「あっ……あの……環くん……」
「ひーちゃんの泣き顔を見ちゃうと、いくら本番中でも放っておけないんだけど」
いきなり腕を掴まないで。
引っ張らないで……って。
「ひゃっ!」
私は驚き声を上げながら、座席の前に直立状態に。
みんなに見られてる。
注目されてる。
立っているのが無理と、目をキョロキョロオドオドしている私を見て
「ドキドキで涙が引っ込んだ? じゃあ、俺がここに来て良かったってことだね」
目じりを緩ませ、嬉しそうに微笑んだ環くん。
「俺の匂いがするもので、ひーちゃんを包み込んであげるから。これ以上泣かないでね」
真っ赤なサンタマントを肩から外すと、ふわっと私にかけてくれた。



