃあ?!
もしや「あーん」で食べさせてくれるつもりですか?
むっ、むむむっ……無理です!
そんなドキドキ甘々なシチュエーション。
マンガでヒロインがされているのを見ただけでも、キュンって心がはじけるのに。
私にしてくれるの?
しかも今?
ダメです。
キャパオーバーです。
ムースを飲み込む前に、床に倒れちゃうかもしれないですよ、私。
総長様のことを、好きなわけではない。
先生への想いすら、まだ断ち切れていない。
そんな私でも、耐えられるはずがないんだ。
自分のために作ってくれたチョコムースを、「あーん」で食べさせてくれる、夢みたいな状況に。



