でも視界を遮るこの行為は、無意味でした。
暴走族の総長というのは、人の顔を拝みたい生き物なのでしょうか?
私の前に回り込んだと思ったら
「オマエが花園姫歌?」
いきなり私のおでこに手のひらをピタッ。
「前髪ウッザ。顔見えねーじゃん」
私の長い前髪を、後頭部までかきあげてしまったのです。
ひぃあ!っと肩を跳ね上げたと同時、斜め上を見上げてしまった私。
……目が合ってしまいました。
総長様は品定めをするかのような厳しい視線を、私の瞳に突きさしてくる。
ごごご……ごめんなさい……
ステージでウインクを飛ばす、自分に自信ありなアイドルみたいな名前で。
紛らわしすぎですよね?
実物の『花園姫歌』は、井戸に住み着くおぞましい地縛霊みたいな顔なのにって。



