ギャップがありすぎて
『私はいつか、総長様に沼ってしまうのでは?』
と、私の中の危険予知ランプが、黄色く光り出してしまいましたが……
――誰のことも、好きにならないようにしなくちゃ。
――もう二度と、失恋はしたくないから。
総長様への恋心が絶対に芽生えないように、顔を手でペチペチして自分を律することに。
「女嫌いの最強総長様が、まさかの尽くし系だったとはねー」と言いながら、私の横の椅子に座った環くん。
「夕飯もお弁当も作ってくれるし。俺らの制服にまでアイロンをかけてくれるし。しわが一つもないくらいピシって。俺たち、ほんと至れり尽くせりの幸せ者だよねー」
カウンターに並ぶ私に、デへっと笑いかけた。
本当に、環くんの言う通りなんです。
うちの学園の生徒会長様は、寮では完璧な執事様なのです。



