「マイプリンセス。なぜ俺から離れちゃうの? 俺はキミの息づかいも、ぬくもりも、心臓の音までをも感じたいんだよ」
父親がイギリス人のダブルなだけあって、顔も立ち居振る舞いも本物の王子様っぽい帷。
「この後、二人で寮を抜け出そうよ。リムジンを手配するよ。ホテルの最上階で豪華ディナーを食べながら、クリスマスイルミネーションを堪能しよう。俺と二人だけで過ごす贅沢な時間こそが、最高のクリスマスプレゼントだと思わない?」
帷は身をかがめ、姫歌と目線を合わせ、綺麗顔で麗しく微笑んでいる。
帷の奴、大金をはたいて姫歌の心を奪おうとしているな!
大人気モデルでお金があるからって、こんなやり方は……
「二人だけで抜けるのは許さない! 俺が作った料理を食べろ!」
俺の怒鳴りに
「私は総長様が作ってくれた料理を食べたいな。すごくおいしそうだもん」
姫歌はわざわざダイニングテーブルの前に移動して手を広げ、料理に敬意を表してくれている。



