「たっ、たたたた……」 ちゃんと答えたいのに、どもり声しかでてこない。 そんな私の肩に手を乗せた環くんは 「俺の名前、忘れちゃった?」 後ろから私を覗き込んでニッコリ。 美少女ヒロインさながらの純度高めの笑顔が、あまりにも近くで輝いたので ひぃあぃ! 直視、無理っ! 私は環くんの手を振りきって、サササーと逃げ出したのでした。 無意識に行きついた先は、キッチンの真ん前。 ――エプロンが似合いすぎる俺様総長様と、対面状態になってしまった! そう後悔したのは、足を止めた直後のこと。