野いちご学園 逆ハーアイドル寮



先生は瞳が見えなくなるほど微笑んでくれている。

私の成長を心から喜んでくれているってのは、どうやら本心みたいだけど。



誤解なんです。

私は成長なんか、ちっともしていなくて。

先生とは話せるけど、他の人には自分から話しかけるなんて無理で。



「うちの学園には合唱部があります。花園さんは、そちらに入部してみてはいかがですか? 趣味が同じ相手は、生涯の友として深い絆が結ばれやすいんですよ」



これってあれだ。

仏様みたいなおっとり笑顔で、私に訴えているんだ。

私に付きまとわれることが、先生にとって迷惑でしかなかったって。



それなのに恋愛というものを知らない子供の私は、先生も私と歌うことを楽しんでくれているんじゃないかって思い込んで。

卒業するまで待つから、先生が彼氏になってくれたら嬉しいななんて、ちょっとだけ期待までしちゃって。



身の程を知りなさいって感じだよ。

初恋にうかれすぎていた自分が、恥ずかしすぎ。