サンタさん、今年は早めに私のところに来てくれませんか?
優勝できちゃうくらい素敵な曲を、私にプレゼントして欲しいんです。
なーんて。
高2の私のところにはサンタさんが来てくれないことくらい、わかっているんですけど。
窮地に追い込まれていて……
神にもサンタさんにも、すがりたくて……
総長様は椅子に座る環くんの横に立ち、顔を覗き込んだ。
目が闇ってる。
ひぃえぇぇぇ、喧嘩を吹っ掛けそう。
「環、よく聞け」
「ん、なに?」
「俺の変な噂を学園の奴に流したら、氷風呂に沈めるからな」
「ヒートショックで、心臓が止まっちゃう。最強総長様に言われると、冗談に聞こえないからやめて」
「そして家事をしろ! 朝食づくりを手伝え!」
「えー? 俺ってお客様じゃないの? VIP待遇でのおもてなしを、期待してたんだけどなぁ」
「環は客じゃない。アイドル大会で優勝するための同志。俺がもてなすのは、姫歌だけだ」



