ダイニングテーブル前に立つ俺に気づき「お邪魔します」と、頭を下げたかと思うとすぐに表情がパー。
「うわ~ すご~い」
リビングを一周見渡しながら、目を輝かせはじめた。
「大きなツリー。料理もケーキも美味しそう。全部総長様が作ってくれたんですか?」
上目づかいで、グリグリお目目に見つめられ
「まぁ、大したことはないけどな」
そっけない魔王様っぽく振舞いながらも、心の中ではガッツポーズ。
姫歌を料理で喜ばせたい一心だった。
パソコンとにらめっこで、作ったことのない料理に何品も挑戦したんだ。
恩着せがましい男と思われたくないから、俺の頑張りは秘め事にしておこう。
「これってパエリアですか?」
「ああ」
小さなころの姫歌は貝やエビが好きだったって直月から聞いて、朝一でスーパーに走ったんだ。



